「秋田犬会館」の秋田犬=秋田県大館市
「忠犬ハチ公」の古里として知られる秋田県大館市の「秋田犬会館」が、交流サイト(SNS)をきっかけに国内外で注目を浴びている。新型コロナウイルス禍に、もふもふした毛並みの巨大な犬たちの投稿が癒やされると何度もバズり(広く拡散され)、フォロワー数は計23万人超。インバウンド(訪日客)増加も追い風となり、間近で会える施設としてファンが集まる。(共同通信=山田純平)
三角の耳にくるんと丸まったしっぽ―。会館に入ると、3頭の秋田犬が日替わりで出迎えてくれる。のんびりとくつろぐ様子も間近で見られる。
秋田犬は日本犬で唯一の大型犬。かつては狩猟犬として飼育されており、1931年に国の天然記念物に指定された。会館は1978年に秋田犬保存会の設立50周年を記念してオープンし、秋田犬の歴史や生態、ハチ公の生涯などを学べる展示もある。
2018年には、平昌五輪女子フィギュアスケートの金メダリスト、アリーナ・ザギトワさんに保存会が贈った「マサル」が話題となり、2万人以上が訪れた。しかし、コロナ禍で数千人まで激減した。
活路を開いたのが、X(旧ツイッター)やインスタグラムを使った動画や写真の発信だ。日常の様子をほぼ毎日更新。Xでは職員が生後4カ月の巨大な犬を背負った写真の投稿が3万8千回リポスト(転載)され、「巨大ぬいぐるみみたい」などのコメントがついた。
2024年の来館者数は約3万2千人に増え、地元の観光振興にも欠かせない存在に。SNSをきっかけに立ち寄る訪日客も多く、特に23年に秋田とのチャーター便が就航した台湾のファンが多い。展示には、英語や中国語などで説明が読めるQRコードをつけた。
保存会によると、登録済みの秋田犬の3割が海外で飼育されているという。同会事務局長の庄司有希さん(34)は「秋田犬の魅力を知ってもらい、飼う人が増えてほしい」と期待する。
「秋田犬会館」の秋田犬=秋田県大館市
2018年5月、贈呈された秋田犬の子犬を抱き、笑顔のアリーナ・ザギトワさん。「マサル」と名付けられた=モスクワ(共同)
「秋田犬会館」の職員が生後4カ月の巨大な犬を背負ったX(旧ツイッター)の投稿
「秋田犬会館」の展示について説明する秋田犬保存会事務局長の庄司有希さん=秋田県大館市
