東京パラリンピックの開会式が24日に行われます。

去年12月、パラリンピック競技の一つ、視覚障がいクラスのマラソンで、道下美里さん(44)が、信じられない走りを見せました。緊急事態宣言もあった厳しい状況のなか、世界記録を更新しました。実は、この快挙、大きな葛藤を乗り越えてのものでした。

2年前、松岡修造さんは、道下さんを取材しています。練習拠点の福岡県・大濠公園。道下さんと一緒に走っているのは、ボランティアの伴走者チームです。

道下さんは、小学4年生で難病を患い、25歳のとき視力のほとんどを失いました。走るためには、さまざまなサポートが必要です。この場所で、仲間たちから競技の楽しさを教えてもらい、人生が一変しました。
道下さん:「仲間と出会って、未来がものすごく未来が明るくなった。夢を持たせてくれた存在」

しかし、去年4月、緊急事態宣言の発令。大濠公園での練習ができなくなってしまいました。チームとしての活動も自粛です。
道下さん:「伴走者がいないと走ることができない。練習していくことで自信につながるので。走れないってなったらどうしようって思った」

そんななか、手を差し伸べてくれたのが仲間たちでした。連絡をくれた伴走者の一人、河口さんは、こう話します。
河口恵さん:「(道下さんの)声のトーンが下がっていて。何が何でも“練習できる状況を作れないか”と考えた」

チームでは動けなくても、何かできることはないのか。大濠公園で走れないのなら、人気の少ない時間と場所を見つけようと提案してくれたり、トレーナーの資格を持つメンバーが、自粛期間でもできる練習メニューを考えてくれたりしました。
道下さん:「自分が何かしら頑張って前に進んでいたら、誰かが手を貸してくれたり、知恵を出してくれるので進んでいける。めちゃくちゃ嬉しかった。みんなが知恵を出し合って工夫してきた。最強の仲間」

去年12月、世界記録を更新した背景には、こんなチームの絆がありました。そして今。大濠公園での練習を再開した道下さんには、沿道から多くの声援が。さらに先月、地元の人たちから、金色の折り紙で作った千羽鶴のサプライズを受けました。

44歳の道下さん、集大成として挑む東京パラリンピック。自粛期間を過ごしたからこそ、感じたことがあるといいます。
道下さん:「自分が走ることで周りの人が笑顔になって、それが単純に嬉しくて陸上を始めた。久しぶりに普段練習している大濠公園に帰ったとき、みんながすごい温かく迎え入れてくれて。一人の夢じゃないし、みんなでつかみ取りたい夢。待ってくださった人がいたことが嬉しかった。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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