
「ずっと会わないでいると会いたくなる人」 伊集院さんが初めて小説を文芸誌に発表したのは81年(「皐月」)だったが、『受け月』で直木賞を受賞したのは92年7月。篠さんと結婚するわずか1か月前だった。伊集院さんと1984年に結婚した夏目雅子さんが、翌年、27歳の若さで亡くなってからの「放浪」もあり、当時から「最後の無頼派作家」などと言われ、それが伊集院さんの定番になった。二人の出会いは篠さんが40歳のころ。夏目さんの逝去から3、4年経った頃だった。
阿川 とにかく、気が合った、って感じ?
篠 でも恋愛感情とか、そういうんじゃないの。
阿川 えー、酔った勢いとかも?
篠 全然ない。そういう人じゃないんです、あの方は。
阿川 篠さんは?
篠 ないです。
阿川 そんな、間髪入れず(笑)。
篠 恋愛って、もう会わないではいられないってなるものでしょ。そういう感覚は一切ない。会おうって電話が来ても、平気で断ってました。ただずっと会わないでいると会いたくなる人だった。
阿川 インパクト強いもんなあ(笑)。
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