ワイヤレススピーカー「Sonos Play」を皮切りに、本格的にハードウェア市場へ復帰したSonos(ソノス)。
新たにワイヤレスヘッドホン「Sonos Ace Ultra」と、サウンドバー「Sonos Beam Ultra」が登場しました。どちらも製品としての目新しさはありませんが、ハードウェアのアップグレードや、Sonosらしさに溢れる新機能が詰め込まれています。
本稿では、米GIZMODOのJames Pero記者が新作ワイヤレスヘッドホン「Sonos Ace Ultra」をレビューしています。7万円の価値があるかどうか、さっそくチェックしていきましょう。
Sonos「Ace Ultra」 6万9,800円
・新たに追加されたWi-Fi接続機能
・すでにSonosスピーカーを自宅に持っているなら選ぶ価値あり
・バランスの取れたサウンド
・ミニマルなデザイン性
短所
・アクティブノイズキャンセリングも音質も、この価格帯では最高とは言えない
・Wi-Fi機能は便利だけど、必須ではない
・長時間着用すると少し不快
音質は良好。バランスもいいけど
Image: Raymond Wong / Gizmodo
Sonos特有の話をする前に、まずは基本から見ていきます。
Sonosのワイヤレスヘッドフォンとして2モデル目となる「Ace Ulrta」では、より深みのある低音、よりクリアなサウンド、そしてよりバランスの取れた音質を実現するために、カスタム設計の40mmドライバーを採用しサウンドを一新。オーディオ性能全般がアップグレードしました。
初代ワイヤレスヘッドホン「Sonos Ace」を使ったことはありませんが、Ace Ultraはかなり長い時間使用することができ、その音質は十分満足できるものでした。左右のステレオの分離も良好で、音場もかなり広く感じられます。バランスの良いサウンド、というのがぴったりでしょう。
ワイヤレスヘッドホンのなかには、中域や高域に寄った「明るい」音や「暗い」音の傾向を持つものがありますが、Ace Ultraの音は、明るさと暗さのどちらも感じられる木漏れ日のようなサウンドです。
ダフト・パンクのようなエレクトロニック・ミュージックを聴いた際は、Sonosが低音域のパフォーマンスに注力していることがはっきりと感じられました。重厚なベースサウンドでありながら、過剰に強調されたり、不自然にキックが効きすぎたりすることはありませんでした。このように周波数帯域の片側に偏った楽曲では、Sonosのバランスの取れたチューニングが真価を発揮し、すべての音がより自然に響くように感じられました。
ここで注目すべきは、Ace Ultraで初めて「アダプティブEQ」を搭載したことです。これは、耳とイヤーパッドの間にできる隙間や、帽子やメガネを着用しているかどうか、あるいは髪の毛が邪魔になっているかどうかに応じて、再生中にリアルタイムで音のチューニングを自動調整する機能です。実際に帽子をかぶった状態と外した状態でAce Ultraを聴いてみましたが、音に違いは感じませんでした。つまり、この機能はきちんと機能していると考えてよさそうです。
さらに、空間オーディオとDolby Atmosにも対応しているほか、ダイナミックヘッドトラッキング機能も搭載しています。個人的にダイナミックヘッドトラッキングはそれほど優先度の高い機能ではありませんが、映画鑑賞(Sonosワイヤレスヘッドホンの謳い文句のひとつ)に使用する場合は、あると便利でしょう。
全体として、Ace Ultraの音質は良いと思いますが、5万9400円で販売されているSony(ソニー)の「WH-1000XM6」ほど優れているとは言えなさそうです。同じく5万9400円のBose「QuietComfort Ultra Headphones(第2世代)」と比べると、音質はほぼ同じような印象ですが、それでもBoseのほうがわずかに優れているように感じます。
とはいえ、これはSonosのワイヤレスヘッドホンですから、音質だけで判断するわけにはいきません。Sonos製品である以上、重要視すべきなのは製品単体の性能だけでなく、Sonosが提供するエコシステム全体なのです。
Sonosエコシステムともしっかり連携
Sonosブランドのワイヤレスヘッドホンを購入する最大の理由は、Sonosエコシステム全体との互換性が高いことでしょう。
Ace Ultraはその互換性をさらに向上させ、ヘッドホンと自宅のスピーカーをシームレスに切り替えられるWi-Fi機能が追加されました。自宅にSonosスピーカーがいくつかあるので、Sonosが「ヘッドホンリンク」と呼ぶ機能を試してみましたが、初期の不具合を除けば、この機能はうまく動作しました。
