発売から数週間で大幅に増刷

先月8月5日に刊行された『天国での暮らしはどうですか』(中山有香里著/KADOKAWA)がSNSで話題になっている。  
Xでは28万人、インスタグラムでは15.5万のフォロワーを持つ看護師で漫画家の中山有香里さんのXでの連載「天国シリーズ」に、書下ろし「Another Story」を加えた本書には、大事なペットたちが亡くなった、「その後」の物語を描かれている。

「天国シリーズ」は、中山さんの個人アカウントで綴っているもので、SNSでは自由に読める。それでも、発売から1ヵ月経たないうちに、大幅な増刷が決まったことについて、KADOKAWAの担当編集者である佐藤杏子さんは、  
「読者の熱量がとても高く、SNSにはペットの遺影と本を一緒に撮影した写真だったり、ペットの思い出を書いてくださったり、どれもが愛情深く、想いが深くて……。そうした辛いお気持ちを整理されるのに中山さんの本が一役かってくれているのかもしれません」と話す。

『天国での暮らしはどうですか』(中山有香里著/KADOKAWA)

前編「『飼い主の不幸を持てるだけ持っていく』天国へ逝く飼い猫が飼い主のためにしてあげたこと」では、本書の中から、猫のたまサブローが天国に行く前日の話を紹介した。明日「この世を去る予定」の老猫たまサブローに、死神が「ネコは死ぬときに飼い主のこの先の不幸を持てるだけ持っていっていいんだ」と教えると、老骨に鞭を打って何往復もし、飼い主だった三郎の不幸を持てるだけ背負って天国へと旅立った。

前編「『飼い主の不幸を持てるだけ持っていく』天国へ逝く飼い猫が飼い主のためにしてあげたこと」を読む。

「もっときちんと関わればよかった、という後悔」

実は、三郎とたまサブローの話は、中山さんのおじいさんとその飼い猫をモデルにしたのだという。  
「祖父はあまり人付き合いが得意ではなくて、傍から見ると孤独でした。ところが、亡くなった後に、飼っていた猫の写真がたくさん出てきて、猫には心を開いていたことを、後で知りました。  
生前、もっときちんと関わればよかった、という後悔もあって、祖父と猫の関係について描いてみようと、こういう話になりました」(中山さん)。

中編では、たまサブローと飼い主の三郎のつながりを、辛そうな表情で見つめる猫のさくらを主人公にした、「さくらの記憶」を紹介する。

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