はじめに

東京ペットホームには、最期の時間を、静かに過ごしている老犬たちがいます。
自分で立ち上がることも、もうむずかしい子。一日の多くを、横になって過ごす子。
その子たちが、少しずつ、ごはんを食べなくなっていきます。

器を変えても。温めても。手のひらにのせて、口元まで運んでも——ふいと、顔をそむけてしまう。
無理に食べさせることは、できません。それでも私は、診るたびに考えていました。どうすれば、この子たちはもう一度、自分の口でごはんを食べてくれるだろう、と。
——そして、ある一杯を差し出したとき。ひさしぶりに、自分から器に顔を寄せた子がいました。たった一口かもしれません。でも、その一口が、どれだけうれしかったか。

この瞬間を、もっと多くの老犬と、その家族に。それが、このプロジェクトのはじまりです。
はじめまして。ノア動物病院グループの獣医師、林文明と申します。私たちノア動物病院は、これまで2年間、老犬ホーム「東京ペットホーム」で暮らす老犬たちの健康を支えてきました。このプロジェクトは、その「老犬を支える」取り組みの、新しいかたちです。
歳をとって食べられなくなった子のための、介護食キットづくり。立場のちがう三つの現場が、手を組んで挑みます。
・老犬の介護を預かる、東京ペットホーム(渡部さん)
・栄養と嗜好性の研究で力を貸してくださる、帯広畜産大学(佐野先生)」
また、しらさぎ動物病院の院長、常安先生には、同じ獣医師として老犬医療の発展に共感いただき、老犬のケアに協力していただいています。
老犬を診る、私たちノア動物病院
毎月、東京ペットホームには、獣医師が往診に行き、3ヶ月に1回、年4回の季節ごとにノア動物病院では血液検査を含め老犬たちの健診を行ってきました。
とある老犬の物語

これは、東京ペットホームで暮らした、とある一頭の物語です。
メインの写真で、器に顔を寄せているのが、トイプードルのメロディーちゃん(16歳)です。
メロディーちゃんは、先日、旅立ちました。それでも——「最期まで、食べる喜びを」という願いは、メロディーちゃんのような子たちのために生まれました。
そして、これは、この子だけの話ではありません。
歯周病のある柴犬のカイくん(14歳)。ドライフードは痛くて食べられず、かといって市販のウェットフードは、すぐに飽きてしまいます。
腎臓病のあるミックス犬のももちゃん(15歳)。口から摂る水分がなにより大切なのに、老化でごはんを認識しづらく、飲み込む力も弱くなっています。
こうした一頭一頭と、毎日、朝も夜も向き合っているのが、東京ペットホームのみなさんです。施設を預かる渡部さんは、こう話してくれました。
「うちに来る子は、その多くが、最期をここで迎えます。だからこそ、点滴で栄養を入れるより前に、できる限り、自分の口で食べさせてあげたい。ほんの一口でも食べてくれた日は、こちらまで、ほっとするんです」
食べることは、生きること。そして、その子がその子らしくいられる、かけがえのない時間そのものです。その当たり前を、最期まで、諦めたくない。これは、東京ペットホームの現場から生まれた、切実な願いです。

「ごはんを食べてくれない」── 老犬ホームの現実
歳をとった犬の「食べない」は、わがままではありません。体の変化が、静かに、確実に進んでいるのです。東京ペットホームで暮らす老犬たちを診ていると、その難しさは、いくつもの顔を持っています。
① 食べられる「量」が、減っていく

若い頃のように、一度にたくさんは食べられません。お皿に半分も残して、ふっと顔を上げてしまう。数時間おきに、少しずつ。それでやっと、一日分。介護する側は、一日じゅう、食事のことを考えて過ごすことになります。
② 「同じ味」に、飽きてしまう

昨日まで喜んで食べていたものを、今日はもう食べない。器を変え、温め、トッピングを変え——あの手この手を尽くしても、ふいと首をそむける。「何を、どうしたら、食べてくれるんだろう」その問いだけで、一日が終わっていく日もあります。
③ 噛む力・飲み込む力が、弱くなる

