ヨーロッパの中でも急速にオミクロン株の市中感染が広がっているのが、北欧デンマークです。その数は1800人以上と世界最多レベル。一体、何があったのでしょうか。現地を緊急取材しました。
▽“クリスマスランチ”で集団感染
デンマークの首都コペンハーゲンから電車でおよそ4時間。 ユトランド半島中部の都市・ヴィボー。デンマークのオミクロン株の感染は、この街から広がったとされています。その発端は・・・
(山上記者)
「こちらの集会場では“クリスマスランチ”というイベントが行われていました。玄関にもこのようにツリーが飾られていますが、この”クリスマスランチ“に参加していた多くの高校生がオミクロン株に感染していたそうです」
先月27日に開かれたクリスマスランチと呼ばれるパーティーで、地元高校生ら150人のうち、69人がオミクロン株に感染。保健当局は、このイベントが国全体に感染を広げたとみています。
(参加生徒が通う高校の教師)※この教師は参加していません。
「クリスマスランチの時はマスク着用が義務ではなかったと思います。オミクロン株に感染するとすぐに隔離されます。濃厚接触者やその人に接触した濃厚接触者も隔離されます。」
街を揺るがすオミクロン株に人々は・・・
(山上記者)
「街の中心部にあるこちらの施設は新型コロナの簡易検査場です。ずらっと検査に来た人で行列ができています」
無料で受けられる抗原検査に殺到していました。
(高校生)
「2週間前にクリスマスランチに参加しました。感染していないかどうか確認するためです。」
Q. クリスマスランチに参加する予定は?
「いいえ、ありません。ワクチン接種をしていないから心配です」
感染を広げる原因になった“クリスマスランチ”はデンマークの年末の伝統行事。職場の同僚や友人同士で集まり、伝統料理を楽しみます。ジャガイモの蒸留酒・アクアビットやビールが欠かせないそうです。
(山上記者)
「コペンハーゲンの中心部には簡易の救急センターが設置されています。これはこのシーズンだけのものです。クリスマスランチでたくさん酒を飲んで酔っ払った人が介抱されるということです。」
Q. クリスマスランチとはどういうイベントですか?
「デンマーク語で『ヒュッゲ(楽しい時間)』です。とても大切なものです」
「中止になりました。代わりに5月に開かれる予定です。とても悲しかったです。本当に楽しみにしていたのです。たくさん準備をしていました」
デンマークの保健大臣も職場で開かれたクリスマスランチに参加。のちにコロナ感染が確認されています。
デンマークでは、今月に入り過去最多の新規感染者数を記録するなど、これまでにないスピードで感染が拡大。確認されたオミクロン株の感染者数は、イギリスと並ぶ世界最多レベル。11日時点で1840人を記録しています。なぜデンマークで、これほど多く確認されたのでしょうか?
(国立セラム研究所 ラスムセン教授)
「この機械で今まさにコロナウイルスのゲノム解析が行われています。デンマークでは多くのオミクロン株が確認されていますが、多くのゲノム解析を行っているからです」
デンマークでは諸外国と比較しても積極的にゲノム解析を行っていて、これまでに、全感染者の半数近くの解析を行っています。
(国立セラム研究所 ラスムセン教授)
「どのようにウイルスが変化しているのかコンスタントに把握するためです。初期の段階で(変異株の)深刻さについて少しでもわかっていれば、ワクチン接種状況をもとにどの程度準備すべきか考えることができます。国が何に向けて取り組んでいけば良いか指針のようなものが得られるのです」
現在では、新たにオミクロン株と確認された人の9割が国内で感染しており市中感染が広がっているといいます。
(山上記者)
「いま時計が鳴り、12時を告げています。規制が強化され、パブを閉めなければなりません。閉店の準備を急いでいます」
この事態に、10日、デンマーク政府は飲食店の深夜0時から翌朝5時までの営業を禁止。店内でのマスク着用も義務付けるなど再び、規制強化に舵をきりました。
▽市中感染で規制強化も「楽観ムード」
「新型コロナは脅威ではない」。
9月、政府はこう発表し、あらゆる規制の解除に踏み切っていましたが”日常”を取り戻せたのは3カ月だけでした。
(パブの客)
「正直戸惑っている。政府は以前あった規制を『大丈夫だ 外に出て楽しんで』と緩和したばかりなのに、コロナをコントロールできたと思っていた。感染者も少なかったし、もう危険はないと思っていた」
(パブの店主)
「ワクチンを接種しているし来年1月の3回目の接種を待っている状態だ。すべて大丈夫だという自信がある。どうして私たちが店を閉めないといけないのか」
首都・コペンハーゲンでは“楽観的なムード”が広がっています。
(山上記者)
「こちら世界中の観光客に人気のチボリ公園なんですが、感染拡大が伝えられる中でも観光客で大賑わいですね。クリスマスの催しもやっているということで華やかさがありますね」
「クリスマスマーケットといえば、こちらホットワインですけれど、これを買い求める人たちで行列ができています。オミクロン株の感染拡大を感じさせない賑やかさですね」
(買い物客)
「新しい変異株なんて毎月出現していますよね。心配していないです」
「ワクチンを打てば大丈夫でしょう。だから私は心配していないわ」
「感染力は強いが症状は軽い」とされるオミクロン株は本当に脅威なのでしょうか?
▽最前線の医師語る「本当のリスク」
デンマーク以上にオミクロン株の市中感染が広がっているとみられる南アフリカ。
その最前線の病院で、オミクロン株の最新の臨床データをまとめている医師を取材できました。
(南アフリカ医学研究評議会 ファリード・アブドゥラ医師)
「いま陽性患者やPCR検査の結果を待つ患者が40人います。しかし患者の大半が重度の肺炎を理由に病院を訪れているわけではありません。今後状況が変わるかもしれませんが、これまでの感染の波と明確な違いがあると確信しています」
今年1月。病院にはコロナ患者が押し寄せその大半が酸素吸入を必要としていました。しかし現在は・・・
42人のオミクロン患者がいますが酸素吸入が必要な患者は14人しかいないのだといいます。
(南アフリカ医学研究評議会 ファリード・アブドゥラ医師)
「初めて病棟に入った時は本当に驚きました。患者の多くが酸素を必要としなかったので衝撃を受けたんです」
これは、アブドゥラ医師の病院があるハウテン州で、デルタ株が流行した時に人工呼吸器をつけた患者の推移を示したグラフです。流行が始まってから30日で228人の患者が人工呼吸器をつけています。しかし、同じく流行から30日時点のオミクロン株は・・・人工呼吸器をつけているのは72人にとどまっています。
一方、オミクロン株の「症状は軽い」とする見方と対照的にみえるデータもあります。コロナの流行がない平年と比べた超過死亡数が先月28日から今月4日の一週間、その前の週に比べて倍増していました。オミクロン株への置き換わりの影響で死者が増えている可能性があるのです。
アブドゥラ医師はオミクロン株のリスクは低いと結論付けるのは危険だと指摘します。
(南アフリカ医学研究評議会 ファリード・アブドゥラ医師)
「少数ですが、この病院にも重症のオミクロン患者が存在します。感染力が高いのであれば、新規感染者数もおのずと高くなる。その結果、入院患者も増えてしまうでしょう。オミクロン株が最も拡大した地域の医者として言わせてほしい。少人数だとしてもオミクロン株にも重症化のリスクが潜んでいるのです」
12月12日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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