須賀利大池及び小池は、尾鷲市須賀利町の東、熊野灘に面した半島部にある海跡湖で、平成24年1月24日、国の天然記念物に指定された。
海跡湖とは、地殻変動や海流の影響で沿岸部が閉ざされ、内陸部に海が取り残されてできた湖沼のことで、全国では人工的に改変されてしまったものが多いなか、大池や小池は集水域から海岸線、湖底の堆積物まで良好に保存されており、極めて貴重な例である。
周辺地では、断層周辺で見られる太古の地殻運動(地塊運動)に関する現象が見られるとともに、生きた化石ともいわれるハマナツメ等の絶滅危惧種や希少植物等が生育し、植物分布地理上からも貴重な植物が生育している。また、沿岸部の湿地に生える植物や内陸の湿地に生える植物、水草等が同じ地域で観察できる等、特殊な植物環境が形成されているほか、大池の湖畔にはかつてそこで暮らした人々の痕跡が残されている。
さらに、大池・小池を含む尾鷲市沿岸部は、変化に富んだ海岸地形が随所に見られることなどから、昭和50年12月9日、吉野熊野国立公園に指定(追加指定)されている。