日本のエンタメ界を牽引してきたフジテレビの月９ドラマが今、大苦戦している――。２月１２日に第６話が放送される永野芽郁 の主演ドラマ『君が心をくれたから』 の視聴率が、深刻低迷しているのだ。
『君が心をくれたから』は永野主演、お相手役が山田裕貴 の、長崎県を舞台にしたファンタジーラブストーリー。『ＴＶｅｒ』のお気に入り登録数が１０５万人 を突破している一方で、リアルタイムの数字が全く振るわず、第５話 も世帯視聴率５.３％（関東地区／ビデオリサーチ調べ）という、月９枠としては非常に厳しい結果となっている。一部では、月９ワースト視聴率も現実味、とも報じられてしまっている状況だ。
高校時代の初恋の人・太陽 の命を救うため、“あの世からの案内人”と五感を失う契約をした雨 。雨は契約の負い目から太陽を遠ざけようとするも、第５話で太陽は雨の五感が失われつつある こと、本当は両思いであることを知り、２人は涙ながらに抱き合って――という展開が描かれた。
「もちろん好意的な声もあるんですが、五感を失うシナリオが“重すぎて見るのがつらい”という声が多数あり、また第５話まで事態が全く好転しなかったため、“テンポが悪い”という指摘も多いですね。リアルタイムで見る視聴者が序盤でどんどん離脱してしまったのが、現在の非常に厳しい数字につながっているのでしょう。
『君ここ』は現在、テレビ各局が最重要視する１３歳から４９歳までのコア視聴率も２％台前半と、全く取れていません 。若年層に絶大な人気を誇る永野さんと山田さんがメインで起用されたラブストーリーなのに……フジテレビとしては、現状は大誤算のはずですよ。
そんな本作は、《いろんな韓ドラ集めましたみたいな設定》《展開が韓国ドラマっぽい》とも言われてきましたが、奇しくも同時期にスタートした韓流ドラマが絶賛され、すごい結果を残していますよね」
今や韓流ドラマは世界中で評価されるエンタメコンテンツだが、１月２９日からＮｅｔｆｌｉｘで独占配信中の『ドクタースランプ』がネトフリの週間グローバルトップ１０ のテレビ・非英語部門で１位を獲得。大きな注目を集めている。
『ドクタースランプ』は高校時代にライバル同士だったナム・ハヌル とヨ・ジョンウ が主人公の物語。お互いにドクターとして過去最大のスランプに陥っているタイミングで１４年ぶりに再会し、「同級生」から「友だち」へ、そして――というラブコメディだ。毎週２話ずつ更新の全１６話で、２月１１日に第５話が配信された。
パク・シネとパク・ヒョンシクは韓国で絶大な人気を誇る俳優同士のため注目を集めていたが、配信開始後にドラマは各国のネトフリを席巻。全３１の国と地域でもトップ１０入りを果たしている。
前出の制作会社関係者は話す。
「『ドクタースランプ』と『君ここ』には共通点があるんです。『ドクタースランプ』は『君ここ』と同じく、現代パートをメインにしつつ、高校時代の思い出が並行して描かれていきます。俳優は３０代だし、劇中でも“１４年前”なのに、メイン２人は制服姿は１０代、現代は社会人にしか見えなくて、《全く違和感ないのがすごい》と話題になっています。『君ここ』でも永野さんと山田さんが制服姿になっていましたよね」
そして『ドクタースランプ』では、朝の海辺や、多くの桜に囲まれた夜道、見晴らしの良い都会の屋上など、美しい映像が見られる。そこも、長崎の美しい街並みのなかで撮影されている『君ここ』と共通するところと言えそうだが、やはり大きく異なるところも――。
「『ドクタースランプ』は、シリアスなメインシナリオを暗くさせすぎない、基本的に面白おかしく描かれている男女のラブコメ。ただ、その裏にある医療ミスをめぐる陰謀劇、そして疲れた社会人に刺さるであろう名言の数々があり――同ドラマはとにかく見どころが満載で、それらが非常にテンポよく描かれているんです」
《男女主人公の関係性も人生のスランプに至るエピもテンポよくわかりやすくミステリー要素もあって面白い》
《ヒョンシクの笑いあふれるコミカルな演技とシリアスな演技の絶妙さ。その行き来にますます惹きつけられるよね。優しい眼差しがよくて》
といった絶賛する声が、日本でも多くＳＮＳに寄せられている。
『君ここ』と『ドクタースランプ』――もちろん違いも多いが、同じ、高校時代からのラブストーリーで、メイン俳優２人も若い世代に大人気の演技派という点は同じ。美しい街並みも共通するところなのに、片や世界中で見られるほどの人気作品となり、片や月９ワースト視聴率を更新してしまいそうな状況……なぜここまで差が開いてしまったのか。
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