1998年9月2日に放送された『めざましテレビ』は朝の平穏をぶち壊した。

菊間アナが入社3年目の時、悲劇は起こる。事故の発端は『めざましテレビ』内でかつて放送していた、「それ行け!キクマ」というコーナーでのこと。これは、菊間アナが世の中の様々な疑問を体当たりで検証するという企画であり、この日は「高層マンションで火災等が発生した場合の対処法」を紹介していた。

その中で、バンジージャンプのような避難器具を装着させられた菊間アナ。この器具をつかって、ビルの窓から脱出し、その効果を確かめるという。降下するビルの高さは15メートルで、階数にして5階。窓からカメラで地上を見下ろすと、人・植え込みの木・横断歩道、全てが小さく見える。

「高っかいんですよこれ!」。怖がりながらも満面のスマイル&カメラ目線で実況中継する菊間アナ。当時入社3年目の26歳にして、既にいっぱしのテレビ屋。

窓のヘリにぶら下がり、いよいよその時がやってきた。「いきます!せーの!」手を離した。すると、本来はゆるやかに下降するはずが、とてつもないスピードで地上へ向かって急降下。「アッ、アアー!!」菊間アナの甲高い断末魔とともに、「あああああ~~~!」という防災グッズ会社の社長の野太い悲鳴が折り重なるようにして、朝の住宅街に響き渡った。

「ドサッ」という音ともに、下に敷いてあったマットへ叩きつけられた菊間アナ。「あっははは、外れちゃったんだ~」。その様子を見てスタジオで爆笑する、当時のめざましMC小島奈津子アナ。生放送中に発生した、よもやの事態。状況を正確に把握出来なかった。

この時、テレビを見る誰もが数秒間の思考停止に陥った。その間、菊間アナはピクリとも動かない。「菊間ちゃーん」「大丈夫ー?」スタジオからの呼び掛けにも無反応。そこでようやく気付いた。とんでもない衝撃映像を朝っぱらから目撃してしまった。

この事故、本来は柱など頑丈な箇所に巻き付けるはずのロープを、軽めのソファーにくくりつけたが故に起こってしまったという。なんともお粗末な理由。そのせいで、菊間アナは頚椎圧迫骨折という全治3ヶ月の重症を負い、リハビリに1年もかかったというのだからシャレにならない。

このケース、フジテレビと防犯グッズ会社、どちらに非があるのか。自身が弁護士となった今、法律の専門家としての見解を、彼女に聞いてみたい。

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