Image: Raymond Wong / Gizmodo
右側のイヤーカップに搭載されている「コンテンツキー」ボタンを長押しするだけで、Ace UltraからSonosシステム(Wi-Fi接続のSonos Play 2台とEra 100 SL 1台)にオーディオを切り替えることができました。仕事から帰宅したとき、ワイヤレスヘッドホンを外してすぐにヘッドホンなしで音楽を聴きたいので、そうした切り替えができるボタンがあるのは、些細なことのように思えるかもしれませんが、個人的にはこの機能がとても気に入っています。
ただし、この機能は現在アーリーアクセスでリリースされ開発段階のため、不具合が発生する可能性があることにご注意ください。筆者が初めてAce Ultraを接続したときは、オーディオをホームスピーカーシステムに切り替えようとしましたが、コンテンツキーを押し続けても何も起こりませんでした。しかし、接続してから1日ほど経つと、ようやく正常に動作するようになりました。
コンテンツキーでオーディオを切り替えられる以外にも新機能はあります。Wi-Fiで音楽を聴いているときには、SonosアプリからAce Ultraを操作できるようにもなりました。
Image: Raymond Wong / Gizmodo
理論上は、Wi-Fi接続のほうがBluetoothより高音質で、より安定した音声を楽しめるはずです。もちろんこれは嬉しい機能ですが、多くの人にとっては、それほど大きな違いを生むものではないかもしれません。
Sonosアプリで他のスピーカーと同じようにAce Ultraを再生先として選択できるのは気に入りましたが、ここでもいくつか不具合がありました。
ひとつは、SonosアプリでグループからAce Ultraを選択して再生を切り替えようとした際、他のスピーカーの音声が同期せずに再生されてしまうことが何度かあったということです。これを修正するには、アプリを終了して最初からやり直す必要がありました。
なお、このレビューを公開する時点では、このバグは解消されたようですが、同様の不具合が発生する可能性もあるため言及しておきます。また、Sonos Wi-FiスピーカーのようにAce Ultraをグループに追加することはできませんので、その点もご留意ください。
Image: Raymond Wong / Gizmodo
初代Aceと同様に、TV Audio Swap機能も搭載されています。これは、ワイヤレスヘッドホンとSonosのサウンドバー間で、音声の出力先を切り替えられる機能です。夜遅くに周囲を気にせずに音楽を聴きたい場合や、音声に集中したいときに便利です。Wi-Fi機能と同じく、これだけで劇的な変化をもたらす機能とは言えませんが、問題なく動作し、搭載されているのはありがたいところです。
ANC性能は向上
アクティブノイズキャンセリング(ANC)などの標準機能に関しては、Sonos Ace Ultraは音質に関する感想と同じく、良好ですが最高とは言えません。筆者はAce Ultraを2回の長時間のフライトやニューヨークの地下鉄などいくつかのシーンで試してみましたが、ANC性能はしっかりしているものの、最高とは言えませんでした。
Image: Raymond Wong / Gizmodo
初代Aceに慣れている方なら、大きな違いに気づくかもしれません。Sonosによると、Ace Ultraは初代よりもANC性能が2倍向上しているとのことです。しかし個人的には、ソニーやBoseなど競合メーカーのほうが優れたノイズキャンセリング性能を備えていると思います。
例えば地下鉄では、電車の騒音をかなり抑えてくれましたが、それでも人々の話し声や耳障りな音はそれなりに聞こえました。飛行機の中では、飛行機の騒音をかなり拾ってしまい、以前飛行機で使用したBoseのQuietComfort Ultra Headphones(第2世代)よりも耳障りでした。
総合的に見ると、Ace Ultraは「Nothing Headphone 1」と同レベル、つまり中堅クラスと言えるでしょう。ただしNothing Headphone 1の価格は3万9800円と、Ace Ultraより3万円ほど安価です。その点をどう判断するかはあなた次第。
意外にも良かったのが、外音取り込み機能です。ANCをオフにして、Ace Ultraの10基のマイクアレイを使った外音取り込みに切り替えると、周囲の音がとても自然に聞こえるのが気に入りました。超人的な聴力が得られるわけではありません(それはそれで不自然に感じられるので、むしろ良いことです)。かといって、不自然な音でもありませんでした。
