北海道・知床半島沖の観光船遭難事故で、救助された10人の死亡が確認された。

残る不明者の捜索は24日午後5時半現在も続いている。

こうした中、行方不明者の家族がFNNの取材に対して今の心境を語った。

北海道・知床の海で、夜通し行われている行方不明者の捜索。

24日午前6時すぎ、岬の先端付近の岩場で、海上保安庁の隊員が2人を救助したときの写真。

これまでに10人が見つかり、救助された。

しかし、24日午後、全員の死亡が確認された。

知床半島の大自然を海から見られるとして、観光客に人気の観光船「KAZU I」から、「船首が浸水した、エンジンは使えない、救助してほしい」と要請があったのは、23日午後1時すぎのことだった。

当時、船には子ども2人を含む24人の乗客と、船長の豊田徳幸さん、甲板員の曽山聖さんの合わせて26人が乗っていた。

その後、午後2時ごろ、「船首が30度ほど傾いている」との通報を最後に連絡が途絶えたという。

当時、波の高さは3メートルほどあり、波浪注意報などが出ていた。

23日、漁に出たという漁師は「朝イチに行ったが、西風がけっこう吹いてて、仕事にならないから朝帰ってきた。昼から北風になって、波がでるとわかっていたから」と話した。

また、別の観光船の乗組員は船長に出港をやめるよう、アドバイスしたという。

別の観光船の乗員「僕は(船長を)止めました。 どんどん海上が悪くなるから、(出港は)止めた方がいいぞと。(船長は)『はい』と言っていたけど、そのまま」

さらに「KAZU I」の船首部分に、小さな亀裂があったと話した。

別の観光船の乗員「(亀裂は15cmくらい?)だいたいこれくらい、3月から。そういうところをちゃんと直さないと、人を乗せる船だから」

その亀裂が、今回の浸水の原因なのだろうか。

「KAZU I」は、2021年6月にも浅瀬に乗り上げ、座礁事故を起こしている。

行方不明者の捜索を行っている自衛隊のヘリコプターの映像。

カメラがオレンジ色の物体をとらえた。

小型の船舶に搭載されている「救命浮器」と呼ばれる救命器具とみられている。

「KAZU I」の船の写真にも同じようなものが搭載されていて、海上保安庁が撮影した写真には、船名の「KAZU I」と書かれていた。

これまでに船体はまだ確認されていない。

「KAZU I」が今回救助を求めた場所は、観光客に人気のあるカシュニの滝の近くだった。

しかし、24日多くの人が救助された知床半島の先端付近は、直線距離でおよそ15kmほど離れていた。

今回、観光船に乗っていた24人の乗客のうち、3人は佐賀県から観光に来ていた人たちとみられている。

78歳の父親が乗っていたという家族が、FNNの取材に答えてくれた。

佐賀県から訪れた男性(78)の家族「友達に言っていたみたい、『知床の海に行く』と。最近はコロナで一時行けなかったけど、そろそろ行けるかなという感じで行ったのでは。10時の(観光船)をとっていたので、予定通りだったら、それに乗っていたはず。まさかこういうことになるとは思っていなかったと思う」

3人は23日に観光船に乗ったあと、24日は阿寒湖周辺を観光する予定だったという。

また、同じグループの別の家族は、「きのう電話をしたらつながらなかった。旅のスケジュールは聞いていなかったが、事故の報道があったので、もしかしてとよぎった」と話してくれた。

行方不明者の捜索は今も続いている。

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