ワクチンで作られる抗体は、免疫力となり、発症や重症化を防ぎます。

すでに体内に抗体を持っている感染経験者がワクチンを打った場合は、どんな変化があるのでしょうか。

去年4月に発症した番組スタッフ3人は、抗体の「量」の変化を1年以上にわたって調べてきました。

3人の抗体の量は、時間が経つにつれ、少しずつ減少。富川キャスターの場合、発症2カ月後に比べると、7分の1近くまで少なくなっていました。ただ、1年経っても免疫につながる抗体の「量」は維持されていました。

ワクチンを接種後に検査したところ、1回目で大きく上昇し、2回目は急激な変化は見られませんでした。ただ、感染2カ月後にできた抗体量を大きく上回っています。

東邦大学医学部微生物・感染症学講座、青木弘太郎助教:「1回目のワクチン接種で、感染した時の記憶免疫が発揮されていると考えられ、急激に、非感染者に比べて1週間早く、抗体量が上がることが観察されました。1回目のワクチンが(非感染者の)2回目相当ですので、そこからさらに高くなるかと言われると、抗体値が高くなり過ぎて正確に測定できないか、十分に抗体量があるので(1回目ほどの傾きで)増えてこないところだと思います」

さらに今回の検査結果は、感染経験がない人のワクチン接種にも参考になるといいます。

今回の調査を監修した、感染症の専門家で政府の分科会のメンバーである、東邦大学医学部の舘田一博教授に話を聞きます。

(Q.1回目でこれだけ上がる原因は何が考えられますか?)

舘田一博教授:「感染してから1年しっかりと抗体が維持されていること、そこにワクチン刺激が入ると、急激に、非常に高い抗体が誘導される。まさにこれは免疫の記憶が成立していて、ワクチンによって誘導されたと言えると思います」

(Q.2回目に抗体量があまり上がらなかったのはなぜでしょうか?)

舘田一博教授:「恐らく2回目は天井に当たってしまっているというか、いっぱいいっぱいの所まで誘導されているから十分ということになるかと思います」

東邦大学が研究で集めた、感染したことのない医療従事者がワクチンを接種した際のデータを提供してもらいました。

非感染者は1回目接種から約1週間後にはほとんど上がっていませんでしたが、2回目の接種直前(1回目から約3週間後)に急激に上昇。接種後にはさらに上昇しました。

舘田一博教授:「非感染者は1回目を打ってから1週間後も抗体反応が全然見られませんでした。ところが、既感染者の番組スタッフ3人は、1回目で非常に高い抗体の誘導がありました。非感染者においても、1回目を接種してから3~4週間になってくると抗体が上がってきて、2回目の接種をすると、既感染者と同じくらい抗体が誘導されています。」

(Q.非感染者の場合、ワクチンの効果はどのくらい持つと考えられますか?)

舘田一博教授:「3週間以降に減少傾向が見られているので、この調子でいくと、恐らく約6カ月で検出限界ぎりぎりのところまで下がってしまう可能性があります。ただ、それでもワクチンを受けた免疫の記憶が残っているので、ワクチンをもう一度打つ、あるいは感染を受けると、すぐに抗体の再生が誘導されることが考えられます」

(Q.免疫の記憶はどれくらい持つと考えられますか?)

舘田一博教授:「まだよく分かっていませんが、今回の研究では抗体値の測定とともに、血液の中の白血球も保存しています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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