2026年6月9日
災害時もペットと一緒に。同行避難を促進へ
飼い主の「自助」が前提
全自治体で体制を整備
環境省が指針改訂案示す
災害大国・日本で近年、人だけでなくペットの避難も重要な課題として注目されている。環境省は現在、災害時におけるペットの避難に関する自治体向けのガイドライン(指針)の改訂に向けた議論を進めており、飼い主と一緒に行動する「同行避難」の促進などを打ち出す方針だ。
同省が現在、改訂に向けて議論しているのは「人とペットの災害対策ガイドライン」だ。過去の大規模災害の経験を踏まえ、自治体が地域の状況に応じた人とペットの災害対策を検討する際の指針となるもので、2013年に前身の「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」が策定されて以来、必要に応じて改訂されてきた。
約8年ぶりとなる今回の改訂は、避難所でペットの受け入れを拒まれたケースなど、24年1月の能登半島地震で浮き彫りになった課題が背景にある。これを受けて同年6月に修正された防災基本計画では、同行避難してきた被災者を適切に受け入れることが示された。こうした経緯を踏まえ、同省の検討会がガイドラインの改訂を議論してきた。
議論に先立ち同省は、改訂のポイントを示した上で具体的な改訂内容を検討。3月の検討会で改訂案が示された。
柱の一つが、同行避難の促進だ。飼い主による「自助」を前提に、全ての自治体で同行避難の受け入れ体制を整備するよう求め、避難所でペットを連れた被災者に対して自治体が必要な支援を行う必要性を指摘している。
一方で、過去の災害では衛生上の問題や鳴き声、動物アレルギーなどを巡ってペットを飼養しない人との間でトラブルも起きていることから、避難所運営に際して十分な配慮も促す。その上で、人とペットが別の部屋で過ごす「住み分け」や、ペットをケージに慣れさせるといったしつけを行うことを飼い主に求める。
また、避難所だけでなく在宅での避難やペット可のホテル、施設などに一時的に預けるなど、飼養環境に合わせて飼い主が選択する重要性にも言及している。
環境省は近く、改訂案に修正を加えた上でパブリックコメント(意見公募)を行い、今夏をメドに正式決定する方針だ。
■急がれる「ペット防災」
大規模な自然災害が多い日本では、「ペット防災」のあり方が長年課題になってきた。
1995年の阪神・淡路大震災では、被災した動物に対してボランティアによる救援活動の必要性が初めて認識された。
社会全体で大きな問題として注目され、具体的な仕組みが作られる決定的な契機となったのは、2011年の東日本大震災だ。
東京電力福島第1原発事故の警戒区域などでは多くのペットが自宅に取り残され、餓死したり野生化したりする事例が大きな問題となったほか、一度避難した飼い主が、家に残してきたペットを助けに戻って津波に巻き込まれる二次被害が発生。同行避難の重要性が指摘されるようになった。
16年の熊本地震では同行避難の意識が浸透しつつあったが、避難所側での受け入れ体制が整わず、受け入れ拒否や車中泊の増加といった新たな課題が顕在化。災害時に安心してペットと一緒に避難できる環境整備が急がれている。
■公明、対応強化を推進
公明党は、国会や地方議会でペットの同行避難を積極的に推進している。
東日本大震災後の11年5月、政府への提言でペットと共に避難できる環境整備を要望したほか、12年の国会質問でもペットとの同行避難を国の防災基本計画に明記するよう主張。その結果、14年の同計画改訂で対応が明記された。自治体の地域防災計画で災害時のペット対応を明示するケースが広がっている。
公明党は実際の災害現場でもペットの保護に尽力しており、例えば能登半島地震では、より安心できるペットの受け入れ環境としてペット専用のトレーラーハウスの設置を進めた。
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