
14年7月、共著「歩いて行く二人」を手にフォトセッションに臨む女優の岸恵子さん(右)と吉永小百合
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映画「君の名は」などで知られる女優の岸恵子(きし・けいこ)さんが8月7日、老衰のため死去した。93歳。岸さんは日本アカデミー賞最優秀主演女優賞をはじめ数多くの賞を受賞する演技で映画界をけん引した一方で、文筆家としても活動した。華やかな女優人生だけでなく、海外生活や人生での出会い、恋愛、老いなど、自身が歩んできた道を題材にした作品を世に送り出した。
岸さんは1951年に松竹へ入社し、映画「我が家は楽し」でデビュー。1953年から公開された「君の名は」3部作でヒロイン・氏家真知子を演じ、一躍国民的スターとなった。作品中で岸さんが見せたストールの巻き方は「真知子巻き」と呼ばれ、社会現象となった。
作家としての代表作の一つが、2013年に発表した小説「わりなき恋」だ。69歳の国際的ドキュメンタリー作家と58歳の男性との恋を描いた作品で、熟年男女の恋愛を正面から描いたことでも大きな話題を呼びベストセラーとなった。岸さんは同作を自身で舞台化。脚本も手掛けた。
小説だけではない。2008年にはフランスの絵本「パリのおばあさんの物語」を翻訳した。長くパリで暮らした経験を生かし、同国で20年以上読み継がれている絵本を日本の読者に届けた。
エッセーにも力を注ぎ、1983年「巴里の空はあかね雲」では、映画監督イブ・シャンピとの突然の離婚から彼の急死に至るまでの10年間、女優として、母として、女として揺れ動く思いをつづった。93年「ベラルーシの林檎」では日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。2019年には「孤独という道づれ」など、自らの人生観をつづった作品も残した。
2024年には「91歳5か月 いま想うあの人 あのこと」を刊行。90歳を超えた自身の人生を振り返り、鶴田浩二さん、萩原健一さん、石原慎太郎さん、美空ひばりさん、力道山さんら、これまでに出会った人々との記憶をつづった。今年5月には文庫版も刊行された。
さらに女優・吉永小百合との共著「歩いて行く二人」も上梓。日本を代表する女優いによる対談&写真集で、人生の出会い、選択、仕事や思い出などを打ち明けている。
女優としてスクリーンに立つ一方、自らの言葉で人生を記録した岸さん。長いパリ生活を通じて洗練された知性とライフスタイルは多くの女性の憧れとなった。

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