自民党総裁選が29日に行われ、岸田文雄氏が新総裁に選ばれました。

1回目の投票では、国会議員票で河野太郎氏は86票と、高市早苗氏の114票を下回る結果でした。ANNの事前調べでは、河野氏が約120票取るとみられていましたが、下回ったことになります。決選投票では、岸田氏が圧勝しました。

ジャーナリストの後藤謙次さんに、総裁選の背景と岸田新体制の今後について聞きます。

(Q.河野氏は、なぜ国会議員票が伸び悩んだのか?)
2つ要因があったと思います。1つは、菅総理が出馬を辞退するという状況になって、河野氏の突破力を利用しなくても、衆院選はそこそこ行けるのではないかという空気が自民党内に広がったこと。もう1つは、22日に、多くのメディアによる党員などへの世論調査が出始めた。ここで河野氏が50%を超えないようだという結果だった。そうなると、決選投票になって、河野氏の勝ちはないとなった。では、勝ち馬はどこだとなって、岸田氏に票が流れていったと思います。

(Q.小泉進次郎氏は「派閥の力が影響した」と話していますが、どんな動きがあったのでしょうか?)
最初は若い力によって、横断型の勢いが出ましたが、最後に来て、岸田氏の勝ちが見えてきた時、再び縦割りの力が働きました。岸田氏をどういう力で押し上げたかという力関係によって、次の人事やポストに影響してきますから、若い人たちに対して「今からでも遅くないから本国へ帰れ」と圧力があった。河野氏の決起集会に92人参加していましたが、それが86人になっている。つまり、あの会場に入るまで引きはがしが行われていたということだと思います。個々で集まった河野陣営は、派閥にかなわなかったというのが、今回の総裁選だと思います。

(Q.決選投票へ向けた事前の動きはありましたか?)
当然あったと思います。岸田氏が27日、伊吹文明元衆議院議長の仲介を経て、二階幹事長と会談をしています。二階氏はこれまで“岸田氏だけは許さない”という態度を取っていましたが、この会談が成立して、二階氏がそこで内心“岸田氏でいく”と決めるわけです。28日の二階派の総会では、あえて実名は出しませんでしたが、二階氏に近い自民党幹部によりますと、裏でおふれが回ったといいます。おふれの内容は分かりませんが、18人いたとされる二階派から河野氏を支持した人のうち、半分が岸田氏にいき、半分が野田氏にいった可能性があります。野田氏の側近に聞いても、20人から34人に増えた要因は、自分の個人票の他に、二階印があったと話しています。つまり、二階氏は、間接的に岸田氏を応援する形を取ったんだと思います。

(Q.人事はどうなりそうですか?)
幹事長は、岸田総裁誕生の立役者のである、麻生派か、安倍氏が影響力を持つ細田派から選ばれるのではないかと思います。確たる情報ではないですが、麻生派なら甘利明氏、細田派なら萩生田光一氏になるのではないでしょうか。

総裁選を戦った3候補は、野田氏が党役員か閣僚、高市氏と河野氏が主要閣僚になるのではないでしょうか。

麻生派の幹部は、麻生氏の財務大臣続投に強い意欲を持っています。麻生氏は、この1年間かなり岸田氏の手助けをしていますので、外せないと思います。

二階氏は、副総裁的ポストという話が上がっています。副総裁ではありませんが、特命事項をやりたいと。最近強い意欲を持っているのは、拉致問題についてです。議員外交で風穴を開けたいと。自分の体が自由に動く時に、やり遂げたいと。かつて金丸信副総裁が北朝鮮の金日成主席と会談しました。あのような形を想像しているのではないかと思います。

(Q.岸田氏は、政権運営や政策で安倍・菅路線を継承していきますか?)
岸田氏は「民主主義の危機だ」と繰り返し述べていますが、その危機の説明は今のところありません。今回の岸田政権成立の過程を見ると、安倍・麻生という、これまで9年間、日本の政権の真ん中にいた2人を抜きには語れません。場合によっては“第3次安倍政権”と揶揄する声も出てくるのではないかと危惧しています。人事をあさって以降にやるということは、そういう人たちの意見を聞かざるを得ないという状況に追い込まれるのではないかと思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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