■連載/阿部純子のトレンド探検隊
江崎グリコは、米国ヘルステック企業のViome(ヴァイオーム) 社と提携し、腸内細菌のmRNA(メッセンジャーRNA) 検査と解析データ化技術を活用した、日本初となる個人向けのパーソナライズド健康支援サービス「mRNA HEALTH TRACKER」開始した。
腸内細菌の「活動」を解析する独自のmRNA解析技術を保有するViomeとの連携
「mRNA HEALTH TRACKER」は、個々によって異なる腸内細菌叢を、最先端のmRNA解析によって、どのような腸内細菌がいるかだけではなく、その菌たちがどんな働きをしているのかまで測定し、腸内細菌層の活動を細部まで読み解く。
解析結果は26 種類の「健康スコア」として可視化。その結果に基づき、摂取するべき食品や、避けるべき食品までわかりやすく一覧化。ミールセットやサプリメントなど、ライフスタイルに合わせた行動プランを提案する。さらにウェブアプリを通じて、専門知識を持ったパーソナルアドバイザーが腸内環境に即したアドバイスを行う。
「1922年の創業当時、日本における健康課題は栄養不足であり、グリコは食品による国民の体位向上という創業の精神のもと、日本の社会課題に向き合ってきました。そして現代は食生活やライフスタイルが大きく変化し、健康課題も複雑になり、一人ひとり異なる時代になっています。
生活者はさまざまな情報を参考にしながら、試行錯誤で健康行動を選択しています。しかし、体の状態や体質は個々で異なります。毎日食べているものが自身の体の中でどのような影響を及ぼしているのかを正確に把握することで、より自身に適した健康行動を選択することができるようになるのです。
私たちが目指す健康の可視化を形にしたものが新規事業の『mRNA HEALTH TRACKER』です。新サービスに欠かせないパートナーが先進的なmRNA解析技術を有しているViome社であり、同社の解析技術とグリコの研究開発、生産技術を組み合わせることで、一人ひとりに合った食の選択を支援する新しい価値を提供してまいります」(江崎グリコ株式会社 代表取締役社長 江崎悦朗氏)
Viome社が保有するmRNA技術は、アメリカの研究機関であるロスアラモス国立研究所で開発された世界唯一の技術で、同社はこの技術に関して排他的権利を有しており、日本企業との提携は今回が初となる。
「古代ギリシャの医師・ヒポクラテスが『すべての疾患は腸から始まる』と指摘していたように、腸内環境の良し悪しが病気の予防、健康維持に左右することは古くから知られていました。腸内で起こることは脳や皮膚など全身に影響するため、適切な食事管理が健康のみならず、外見の改善や維持にもつながってくるのです。
腸内細菌叢に関して、従来のDNA解析は“何が存在するか”を示すに過ぎず、同じ微生物であっても活動が異なる可能性がありました。mRNA解析により、腸内微生物が“実際に何をしているか”を捉え、体内で起きていることを正確に可視化できるようになったのです。
スーパーフードと呼ばれる体に良いとされる食品でも、人によっては逆に有害になり得るのです。これは腸内の状態によって食品の作用が変わるためです。例えば、ほうれん草は消化できない人が15%ほどいるといわれています。アボカドは45%の人には良いが、尿酸の働きが悪い人には有害になり得る食材です。また、ブロッコリーも55%の人にとって体に合わない可能性があり、一般的に言われる良い食品も個人差で逆効果となってしまうのです。
『mRNA HEALTH TRACKER』は、体内の状態を正確に把握し、その人に合った食品ソリューションを提供することで、毎日の健康を改善します。
グリコは約100年前に『人の健康を維持し、日々の健康を健やかにする』ミッションで創業し、10年前に創業したViome社も『人々をより健やかにする』ミッションを掲げており、グリコは同じミッションを持つ、真のパートナーだと思っています」(Viome Founder兼 CEO ナヴィーン・ジェイン氏)
「mRNA HEALTH TRACKER」はオンライン限定で、単品79,200円、2個セット126,000円。リピート購入は6か月以内が66,000円、1年以内が74,800円。検査キットに同梱されている取扱説明書に沿って採便して郵送、加えてウェブで質問に回答する。サンプルから得られた情報と質問の回答をもとに、技術パートナーであるViome社のラボ部門、解読サイエンス部門、AI部門が協力し合い解析を行う。
検査が完了したら、解析結果はウェブアプリの「マイページ」で確認でき、腸内細菌と栄養学の知識を持ったパーソナルアドバイザーと面談して、検査結果から個人に適した食生活や生活改善のプランを提案する。
腸内細菌叢の活動状態から、20種以上の「健康スコア」や、スコアに応じた摂取すべき食品や避けるべき食品を300種以上の候補食材から「ベストフーズ」「グッドフーズ」「リミットフーズ」「NGフーズ」の4段階でわかりやすく提示する。
一人ひとりの解析結果に基づき食材を組み合わせ、ミールセットを提案したり、グリコ独自開発のビフィズス菌「BifiX」、カカオ豆由来のポリフェノール「カカオフラバノール」、グリコ独自開発の乳酸菌「GCL1815」のサプリメントの提案も行う。
【AJの読み】自分だけに合った腸活ができる画期的なサービス
サービスの詳細について説明した、江崎グリコ株式会社 新規事業開発プロジェクト担当の田中莉夏子氏は、自らも「mRNA HEALTH TRACKER」で検査したところ、健康のために毎日食べていた食品が自分に合わなかったことが判明したと話す。
「私は食物繊維摂取のため毎朝雑穀パンを食べていました。しかし検査結果でライ麦・大麦・小麦が『NGフーズ』だとわかったのです。良かれと思って続けていた食事が体質に合わず、腸管バリアスコアやタンパク質消化スコアが非常に低い結果につながっていたと判明しました。
今までは食物繊維を取らなくてはいけないと思い込んでいて、もともと好きだったこともあり雑穀パンを食べ続けていましたが、仕事中でもおなかに張りがあったり、ゴロゴロすることが悩みでした。
検査でNGフードだとわかり、今はガラッと変えて和食中心の食事生活をするようになって1ヶ月半ほどになりますが、以前ほどおなかの調子が気にならなくなりました。
正しい知識がなければ健康努力が逆効果になる可能性がありますし、自分に合う食材がわかっても日常で選び続けるのは簡単ではありません。『mRNA HEALTH TRACKER』は、専門知識を持ったパーソナルアドバイザーがお客様一人ひとりに合わせた食生活の実践をサポートし、行動継続をサポートするソリューションの選択肢として、ミールセットやサプリメントをご提供します」(田中氏)
本サービスのターゲット層は、健康への関心が非常に高く、健康を自己投資と捉える人で、これまでの調査では、40~60代の経営層や自営業者に高評価を得ているとのこと。
腸内細菌叢にも「個性」があり、体に良い食べ物でも合わないことがある。自分だけの腸内環境を知り、自分に合った行動へつなげる「mRNA HEALTH TRACKER」は、食生活や生活改善への指標となるサービスといえよう。
取材・文/阿部純子
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