自民党総裁選が29日に行われ、岸田文雄新総裁が誕生しました。
1回目の投票では、河野太郎氏が255票、岸田文雄氏が256票、高市早苗氏は188票、野田聖子氏は63票でした。
事前の予想に反し、岸田氏が1票差でトップに立ちましたが、過半数には届かず、河野氏との決選投票が行われました。
決選投票は、1回目の投票と異なり、議員票の割合が大きく増えます。その結果、河野氏は都道府県票で岸田氏を圧倒したものの、議員からの支持が広がらず、岸田氏が大差で制しました。
岸田新総裁:「私たちは生まれ変わった自民党を、しっかりと国民の皆さんに示し、支持を訴えていかなければなりません。総裁選挙は終わりました。ノーサイドです。全員野球で、自民党が一丸となって衆議院選挙、そして参議院選挙に臨んでいこうではありませんか」
総裁選を終えた岸田氏は、午後6時から会見を開きました。ここで真っ先に挙げたのは、新型コロナへの対応でした。
岸田新総裁:「コロナ対策、これからもすべてをかけて必死に取り組んでいかなければなりません。国民の皆さんが、コロナによって心をバラバラにされてしまっている。こうした状況に対して、皆で頑張ろうという心を取り戻し、ワンチームとして、この国難に取り組んでいく。年内に数十兆円規模の経済対策を策定することによって、多くの国民の皆さんに、共に協力して頂ける雰囲気を作っていきたい」
森友問題については、再調査に慎重な考えを示しました。
岸田新総裁:「行政において調査が行われ、報告書が出されています。司法において裁判が行われ、そして今、民事の裁判も続けられています。その判断をしっかり見ていかなければならないと思いますが、国民の皆さんがそれでも色々なご意見・思いがあるとしたならば、今度は政治の立場からしっかり説明していかなければいけない」
人事については、総裁選を戦った3人を党内で処遇する考えを示しました。
岸田文雄新総裁:「人事については、早急にたたき台を作り、しっかりと確認していきたい。できるだけ急ぎたいと思いますが、あす一日はやはりかかるのではないか。3人の総裁候補は、一緒に政策論争をするなかで、その素晴らしさを実感させて頂いています。ぜひ党内で、その能力をしっかり発揮して頂けるようなことを考えていきたい」
近く行われる衆議院選挙については、こう述べました。
岸田新総裁:「勝敗ラインですが、与党で過半数であると思っています。衆議院選挙“政権選択選挙”でありますので、自公政権を選んで頂けるのか、あるいは野党政権を選ばれるのか、これを決める選挙ですので、目標は与党で過半数だと思っています。解散については、今後、国会が開かれます。政治状況もしっかり見極めたうえで、総理として、しかるべき時期を判断していきたい」
連立を組む公明党。総裁選を通じて、岸田氏が敵基地攻撃能力の保有や憲法改正に意欲を示したことを念頭に、釘を刺しました。
公明党・山口代表:「これまで自公の連立政権の合意の積み重ねがあります。岸田新総裁が総裁選という土俵の下で、自民党のなかで訴えられたことはあると思いますが、ここは国民の理解を得ていくことが最も大事なことですので、そこは自公の連立政権の合意で方向性を示していきたいです」
野党からは、こうした声が上がりました。
立憲民主党・枝野代表:「新総裁として、安倍・菅政権と何がどう違うのかを説明頂くことが、まず最初だと思っています。残念ながら、ここまで拝見をしていると、自民党は変わらない、自民党は変われないことを示した新総裁の選出だったと思います」
共産党・志位委員長:「政治の中身においては、まさに安倍・菅直系政治を選んだというのが、今回の結果だと思います。党の表紙だけ変えても中身は変わらないことを指摘しておきたい」
総裁選の結果を速報で伝えたアメリカのメディアでは、こうした論調が目立ちました。
CNN:「世論より党の意向が勝ち、岸田氏という“現状維持”路線が選ばれたようです」
ニューヨーク・タイムズ:「エスタブリッシュメント(既存勢力)の勝利。自民党の“無難な候補”の選択は、国民からの支持がパッとしないリーダーでも、秋の選挙に勝てるという自信の表れかもしれない」
中国外務省は、こうコメントしました。
中国外務省・華春瑩報道局長:「日本の新しい政権とともに、日中関係を正しい道に沿って安定的かつ健全に発展させていきたい」
韓国政府も「両国の未来志向的関係発展のため、継続して協力していきたい」と述べています。
北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの母・早紀江さんは、日朝首脳の直接対話を求めました。
横田早紀江さん:「私たちは拉致問題ということで、子どもを返してくださいと、50年近く言い続けているわけで。総理大臣も何人お変わりになったか分かりません。日朝会談をなんとか、首脳同士が会って、話し合うということは一番大事だし、岸田さんもおしゃっていたと思う」
今後の日本のかじ取りをどうするのか。岸田氏は、会見の最後に、改めてこう述べました。
岸田新総裁:「決断するのは政治であり、総理であると認識をしている。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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