固いものが、噛めない。飲み込むときに、むせる。口元まで運んでも、うまく食べられない。食べたい気持ちはあるのに、体がついていかない——そんな子も、少なくありません。
私たちの歩み ── 老犬を支え続けてきた2年間

この活動の根っこには、ずっと変わらない一つの思いがあります。それは——東京ペットホームの老犬たちを、最期まで支えること。
私たちノア動物病院は、これまで2回のクラウドファンディングを通じて、ここで暮らす老犬たちの健康を見守ってきました。支援によって、こんなことが実現できました。
・季節ごとの健康チェックと、専門的な検査
・PawWell NMNなどのサプリメントの、継続的な提供
・一頭ごとの健康データの蓄積(次のケアへの土台)
・看取った子たちへの、最期まで寄り添うケア
第1回(2024年)は、目標100万円に対して123万円・達成率123%。85人もの方が、応援してくださいました。
第2回(2025年)からは、帯広畜産大学の佐野先生も加わり、より科学的なケアへと歩みを進めました。ただ、正直にお伝えすると、第2回は達成率73%と、目標には届きませんでした。「これまでの支援を続けます」という見せ方が、新しさや具体性に欠けていたのだと思います。
その反省が、今回の出発点です。「老犬を支える」という土台は変えずに、目に見える、手に取れる、新しい一歩を踏み出したい。
見送った子たちが、教えてくれたこと
この2年で、私たちは何頭もの子を見送りました。
その一頭一頭が教えてくれたことが、いま預かっている子たちへのケアに、つながっています。
そして、この支援は、これからも続きます。私を中心に、最低でも3ヶ月に1回は、東京ペットホームへの訪問を続け、老犬たちの健康を見守っていきます。
今回の介護食キットは、その「老犬を支える」取り組みの、新しいかたちです。
だから、介護食キットを作ります

「食べない」の大きな原因は、飽きと、感覚の衰えです。だったら——毎日、ちがう一杯を出せたら。
私たちが作るのは、飼い主さんが毎食、「素材」と「味」を選んで組み合わせる介護食キットです。
・素材6種(タンパク源)×味6種(旨み)=36通り
・水やお湯を加えるだけで、トロトロ・スープ状に
・毎日ちがう味だから、飽きずに食べられる
大切なのは、「36種類の完成品」ではないということ。「12個の部品(素材6+味6)を、組み合わせる仕組み」です。だから、その日のその子の体調や気分に合わせて、選べます。
なぜ、この仕組みが「食べる」につながるのか

犬は本来、においと味に、とても敏感な動物です。歳をとって嗅覚や味覚が衰えても、「いつもと違う香り」「新しい味」には、ふっと反応してくれることがあります。
毎日同じ一皿ではなく、組み合わせを変えられること。水分が多く、やわらかく、飲み込みやすいこと。この二つが、「もう一口」を引き出すきっかけになると、私たちは考えています。栄養と嗜好性の専門家である佐野先生とともに、ここを科学的に詰めていきます。
※主食「総合栄養食」ではなく、食べる楽しみを支える「補助食(栄養補完食)」として位置づけ
使い方は、かんたんです

・素材の小袋を1つ、味の小袋を1つ、選ぶ
・器に入れて、混ぜる
・水(またはお湯)を加える
・トロトロ・スープ状で、できあがり
火も包丁も、いりません。介護で疲れている日でも、負担なく続けられること。それも、大切にした設計です。
このキットで、実現したいこと

