妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちの本当の苛立ち、あふれんばかりの悩みとは? 専門家の解説を元に、リアルな事象に切り込んでいく。それが『女たちの事件簿』

一般社団法人日本ペットフード協会の調べによると、2025年に国内で飼育されている犬は約6,820万頭、猫は約8,847万頭。犬の飼育頭数は下げ止まり、猫はほぼ横ばいの傾向が続いている。危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。

「犬猫の平均寿命は伸び続けています。命を預かる以上、最後まで飼い続けることができるかどうかは、ペットを迎え入れる際に最も慎重に考えなければならない問題です」

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実際、ペットが飼い主より長生きしてしまうリスクを鑑み、販売や譲渡に年齢制限を設けるケースも増えている。

「特に高齢者の独居世帯では、飼い主に万が一のことがあれば、ペットは行き場を失ってしまいます。また、物価高や原油高の影響でペット用品も高騰しており、経済的な余裕も精査する必要があります」

一方で、ペットを過去10年間飼育したことがない層も2024年の調査では約63.9%にのぼる。

「動物が好きな人ばかりではありません。飼い主には、排泄物の処理や鳴き声への対処など、周囲への細やかな配慮が欠かせません。ペットを飼うことは、社会との調和を保つことでもあるのです」

今回お話を伺ったのは、近所のスーパーでパートとして働く山本美佳子さん(仮名・42歳)。彼女は職場で、ある理不尽なトラブルに直面したという。

「小学生と保育園の子どもを育てる4人暮らしです。昔、実家で犬を飼っていたので動物は好きですが、今の家は狭いですし、経済的にも時間的にも、今は飼う余裕はありません。だからこそ、街でワンちゃんを連れている人を見ると、少し羨ましく感じることもありました」

しかしその一方で、以前から気になっていた光景がある。

「一部の高齢者が、スーパーの駐輪場のポールに犬を括り付けていたり、カートに乗せたまま放置して買い物に行ったりする姿に違和感があります。良識のある人は犬を連れてはこないですよね。真夏や冬場などは体調面でも不安ですし、何より置いてけぼりにされて犬が可哀想…」

ある日、その「違和感」が最悪の形で爆発する。

「保育園のお迎え帰りにスーパーに寄ったときのことです。外のポールに繋がれたワンちゃんが、耳をつんざくような声で激しく吠えていました。正直、騒音レベルで犬が好きな私でもうるさいなと感じてしまうほど。駐輪場にいた人たちも騒然として、飼い主を探してキョロキョロ…」

不安になった美佳子さんの長男が「ワンちゃん大丈夫かな?」と言いながら心配そうに犬へ歩み寄ったその時だ。

—何やってんだ! この泥棒!

背後から鋭い怒鳴り声が響いた。飼い主と思われる高齢の女性が走り寄ってくると、勢い余って長男に激突。長男は尻餅をつき、あまりの恐怖に大泣きしてしまった。すると女性はさらに追い打ちをかけた。

—うるさい子どもだね!!!

「犬を盗もうとしたと勘違いしたんでしょうか。でも、息子は何もしていません。なんなら、ずっと鳴き続けていたのは、放置されていたそちらの犬の方なのに……。誘拐犯扱いまでされて、あまりにもショックでした」

呆然とする親子。しかし、この絶体絶命の場面で、意外な人物が救いの手を差し伸べる。

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※本記事で使用している写真はイメージです。


【取材協力】危機管理コンサルタント|平塚俊樹氏 【聞き手・文・編集】河本美乃里 PHOTO:Getty Images 【出典】一般社団法人|令和7年(2025年)全国犬猫飼育実態調査、令和6年(2024年)全国犬猫飼育実態調査

 

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