東京五輪の聖火リレーが25日にスタートしました。コロナ過で東京五輪は開催できるのか、その意義は何なのか。松岡修造さんが、大会組織委員会・橋本聖子会長の本音に迫りました。
◇『聖火リレー』
松岡修造さん:「聖火って考えると、日本で開催ですから特権なんですよ。今回は普通の聖火にならないですよ。いやな言い方すると“崖っぷち聖火リレー”でしょうね。色んなことが起きる。その先行きの見えない聖火をどう捉えていますか」
橋本聖子会長:「私は聖火が121日間、走り続けていく、それを直接、見る方は少ないと思います。でも、きょうスタートが切られて、121日目には国立に入ってくる、あの聖火なんだと、一人ひとりに心の中に聖火の炎を燃やしてもらいたいなと。それが今の混沌とした状況を打破するというか、必ず明るい未来が開けるんだというものにしていきたい」
松岡修造さん:「今回、オリンピック・パラリンピックを冷静に自分なりに考えた時に、いつもとは違う五輪にしないといけない、削除して諦めることもある。もしかして聖火リレーは、今のことを考えると諦める一つであったのかもしれません。それでもスタートを切ったというのはどういう思いですか」
橋本聖子会長:「諦めることもできたし、諦めないこともできたし、あらゆることがあるんだと思います。でも、私は今回の聖火リレーは、両方の気持ちが入っているものだなと思っています。今まで描いていた聖火リレーとは全く違う聖火リレーになったので、そこはもう諦めています」
◇『世論の反対』
松岡修造さん:「7月に開催できるかって考えた時に(世論調査では)7割近くの人が無理、止めた方が良いと言っています。僕は応援団長で、正直、誰よりも思いが強いです。ただ、今『オリンピックはやるべきです』と、正直この1年間言えなくて、すごくつらかったです。だって、言えっこない。先行き見えないし、世界だって皆思っている。この意見は僕も分かります。でも、この状況の中に進んでいく橋本会長の思いはどんなところにあるんですか」
橋本聖子会長:「人生のすべてをかけて、今までオリンピックと共に生きてきた人間だと自分で思っています。今回、これだけオリンピック・パラリンピックをやってほしいという支持率が低かったのは初めての経験です。やめるのは簡単ですけど、でも、だけど、東京大会を開催する。そして、この歴史あるオリンピック・パラリンピックを閉ざすことなく、つなげていく、その責任を負わされたのだとすれば、ものすごく、やりがいのあることだなと」
◇『再延期』
松岡修造さん:「延期という捉え方はゼロですか」
橋本聖子会長:「例えば、もう来年の今は、北京のパラリンピックをやっています。来年2月から冬季北京大会が控えていて、それを追い抜くことはできないです」
松岡修造さん:「今、7月開催ですけど、8月、9月、ちょっと延期すれば世界も変わってくるっていうことを考えたら、そのチョイスはありますか」
橋本聖子会長:「ないんです。これだけの舞台をまた再延期となると、すべての計画をされていることが、ホテルも何もすべてが準備するというのは、大変な混乱を起こすといいますか、ご迷惑をお掛けしてしまうことになるので、その部分については、この決められた今のこの状況のなかで、やらせて頂きたいと思っています」
松岡修造さん:「反対の声は、組織委員会としては我慢します。でも、橋本聖子さんとして来られた時にはどう捉えましたか」
橋本聖子会長:「悩まなかったです。組織としては悩みます。でも、私個人としては、ここがある意味で、自分自身としてはチャンスなんだろうなと。どういう捉えられ方でというと非常に怖いところはありますが、この道をすべてだという風にして生きてきた私にとっては、ここでオリンピック・パラリンピックの価値が問われるなと」
◇『アスリートの安心』
松岡修造さん:「安心安全ということを考えると、やっぱり国民の皆さんは不安です。オリンピックまでにどうやったら、そこが安心になるのか。100%の答えはないような気がします。すごい失礼な言い方をすると、(世論調査の反対が)70%というのは、多分変わらないと思います。それをどのようにアスリートに伝えたいですか」
橋本聖子会長:「アスリートには事あるごとに、メッセージを出させてもらっていますが、この支持率を見ると、選手たちが不安になると思います。この不安材料は、コロナ対策を万全にして、これであれば東京大会はできるんだと思って頂かない限り、アスリートはずっと不安だと思うんです。組織委員会は、私は、アスリートの皆さんの、健康を守り抜きますと言っています。でもやっぱり、本当にあるんだろうかっていう不安が、ずっとあるんだろうなと思っています」
◇『開催の意義』
松岡修造さん:「今回の東京に関しては、アスリートだけじゃないと思っています。日本の皆さんがPCRも含めて、安心安全だと感じるだけじゃなく、自分たちが協力する、参加するということがないと、そこには到達できない。本当の意味で参加できるオリンピックって、今までないんじゃないかと思っています」
橋本聖子会長:「東京都、組織委員会が車の両輪のように一緒に頑張っていかなければいけない。この姿は、どのオリンピックも一緒だったと思うんです。でも今回の東京大会は、国民の皆さんと国とが、この車を押してもらわないと進みません。全員参加型でなければ成功しない。今までにないオリンピック・パラリンピックです。そこにこの東京大会の意味があって、そして誰もが参加をしたからこそ、アスリートが輝ける瞬間がある。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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