食べなかった子が、もう一度、自分の口で食べる。その一口の積み重ねが、穏やかな毎日と、家族の安心につながっていきます。
まず、1年間。東京ペットホームの老犬たちを支えながら、確かめます
このプロジェクトの土台は、東京ペットホームの老犬たちを支え続けることです。3ヶ月に1回の往診と血液検査を含む健康チェック、日々の悩み解決のためのサポート——過去2回のクラウドファンディングから続けてきた「老犬たちの寿命を伸ばす」この取り組みを、今回もいただいたご支援で1年間継続します。
そのうえで、介護食キットです。いきなり全国へ、ではありません。まずは東京ペットホームの子たちに、1年間かけて、実際に試してもらいながら、データ収集を行います。
・実際に、食べてくれるか
・どの「素材 × 味」の組み合わせが、好まれるか
・体調や食欲に、どんな変化があるか
一頭ごとに、ていねいに記録します。「なんとなく良さそう」ではなく、データとして残す。それが、本当に役立つ介護食をつくる、いちばんの近道だと考えています。
そこで磨いた介護食を、全国の「食べてくれない」に悩む老犬と、その家族へ届けていきたい。それが、このプロジェクトのゴールです。
安心への配慮

ごはんは、毎日、体に入るものです。だからこそ、安心して与えられることを、何より大切にします。
・動物病院の監修:ノア動物病院(獣医師・林文明)が、設計から監修
・学術連携:帯広畜産大学(佐野忠士)が、栄養と嗜好性の面から支援
・製造:国内の専門工場で、衛生管理のもと製造
・表示:原材料・原産国・賞味期限・成分などを、ペットフード安全法に準じて明記
そして何より——訪問検査を続けながら、その子の状態を見たうえで使えること。「作って売って終わり」ではなく、診ている獣医師が関わり続ける。これが、私たちだからできる安心だと考えています。
このプロジェクトのメンバー

林 文明(はやし ふみあき)/ ノア動物病院グループ 代表・獣医師
獣医師として38年間、犬や猫の診療に携わってきました。近年は老犬医療に力を入れ、NMN(PawWell)の活用にも取り組んでいます。東京ペットホームへの往診を続け、本プロジェクトの主催を務めます。
渡部 帝(わたなべ あきら)/ 東京ペットホーム 代表取締役
11年前に東京ペットホームを創業。これまで100匹以上の犬を、終生にわたり預かってきました。「最期まで、その子らしく」を信条に、日々老犬たちの介護に向き合っています。

佐野 忠士(さの ただし)/ 帯広畜産大学 准教授
栄養と「おいしさ」の研究の立場から、介護食の設計に科学的な裏づけを与えます。
資金の使い道と、段階目標
いただいた支援を、何に使うのか。正直にお伝えします。
【基本目標120万円の内訳】
・健康チェック費用(50%):獣医師による往診と、血液検査を含む健康チェック(3ヶ月に1回・1年間)
・検査消耗品・データ管理(15%):検査キット、健康データの記録と分析
・介護食キット試作費(20%):在庫素材を用いた試作・食べ比べ・撮影の費用
・リターンの原価・送料、活動報告(15%)

STEP 1(120万円):往診・健康チェックを1年間継続/在庫素材で介護食キットを開発し、東京ペットホームの子たちに1年間、実際に試してもらう。未達でも往診と健康チェックは必ず続けます。
STEP 2(150万〜200万円):新しい素材を加え、約1ヶ月分のフルローテーションを実現
STEP 3(300万円):素材6種×味6種=36通りの本格版を量産
※募集方式:All-In。目標未達でも計画は実行しリターンをお届け。
リターンについて
リターンは、このページ下部の「リターンを選ぶ」一覧をご覧ください。ご支援いただいた皆さまには、介護食キットの開発の進み具合を活動報告で最優先でお届けします。
【ペットホテル利用券をご利用の方へ】
ペットホテルの提供は、東京ペットホーム(合同会社羽田ライフサービス)が行います。
・第一種動物取扱業登録:本館(キャットホーム)24東京都保第004360号/2号館(ドッグホーム)25東京都保第004954号
登録情報 https://tokyo-cathome.com/registration/
・ご利用条件 https://tokyo-cathome.com/pet-hotel/
・重要な注意事項
高齢や持病のあるペットをお預かりする性質上、宿泊中に体調が急変し、万一の場合は死亡に至るリスクがあります。ご利用前の健康状態によってはお預かりをお断りする場合があります。宿泊中の体調悪化について東京ペットホームは責任を負いかねます。また、医療行為や代行受診は行えないため、体調悪化の際は飼い主様または代理の方に速やかなお迎えをお願いします。
みなさんの声
東京ペットホームに預けている飼い主さんの声
「いつも林先生に往診に来ていただいていて、とても感謝しています」
「わが子の症状について、複数のドクターから意見をいただけるのは安心。」
実施スケジュール

