新型コロナウイルスの感染拡大は、冬季競技にも影響を及ぼしている。渡航制限のため海外に行けず、多くの選手は夏場の雪上練習を積めていない。そんな状況でも、スノーボード・ハーフパイプのエースに成長した戸塚優斗は、どこ吹く風。「(試合が)いつ始まってもいいように体幹(トレーニング)はしておいて、準備はしておきたいなって感じ」と笑う。
 この夏、戸塚の姿は横浜市内のジムにあった。「これだけ長い間(雪に)乗らないのは初めて」。例年ならニュージーランドなど南半球に渡って、雪上トレーニングを積む時期だ。全日本スキー連盟は8月末、アルペンスキーを皮切りに海外合宿を手探りで解禁したが、雪上練習は春先から半年近く全くできていない状況が続いたという。
 それでも、戸塚から余裕すら感じられるのはなぜだろうか。充実した練習はできている? との問いに「そうですね」と即答し、「新しい趣味が増えました」と、空いた時間でバイクの免許を取ったことも明かしてくれた。滑れなくても、焦りはない。
 その理由について、用具面のサポートを続けるヨネックスの八重樫洋和さんが言う。「成績が出て、自信がついた。自分なら大丈夫だ、と。だからかな」
 戸塚は昨季、五輪、冬季Xゲームと並ぶビッグタイトル「USオープン」を制した。名実ともに世界のトップ選手の仲間入りをしたことが、コロナ禍でも揺れない内面の落ち着きをもたらしたとみる。
 練習は専ら、ジムやエアバッグ施設で行う。それでも、「下半身が一回り大きくなったし、体の使い方が本当に上手になった。ジャンプ力がつながる」と、トレーナーの大野勇樹さん。USオープン制覇の要因の一つとなった空中技の高さに、磨きがかかっているという。

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