日本代表FW上田綺世は今夏、オランダの名門フェイエノールトからフランスの強豪リールへと移籍した。彼を注視し続けたオランダ人記者が移籍の舞台裏、そしてオランダの名門での日々を本音で寄稿してくれた。〈構成・翻訳:井川洋一〉

エースの移籍は本当に成功なのか

 フェイエノールト・ロッテルダムは上田綺世をリールに推定移籍金1500万ユーロ(現在のレートで約28億円)で放出したオペレーションを、“ウィン・ウィン”と表現している。はたして、本当にそうだろうか。フェイエノールトの本拠地デ・カイプには、早くも喪失感が漂っているというのに。

「ヘーイ、ウエダ! ウー! アー! 君がゴールを決めてくれるかどうか、知りたいな!」

 ブルース・シャネルの1962年のヒットソング『ヘイ・ベイビー』をもとにフェイエノールトのサポーターがつくった上田のチャントは、昨シーズンのデ・カイプでもっとも聴かれたメロディのひとつだ。なぜなら、現在28歳の日本代表ストライカーは、昨季にクラブレベルの公式戦で奪った26得点(リーグで25、ヨーロッパリーグで1)のうち、15ゴールをホームで記録。オランダでも特に熱狂的なことで知られるここのサポーターたちは、上田に感謝を伝えるために、このチャントを大きな声で高らかに歌っていた。

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 しかしもう、“バスタブ”のニックネームを持つオランダ第2のスタジアムに、この歌が響き渡ることはない。欧州におけるキャリアハイの数字を残した昨シーズンをもって、上田はフェイエノールトに3年で別れを告げ、フランスのリールに新天地を求めたのだ。

45億円オファー、三笘ブライトン説は…

 3年前にセルクル・ブルッヘから推定移籍金800万ユーロで上田を獲得したフェイエノールトは、単純計算で700万ユーロの利益を出したことになる。これだけを見れば、フェイエノールトは良い商売をしたと言える。

 ただし利益だけで言えば、もっと良いオファーもあった。

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