
現地からオーストラリアの最新情報を伝える【SURFMEDIAオーストラリアSURFNEWS】。9月は「ジュニア&ウィメンズ・キラチームチャレンジ」が開催、オーストラリアンボードライダーズバトル(ABB)の地区予選も各地でスタート。またイルカンジスのISAワールドジュニア3連覇など、加速する子供達の育成システムの話もあり。
取材、文、写真:菅野大典
9月のゴールドコースト。
天気の良い日が続き、これぞゴールドコーストという青空が広がっています。最高気温が30度近くまで上がる日も多く、暖かく過ごしやすい一ヶ月となりました。

週末のビーチには、水着で過ごす人たちの姿が見られます。定期的に整備されているゴールドコーストのビーチはゴミも少なく、白い砂浜が広がり、海に集まりたくなるような季節になってきました。

昨年から工事をしていたカランビンのビーチフロントの補修も完了しました。ゴールドコーストのビーチフロントは本当に快適。居心地が良く、ついつい長時間過ごしてしまいます。

長年ゴールドコーストに住んでいますが、家族がいる身としては、海を感じながら安心して散歩できるスペースがあるのはありがたいことです。何かをしようと準備して出かけるのではなく、「ちょっと散歩しよう」と気軽に海へ行ける。そんな環境が、日常生活を豊かにしてくれているように感じます。
昔の手付かずの雰囲気も良いですが、自然と調和しながら整備されたスペースは気持ちが良いもの。オージーがアクティブなのも、こうした環境が理由の一つなのかもしれません。
ゴールドコーストの波の状況は、大きなうねりこそあまり入らないものの、それなりに楽しめるコンディションの日が多くありました。

地形の良いオープンビーチも点在し、朝から風が吹き荒れる日も多くありましたが、十分楽しめる日もありました。
D-Bah

D-Bahでは、多くのキッズがコーチングを受けている姿も、もはや当たり前の光景になりました。

先月までは砂がほとんどなかったスナッパーロックス周辺も、サンドパンピングシステムが稼働し、バンクが復活しました。

レインボーベイは引き続きパラダイス(笑)。ショートボーダーからロングボーダー、大人も子供も、みんな楽しんでいます。

週末にはスナッパーロックス・サーフライダーズのクラブラウンドも行われていました。

高いエントリー費を払うことなく、年間費2万円ほどで、毎週のコーチングセッションから毎月のクラブコンテストまで参加できるのは、キッズサーファーにとって最高の環境です。

ジェットスキーアシストならぬ、パドルアシスト。大人たちもみんな協力的です。義務的なボランティアではなく、時間にゆとりがあるのか、自主的にサポートする親も多いように感じます。

9月4日〜6日にかけて、「ジュニア&ウィメンズ・キラチームチャレンジ」がD-Bahで開催されました。リレー方式ではなく、各ディビジョンから複数の代表選手が出場する個人戦のフォーマット。ジュニアサーファーにとっては、出場機会も多く、嬉しいイベントです。

自分のクラブのヒートにはメンバーがビーチに集まり、応援する姿はチームイベントならでは。常に盛り上がりを見せています。
ミア・ハパッツ
リップアクションを繰り出すミア・ハパッツ。残念ながら3日間を通してコンディションには恵まれず。
栗城将太郎とエイデン・フィン
ヒート前に笑顔で会話する栗城将太郎とエイデン・フィン。ガチガチのコンテストではなく、同世代同士で戦えるイベントは選手にとってはとても良い練習になるように思います。
栗城将太郎
現在PBC高校に留学中で、サーフィンエクセレンスで毎日トレーニングに励んでいる将太郎。休む暇なく波に乗り続け、難しいコンディションの中でもグッドスコアを重ねていました。

チームメイトが見守る中での勝利は格別。毎回がファイナルだけに、嬉しい勝利です。
馬庭彩
スナッパーロックスウィメンズのラストライダーを務めた馬庭彩。1位になればチーム優勝が決まるという重要なヒートの中でも落ち着いて試合を運び見事勝利。