・2026年夏〜:クラウドファンディング実施
・終了後〜秋:いただいたご支援をもとに、計画を具体化
・秋〜冬ごろ:試作・東京ペットホームでの食べ比べ
・2027年〜:開発を進めながら、進み具合を活動報告でお届け
・リターンは、準備が整い次第、順次お届け(お届け予定月は各リターン欄に記載)
※スケジュールは状況により前後する場合があります。変更があれば、活動報告で必ずお知らせします。
【活動実績と今後の活動計画】
■ これまでの活動実績
・活動期間:2024年〜現在(約2年間)。毎月の往診と、3か月に1回の血液検査を含む健診を継続してきました
・活動場所:東京ペットホーム(東京都大田区)、ノア動物病院
・活動体制:ノア動物病院(獣医師 林文明)と東京ペットホーム(代表 渡部帝)を中心に、帯広畜産大学(佐野忠士准教授)、しらさぎ動物病院(常安院長)の協力を得て活動しています。2024年・2025年のクラウドファンディングでのご支援をもとに実施してきました
■ 今後の活動計画
・活動期間:2026年10月〜2027年9月(1年間)
往診と血液検査による健康チェックを3か月に1回のペースで継続し、並行して介護食キットの試作・食べ比べを進めます。キットは完成後に東京ペットホームの老犬たちへ提供し、1年間かけてデータを収集します
・活動場所:同上
・活動体制:同上。進み具合は活動報告でお伝えします
この企画の、その先に

このキットは、ゴールではなく、はじまりです。その子に合わせた、もっと多様なサポートを、ひとつずつ形にしていきたい。たとえば、リハビリ。お灸や鍼。皮膚のケア。
そして、いつか——使わなくなったフードや医療品を、「譲りたい人」と「必要な人」とでつなぐ。そんな、やさしい仕組みもつくれたら、と考えています。一つずつ、確かに。この一歩から、はじめます。
よくあるご質問
Q. 集まった支援は、何に使われますか?
介護食キットの開発・製造、リターンのお届け、東京ペットホームへの継続支援に充てます。
Q. この介護食は、主食として与えてよいですか?
主食ではなく「補助食(栄養補完食)」です。ふだんの食事に加えて、または食欲が落ちたときに。
Q. どのくらい日持ちしますか?
常温で長く保存できる形を予定しています(製法は検討中)。防災備蓄にも役立つ設計を目指します。
Q. 1日にどのくらい与えればいいですか?
体重・体調により変動。与え方ガイドを同梱します。
Q. 何歳から使えますか?
シニア想定ですが、食欲が落ちた子なら年齢問わず可。
Q. アレルギーが心配です。
素材を選べる設計。心配な場合は獣医師にご相談を。
Q. 遠方でも活動の様子はわかりますか?
活動報告で開発の進み具合をお届けします。
Q. 法人として応援したいのですが。
法人スポンサーのリターンをご用意しています。
最後に ── 「もう一口」のために

食べることは、生きること。そして、その子がその子らしくいられる、かけがえのない時間です。
老犬の介護に、特効薬はありません。私たちにできるのは、毎日の小さな「もう一口」を、ていねいに積み重ねていくこと。そのための、ささやかな、けれど確かな道具を、つくりたいのです。
最期まで、食べる喜びを諦めない。その願いを、一頭でも多くの老犬と、その家族に届けたい。これは、私たちだけでは実現できません。
どうか、その最初の一歩に、力を貸してください。あなたの応援が、どこかの老犬の「もう一口」になります。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
ノア動物病院グループ 代表取締役 獣医師 林 文明
東京ペットホーム 代表取締役 渡部 帝
帯広畜産大学 准教授 佐野 忠士

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