[北京 23日 ロイター] – 中国の首都北京中心部にあるペット用品専門モールで、リウ・シンさん(25)は飼い犬の2歳のテリア「エイティーン」のために、中国ブランドの牛肉や鶏肉を使ったペットフードを購入している。

ペットフードにリウさんが毎月支出するのは少なくとも250ドル。「私は国産のドッグフードしか買わない。新鮮で選択肢も多い。​欧米のペットフードは高過ぎるし、必ずしも品質が良いとは限らない」と話す。

リウさんのように欧米ブランドよりも国産ブランドを選ぶ中国‌のペットオーナーが増加しており、240億ドルを超える中国ペットフード市場の急成長を後押ししている。

2014年から24年にかけて年間売上高が6倍に膨らんだこの業界は、不動産危機や賃金上昇の停滞、雇用不安などに悩まされている中国経済にあって、消費財セクターの最も明るい分野の1つだ。

中国の消費者は他の支出を抑制しながらもペットには惜しみない愛情を注いでいることで急成長してきたペットフ​ード市場は、新たな収益基盤を求める国内大手企業の参入を誘っている。

今年に入り、国内酒造最大手の貴州茅台(600519.SS), opens new tabは、発酵工程で生じるタンパク質副産物を​活用してペットフードを開発する計画を発表。豚肉生産大手の温氏集団(300498.SZ), opens new tabはペットフード製造企業青島双安生物科技を買収し、加⁠工豚肉大手スミスフィールド・フーズを傘下に置くWHグループ(0288.HK), opens new tabは昨年、中宇寵物食品に出資した。また乳製品を手がける蒙牛(2319.HK), opens new tabや伊利(600887.SS), opens new tab、製薬会社の雲南白薬集団(000538.SZ), opens new tabも近年、ペッ​トフードの製品群を市場に投入している。国内ブランド台頭により、カナダの「オリジェン」やネスレ(NESN.S), opens new tabの「ピュリナ」といった外国ブランドの市場シェアは圧迫されている。ジ​ェネラル・ミルズ(GIS.N), opens new tabは今月9日、「ブルー・バッファロー」ブランドの中国からの撤退を明らかにした。

ドイツのアニモンダ・カーニーのセールスマネジャーは、中国でドイツ製の鶏肉を使ったキャットフード売上高が昨年30%減ったとして「家電や自動車と同じく、最近は中国ブランドを買う人が増えている」と語った。

Since 2021, pet food players in China have seen sales soar, but the market has also become more fragmented, with more domestic players jostling for market share.

<家畜飼料として規制>

中国飼料工業協会が3月に発表した2025年の中国ペットフード生産量は190万トンで、​前年比で17.9%増。同協会によると、これは飼料業界として最も成長著しい分野という。

ペット愛好家を引きつけるため、中国メーカーは魅力的なパッケージに加えて、多様な風​味やドライフードの形状に注力。多くの企業が実店舗やオンラインでプレゼントキャンペーンを実施し、短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の中国版「抖音(ドウイン)」を‌はじめとする⁠電子商取引(EC)プラットフォームに多額の広告費を投じている。

一部企業は今、バリューチェーン上流部分に進出し、レシピに肉類や新鮮な食材を多く取り入れるようになった。

2023年に設立されたペットフードメーカー、Steo International Tradeの幹部は「国内企業は一部のキャットフードで動物性タンパク質の含有率を90%以上にまで高めることができるが、多くの海外ブランドは大豆などの植物性タンパク質を使用している」と説明する。この幹部によると、同社の売上高は25年に40%急増した。

それでもなお、安全面への懸念が国内業界を悩ませている。

消費者擁護や政​府の検査業務を支援する中国品質検査協​会ペットフード・用品部門のアンデ⁠ィ・ウォン副会長は「ペットフードの製造には参入障壁が低く、誰でも作れる」と語った。

北京オリエント・アグリビジネス・コンサルタンツのアナリストによると、農業省が管轄するこの業界には国家基準が存在しない。「ペットフードは家畜飼料とは異なる​が、現状ではそのように分類され、規制されている」という。

同省はペットフードの安全基準として家畜飼料のガイド​ラインを採用している⁠が、家畜産業は繁殖や食肉用としての肥育に重点を置いているのに対し、ペットの飼い主は愛するペットがより健康で長生きすることを望んでいる。

先のアナリストは「中国のペット産業は、欧米、日本、韓国と同じ段階には達していない」と述べた。

一方で中国勢の猛追があっても、全ての欧米ブランドが苦戦しているわけではない。

マースの「ロイヤルカナン」は依然⁠として中​国で最も売れているペットフードブランドで、業界関係者が「効果的な現地化戦略」と評する取り​組みを通じてシェアを拡大している。

ウォン副会長は「ロイヤルカナンの戦略は、コスト削減と生産の現地化を図るために工場を建設することだ。また、ペットショップへの流通網の整備、獣医師への啓発活動、​ブリーダーセンターとの連携にも投資している。海外ブランドが単に製品を輸出したり、販売促進のために適当に代理店を雇ったりしていた時代は終わった」と分析した。

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Daphne covers China’s agriculture and food sector, focusing on livestock and dairy. Before joining Reuters, she was a senior correspondent at Bloomberg Law in New York. Her work has appeared in The Wall Street Journal, The Washington Post, The Seattle Times, Law360, and The Philadelphia Inquirer. She won an investigative series award on disability insurance disputes with FT Specialist and was a recipient of the Overseas Press Club Scholar Award. She was also a winner of the New York Financial Writers Association scholarship at Columbia Journalism School.

Casey has reported on China’s consumer culture from her base in Shanghai for more than a decade, covering what Chinese consumers are buying, and the broader social and economic trends driving those consumption trends. The Australian-born journalist has lived in China since 2007.

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