Appleは23日より、香港などの市場で最新自社開発チップを搭載したデスクトップ機「Mac mini」と「Mac Studio」の2機種を正式に発売した。新世代GPUがオンデバイス人工知能(AI)演算能力を備えていることを主な訴求点としている。同時に、Appleのウェアラブルデバイス分野での新たな動きも伝えられており、画面なしの健康追跡リストバンドを模索していることが明らかになった。早ければ2028年の登場が見込まれるという。

Appleの公式サイトによると、M6チップ搭載のMac miniエントリーモデルは7,299香港ドル(約15万円)、M5 Proチップ搭載版は1.3999万香港ドル(約28万円)となる。上位機種のMac Studioは、M5 Max搭載版が1.9999万香港ドル(約40万円)、最上位のM5 Ultra搭載版は4.4999万香港ドル(約90万円)からとなる。

Appleによると、2機種の新製品は新世代GPUを搭載し、各コアにニューラルネットワークアクセラレータを内蔵。高度なCPUとNeural Engineも備えており、オンデバイスAI演算に対応する強力なプラットフォームだとしている。これにより、ユーザーはインターネットに接続せずとも、端末上で多くのAI推論タスクを実行できる。

画面なし健康リストバンドを模索

ハードウェア新製品に加え、Appleのウェアラブル戦略も引き続き注目を集めている。BloombergのベテランIT記者マーク・ガーマン(Mark Gurman)の報道によると、AppleはWhoopのリストバンド型デバイスに類似した、画面なしの健康・フィットネス追跡リストバンドを開発中だという。Appleはこの分野を数カ月にわたり模索しており、現在プロトタイプを開発中。プロジェクトは経営幹部の支持を得ているものの、最終的に製品化するかは未定だという。

報道によれば、このプロジェクトは社内で「技術調査」と呼ばれる初期段階にあり、最終的に製品化が決まったとしても、登場は早ければ2028年になるとされる。プロトタイプはセンサーを搭載したコンピューティングモジュールと薄い布製のリストバンドで構成。画面なしの設計により、ディスプレイを中核としてフィットネス追跡、アプリ、通知機能を統合するApple Watchとは一線を画す製品となる。

ガーマン氏は、この製品が発売されれば、Appleは軽量リストバンド型デバイスを中心とする健康追跡カテゴリーに参入することになり、上市後はWhoop製品との直接競合が予想されるとの見方を示した。Whoopはサブスクリプション制で知られる画面なしウェアラブルデバイスで、運動回復、睡眠の質、身体ストレスデータに特化し、プロアスリートやフィットネス愛好家の間で一定の市場を有している。

Appleの現行ウェアラブル製品はApple Watchを中核とし、心拍数モニタリング、運動記録、睡眠追跡などの健康機能をカバーしている。今年8月には、AppleがApple Watchの将来像を再考しており、長年続いてきた製品形態を根本から作り直す可能性もあると報じられた。その一環として、円形画面を採用したApple Watchや、画面を完全に廃したフィットネスアクセサリーなど、複数の可能性が検討されているという。

AIウェアラブルデバイスの青写真を調整

注目すべきは、AppleのAIウェアラブルデバイス全体の計画が調整されつつあることだ。報道によると、Appleは以前、カメラを搭載したAIネックレスを開発していた。このデバイスはネックレスとして身に着けたり、衣服に取り付けたり、体の他の部位に装着したりして、視覚データを収集し、新版Siri AIアシスタントで処理する構想だった。ガーマン氏は今年初め、このネックレスがiPhoneの「常時オンカメラ」として機能し、Siri入力用のマイクも内蔵すると報じていた。

しかし最新情報によると、Appleはこのネックレスプロジェクトを一旦棚上げし、Apple WatchへのAI搭載と、2027年発売予定のカメラ搭載新型AirPodsおよびスマートグラスに注力する方針に転換したという。Appleは先週、Apple Watch Series 12とUltra 4を発表したばかりで、両製品には「オーディオインテリジェンス」(Audio Intelligence)機能が追加され、Siri AIが統合された。これらはApple初のAIウェアラブルデバイスと位置づけられている。

製品ロードマップの変遷を見ると、Appleのウェアラブル分野での戦略は、新たなハードウェアカテゴリーを急いで開拓するよりも、既存製品ラインへのAI統合を深める方向に傾いているようだ。画面なし健康リストバンドは経営幹部の支持を得ているものの、依然として初期の技術調査段階にあり、実際の上市までにはなお相当の距離がある。

市場への影響分析

消費者にとって、新型Mac miniとMac Studioの発売は、Appleがデスクトップ製品ラインで新たなチップ更新サイクルを完了したことを意味する。M6チップの導入は、オンデバイスAI演算におけるAppleの布石が着実に進んでいることを示している。予算は限られるがAI演算能力を必要とするユーザーにとって、エントリーモデルのMac miniは7,299香港ドル(約15万円)という価格で比較的入手しやすい選択肢を提供する。

ウェアラブルデバイス市場では、Appleが最終的に画面なし健康リストバンドを発売すれば、プロ向け健康追跡分野におけるWhoopの地位に直接挑戦することになる。Whoopのサブスクリプション型ビジネスモデルと、Apple Watchの買い切り+サービス型モデルは大きく異なる。Appleが価格設定とサービス連携のバランスをどう取るかが、今後の注目点となる。

ただし、このプロジェクトはまだ技術調査段階にあり、Appleも最終決定を下していないことを考慮すると、短期的には引き続きApple WatchシリーズがAppleのウェアラブルエコシステムの中核を担うとみられる。AppleのAIウェアラブルデバイスにおける布石は、当面はApple WatchのAI機能の深化と、AirPodsおよびスマートグラスの製品ライン拡充が主軸になると予想される。

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