10月22日(米国時間)、米軍や警察、緊急対応要員向けに、遺伝子技術で能力を強化した犬の開発を目指すスタートアップが始動した。もちろん、こうした技術の実用化には慎重な検討も必要となりそうだ。
Warhoundを立ち上げたのは、VRヘッドセット「Oculus Rift」を開発したOculus VRの創業者で、防衛テクノロジー企業アンドゥリルを共同創業したパーマー・ラッキーと、バイオサイエンス企業Colossal Biosciencesの共同創業者であるベン・ラムだ。同社は「米国内の優秀な作業犬の供給体制を再構築する」ことを掲げ、2億ドルを調達した。米国が軍用犬の調達を欧州のブリーダーに依存している現状を改善する狙いもある。
「優秀な犬」を遺伝子から設計
ラムは『WIRED』に対し、Warhoundでは現在、最初の犬たちを生み出すための遺伝子編集を進めていると語った。同社はすでに、米国内で特に優れた能力を発揮している軍用犬、警察犬、緊急対応用の作業犬から血液サンプルを採取しており、これらの犬をクローンとして再現することを目指している。犬種は「主にベルジアン・マリノアで、ラブラドール・レトリーバーやシェパード系の犬も一部含まれる予定」だという。同社は、最初の子犬たちが2027年初頭に誕生すると見込んでいる。
初期段階の遺伝子編集では、股関節形成不全など、これらの犬種によく見られる健康上の問題を取り除くことに重点を置く。将来的には、ラムはさらに「興味深い」分野にも取り組みたいと考えている。例えば、オオカミの嗅覚受容体に関わる遺伝子を組み込み、軍用犬の能力を「強化」することなどだ。
なお、Colossal Biosciencesは、遺伝子編集によって絶滅したダイアウルフの「復活」を目指すプロジェクト「Dire Wolf De-Extinction Project」によって広く知られている。
テキサス州を拠点とするWarhoundは、プレスリリースによると、犬たちに「アンドゥリルの高度なサイバネティック技術『Augments』、ソフトウェア、戦場の状況認識能力」も備えさせる予定だという。
犬たちをサイボーグ化するという意味なのかと尋ねられると、ラムは、現時点での計画は「高度なボディーアーマー」のような装備を与えることであり、犬の体内にコンピューターのようなものを埋め込むことではないと説明した。
「レーザーを搭載した犬が登場する予定はないのですか」と『WIRED』がラムに尋ねると、ラムは「アンドゥリルが何を計画しているかについてはコメントできません」と答えた。「犬の安全性と能力を高めること。そして、人間のハンドラーと犬との絆をさらに深め、チームとして協力して働けるようにすること。それがわたしたちの使命です」
ラムによると、ラッキーもラムもWarhoundの日常業務には関与しないという。ただし、ラムは同社の取締役を務めている。
最高経営責任者(CEO)には、米国防総省で最高データ責任者を務め、直近ではパランティアに在籍していたデビッド・スパークが就任した。投資家には、In-Q-Tel、Sequoia Capital、ARK Investなどが名を連ねる。
ラッキー自身はWarhoundの所有者ではなく、株式も保有していない。また、Andurilも同社に出資していない。一方、Colossal BiosciencesはWarhoundのもち分を保有している。ラムによると、ラッキーとラムはこのプロジェクトに1年以上取り組んできたが、ごく最近になって、これまで非公開だった事業計画を公表することを決めたという。

WACOCA: People, Life, Style.