■1984年のファースト・シングル「Dark Streets of London」で、シェイン・マガウアン(Shane MacGowan)は自身が受けた電気けいれん療法について歌っています。彼は、それが自分にどんな影響を与えたのかについて話したことはありましたか?
スパイダー・ステイシー:
「詳しく話すことはなかった。10代の彼にとっては、おそらくものすごくつらい経験だったと思う。でも、シェインにはそれを笑い飛ばすような、辛辣なユーモアがあった。このシングルは彼自身の個人的な体験に基づいているけど、彼の天才的なところのひとつは、目に見えないものや、人の心の中で起きていることを見抜く力だった。シェインと一緒に街を歩いていると、彼はホームレスの人たちにポケットいっぱいの小銭を配っていた。持っていれば紙幣まで渡していた。彼は常に“自分だって、神の恩寵がなければあちら側にいたかもしれない”と意識していた。アイルランドからロンドンにやって来た人たちの多くは、建設業などの仕事に就いていたが、酒と慢性的な失業の泥沼に落ちてしまう人もいて、当時は反アイルランド感情もかなり強かった。ひどい状況になることもあった。その後、世間の態度は次第に敵対的ではなくなっていった。それが俺たちとどれくらい関係していたのかは分からない。でも、俺たちもその変化の一端を担ったんじゃないかという気はしているよ」
■シェインが新しい曲をバンドに持ち込んだとき、どんなふうに曲作りが進んでいたんですか?
ジェイムズ・ファーンリー:
「曲によるね。“A Rainy Night in Soho”を持ってきたときは、彼がその場にふさわしい格好をしていたから、もう完成しているんだと分かった。きちんとしたスーツを着て、格子柄のサンダルを履いていて、曲の全体像が頭の中にできていたんだ。“ここをこう弾いてくれ。この小さなフックはここに入れる”といった具合にね。本当に驚くような体験だった。別のときには、メロディーと歌詞はできていても、そこから和声構成をどうするのかを彼から引き出すのに苦労することがあって、いらいらすることもあった。でも突然、彼が”こうだ”と言うんだよ」
■1991年にシェインがザ・ポーグスを脱退してから、彼との関係はどうなっていましたか? そして、再結集はどのように実現したのでしょう?
スパイダー・ステイシー:
「シェインは明らかに、もう続けたくないと思っていた。それを俺たちに伝える彼なりの方法――これはシェインのことをよく表していると思うんだけど――は、酔っぱらったり、薬物でハイになったりすることだった。今にして思えば、1年間休んだらどうだ?と提案すべきだったんだろうけど、でも俺たちはあえて、ダリル(ハント)にシェインへ解雇を言い渡してもらった。するとシェインはほっとしたように“なんでもっと早くそうしなかったんだ?”と言った。それからみんなで食事に出かけたよ。
ジェム(ファイナー)と俺はシェイン・マガウアン&ザ・ポープスのアルバム(『The Snake』)に参加していたし、その後も何年にもわたってシェインとはかなり頻繁に会っていた 2000年、バンドの会計士がプロモーターのサイモン・モランにポーグスの再結成について持ちかけたんんだよ。俺が聞いた話では、ほかのプロモーターたちは彼に“絶対にやめろ。関わるな”と言っていたらしい。ところが、サイモンはマンチェスター人らしく“よし、やろう”と考えたんだ。それがもう、最高だった。その後シェインは“もうこんなことやりたくない。クリスマスの1回だけのつもりだったのに、もう14年も経ってる”と言っていたよ」
■1990年代初頭、大阪でジョー・ストラマーがヴォーカルを務めた素晴らしいライヴを見ました。あの経験は、シェインなしでも活動を続けられると確信する助けになりましたか?
スパイダー・ステイシー:
「ええ。ジョーの熱意は、本当に大きな刺激になった。80年代後半のツアーでフィル(シェヴロン)の代役を務めたとき、ジョーはコード譜をギターのボディにセロテープで貼り付けていた。鋭い目でちらっと下を見て、ものすごい速さで大量の情報を頭に入れていたよ。ジョーが出演することは事前に発表していなかった。ステージにジョーが突然現れて、みんな“誰だ? ……うわっ、マジか!”ってなったんだ」
■2001年から2014年にかけて、シェインと新曲を書いたり、レコーディングしたりするところまで、どのくらい進んでいたのでしょう? また、今後新しいリリースを予定していますか?
スパイダー・ステイシー:
「シェインがジェムの家に来たことがあって、その後、ジェムとシェインが俺の家に来て、新曲を書こうという話になった。でも、結局、何も形にはならなかった。最近、シェインのトリビュート・アルバム『20th Century Paddy』(11月リリース)に収録する“Gabrielle”をやったばかりだよ。でも、新しいオリジナル曲を作るのは、俺はちょっと違うんじゃないかと思っている。アイルランドの曲を何かやる可能性はあるかもしれないけど、今のところ何も考えていない」
■シェイは、あなたたちにとって「悪ガキ」だったと言えますか?
ジェイムズ・ファーンリー:
「シェインは、まさに悪ガキそのものだった。でも、俺がこれまで出会った中で最も刺激的な人の一人だった。彼のおかげで俺が送ってき人生は…いやあ、まったく」
スパイダー・ステイシー:
「彼の頭の中ではあまりにもいろんなことが起きていたから、気難しくなることもあった。でも、俺が今ニューオーリンズにいるのも、シェインのおかげなんだ」
ジェイムズ・ファーンリー:
「俺はロサンゼルスにいる。ある意味では、シェインからこれほど遠く離れた場所には来られないというくらい遠くまで来た。でも、妙な言い方だけど、俺たちはみんなシェインに鎖でつながれているんだよ」

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