ゴールドコーストに来て、文武両道の生活を続けて7年以上。今ではクラブの仲間からの信頼も厚く、すっかりこの場所に馴染んでいる彩ちゃん。レベルの高い環境の中でも存在感を見せる日本人サーファーの一人です。
ジュニア
ウイメンズ
イベントはウィメンズ、ジュニア共にスナッパーロックスサーフライダーズが優勝しました。PIC:KIRRABOARDRIDERS
ボードライダーズチームにとって重要なイベントの一つ、オーストラリアンボードライダーズバトル(ABB)の地区予選も各地で始まりました。
2026 オーストラリアンボードライダーズバトル(ABB)地区予選スケジュール
ウエスタンオーストラリア州:9月12〜13日
NSW州セントラル:9月19日
ビクトリア州:10月4日
クイーンズランド州:10月10日
サウスオーストラリア州:10月17日
タスマニア州:10月24日
NSW州南部:10月31日
NSW州北部:11月7日
トリッグビーチで行われたウエスタンオーストラリア州の予選では、マーガレットリバー・ボードライダーズが優勝しました。PIC:SURFING WA/saltdiaries
カールカールで行われたセントラルNSWの予選では、過去2度の優勝を誇るノース・ナラビーン・ボードライダーズが優勝しました。PIC:SURFING NSW/Andrew Christie
レイン・ビーチュリーやローラ・エネバーといったレジェンドから、ネーサン・ヘッジのようにコーチとして関わる元CT選手、つい先日のISAワールドジュニアで活躍したロカナ・カレン、ベン・ザナッタ、タイラ・テブといった若手選手まで、世代を超えた選手たちが同じチームで戦います。
本戦は3月13・14日にバーレーヘッズで開催。本戦に出場できるかどうかで、クラブにとっても大きな違いがあります。クラブのプライドをかけた熾烈な戦いが始まっています。
クラブの試合といえば、先月発表されたSurfing Super League(SSL)も、Foxtelとの独占放映契約を発表しました。
土日の午後4時からという固定の放送枠を設ける計画で、週末のこの時間帯からパブで過ごすオージーを意識した時間設定にも感じます。本気でテレビスポーツとしてサーフィンを考えていることが伝わってきます。
個人競技としてだけでなく、チーム競技としてもサーフィンの新しい枠を広げようとしているようです。
今月のオーストラリアサーフィン界で一番のニュースといえば、やはりISAワールドジュニアでの3連覇。
オーストラリア代表チーム。写真提供:ISA / パブロ・フランコ
オーストラリアジュニアナショナルチーム『イルカンジス』は、2024年、2025年に続き、今年もチームで金メダルを獲得。個人でも金メダル3つ、銀メダル1つ、銅メダル2つと、各年代で圧倒的な強さを見せました。
中でも驚かされたのが、わずか13歳のレイハニ・ゾリックがU18女子で優勝したこと。U16男子ではロカナ・カレンが優勝し、U16女子ではルーシー・ダラーが優勝。
U18男子ではベン・ザナッタが銀メダル、オーシャン・ランカスターが銅メダルを獲得するなど、各年代に有力選手が揃っており、結果を残しました。
若干13歳ながらU18女子で優勝したレイハニ・ゾリック。Credit: ISA / Pablo Franco
レイハニ・ゾリック、写真提供:ISA / ショーン・エヴァンス
こうした結果を見ると、単に強い選手が偶然現れ、その選手を代表チームに選んでいるのではなく、早い段階からタレントを発掘し、育成していくシステムが機能しているように感じます。
実際に選手たちのライディングを見ても、近い将来CSやCTの舞台で活躍する姿を想像できるような質の高いサーフィンを感じさせられました。
U16男子優勝のロカナ・カレン(オーストラリア代表)。写真提供:ISA / パブロ・フランコ
ロカナ・カレン(AUS)Credit: ISA / Sean Evans
今回優勝したロカナやレイハニも、決して特別な存在だけではありません。まだ世界的には名前を知られていないものの、次の世代には多くの有望な選手が控えています。
サーフィンオーストラリアのタレント・アンリーシュドなど、若い世代の才能を発掘し、育成していくプログラムも継続的に行われており、これから楽しみな若手も数多くいます。
さらに5〜12歳を対象としたSurfGromsのようなプログラムもあり、幼い頃から海に触れ、サーフィンを始めるきっかけが身近にあります。スケートボードをするキッズも多く、そこからサーフィンへ興味を持つ子も少なくありません。
さらに、ホームスクールなどを利用して、自分の得意なことに時間を使う選択肢があることも大きいでしょう。そして何より、すでに世界のトップで活躍するサーファーが身近にいることで、「自分もああなりたい」という目標を持ちやすい環境があります。
オーストラリアでは、サーフィンが生活の一部として根付いていて、サーファーという存在そのものが身近です。トップサーファーがスターとして認められ、「サーフィンが上手い、かっこいい」という価値観も社会の中に自然にあります。
目指すべき場所があり、そこへ行くために何をすればいいのかが見えやすい。
もちろん日本にも世界で活躍する選手がいますし、今回のアジア競技大会では五十嵐カノアとコナー・オレアリーといった世界トップのサーフィンを国内で披露する事は、日本のサーフィンの発展にとても大きな影響を与えると思います。
競技としてサーフィンをさらに発展させていくためには、トップ選手を育てることだけでなく、もっと海を身近に感じられ、子供たちが「自分もあんなサーファーになりたい」と思える。そんな環境が、次の世代のサーファーを生み出しているのかもしれません。

菅野大典:オーストラリアのゴールドコーストを拠点にして、サーフボード・クラフトマンとして働きながら、サーフィン修行のために来豪する日本のサーファーをサポート。写真や動画撮影のほか、選手の試合に帯同、大会のジャッジやサーフコーチなどマルチに活動している。

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