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声優らの「声」の権利について法務省が解釈指針を公表した。肖像や氏名と同様、個人の人格の象徴であり、法的保護の対象だと明記した。
生成AI(人工知能)を使い声優のナレーションや歌唱を模倣した動画がSNSに投稿され問題となっている。
投稿者が違法性を認識するのはもちろん、SNSの運営事業者なども指針を参考に防止策を講じるべきだ。模倣が容易なAI時代だからこそ、こうした権利を十分理解し、侵害行為の横行を防ぎたい。
指針では声優らの声について、人格権に由来する「みだりに利用されない権利」や、著名人らが客をひきつける力(顧客吸引力)を独占的に利用できる「パブリシティー権」の保護対象になることを明確化した。
パブリシティー権は人気歌手「ピンク・レディー」の写真の無断使用を巡る平成24年の最高裁判決で認められた。だが声優らの声は違法性の線引きが曖昧で、法務省の有識者検討会が民事上の責任を検討してきた。
指針では、権利侵害の可能性がある事例として、声優が演じるキャラクターの歌唱動画を生成AIで作成し、収益を得た場合などを挙げている。
声優に似せた声でわいせつな文章を読み上げる音源の公開は名誉感情などを侵害する可能性が高いと指摘した。収益目的の有無にかかわらず、「みだりに利用されない権利」の侵害にあたり、損害賠償請求などの対象となりうるとした。
また声優らの声を容易に生成できる生成AIサービスを有償で提供した場合は、パブリシティー権侵害の連帯責任を負う可能性があるとも指摘した。事業者側の責任にも言及していることを重くみるべきだ。
昨年11月に声優の津田健次郎さんが、自身の声を生成AIで無断模倣した動画が投稿されたとして動画投稿アプリの運営会社に動画削除を求め提訴した。声優らは有識者検討会のヒアリングで、AIで作成された声がネット上に広がることに「アイデンティティーが破壊されるに等しい」とも訴えた。
日本は、アニメなど世界的に優良なコンテンツづくりを目指す一方、その担い手でもある声優らの権利を守る法的整備は、米韓などに比べ遅れが指摘される。早急な対応が必要だ。
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2026年8月16日付産経新聞【主張】を転載しています
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