Sonosらしいミニマルな見た目
Image: Raymond Wong / Gizmodo
筆者はSonos製品のデザインが概ね好きで、Ace Ultraのデザインも気に入っています。Ace Ultraには特に目を引くような派手さはなく、むしろかなりミニマルなデザインです。今回はそれが功を奏していると思います。
Ace Ultraは、全4色で展開されます。今回レビューした少しグレーがかったブルーの「Agave」が非常に気に入っています。この他、初代モデルのブラックとホワイトに加えて、「Sand」も選択肢に加わりました。マットな質感のプラスチックも気に入っていますが、指紋がつきやすいのが気になるところです。
全体的なデザインは初代Aceとかなりよく似ていますが、違いのひとつがイヤーカップの可動部分です。首にかけたとき、より平らにフィットするように設計されており、回転できる範囲も広くなっています。また、イヤーカップはマグネットで取り付けられているため、取り外して交換することも簡単です。洗濯もできます。
Image: Raymond Wong / Gizmodo
数回の長距離フライトでAce Ultraを試しましたが、ほとんどの場合耳に快適にフィットしたものの、長時間装着していると少し不快感を感じ始めました。イヤーカップが耳を少し強く圧迫しているような感覚です。その原因は断言できませんが、Bose QuietComfort Ultra(第2世代)のようなワイヤレスヘッドホンを装着しているときは、同じような圧迫感は感じませんでした。
操作やバッテリーは概ね満足
ボタンに関しては特に不満はありません。右側のイヤーカップには「コンテンツキー」ボタンがあり、これを使って音量の調整や再生・一時停止ができるほか、先ほど説明したように、音声をSonosのホームシステムへ切り替えることもできます。また、右側のイヤーカップにはノイズモードを切り替えるための丸いボタンもあります。
Image: Raymond Wong / Gizmodo
左側には電源ボタンがあり、長押しするとワイヤレスヘッドホンの電源をオン/オフできます。また、さらに長く押し続けると、Bluetoothのペアリングを開始できます。個人的には、電源のオン/オフがはっきり分かるスイッチのほうが好みです。そうすれば、ボタンを押したときにきちんと操作できているのか、いちいち試して確認する必要がありません。ただ、これはかなり些細な不満です。
USB-Cポートは搭載されていますが、3.5mmヘッドホンジャックはありません。有線接続で聴きたい場合は、USB-C to 3.5mm変換アダプタが同梱されています。
なお、Ace Ultraにはほとんどのワイヤレスヘッドホンが備えているIP規格の防水性能がありません。Sonosは公式サイトのFAQで、Ace Ultraは「防水ではありません」と述べています。雨の日に使う際は注意が必要です。
また、ヘッドホンが収納できるケースが付属していますが、ケースの素材はやや物足りなく、Ace Ultraは折りたたみ式ではないため、持ち運ぶには少しかさばります。
Image: Raymond Wong / Gizmodo
バッテリーに関しては、SonosによるとAce UltraはANC有効時、フル充電で35時間使用できると述べており、初代モデルより5時間長くなりました。筆者が試したテストでは、ANCをオンにし、音量を50%に設定して1時間音楽を聴いたところ、バッテリー残量は100%から97%まで減りました。このペースで計算すると、バッテリー駆動時間は約33時間ということになります。
すでにSonos製品を使っているなら選ぶ価値あり?
Image: Raymond Wong / Gizmodo
Ace Ultraは、音質もノイズキャンセリング機能も申し分なく、見た目も手触りもいいワイヤレスヘッドホンです。
Sonosが他社製品との差別化を図ろうとしている分野があるとすれば、それはWi-Fi機能でしょう。ワイヤレスヘッドホンとSonosホームスピーカーシステム間で音声を切り替えることは、他メーカーのワイヤレスヘッドホンではできません。Sonosサウンドバーとの音声切り替えも同様です。こうした機能を実現できることは、間違いなく大きなメリットです。
一方、この価格帯の競合ワイヤレスヘッドホンと比較して、Ace UltraのWi-Fi機能が十分な価値があるのかは悩ましいところ。BoseのQuietComfort Ultra Headphones(第2世代)はANC性能が優れており、装着感も快適です。音質面では、ソニーのWH-1000XM6とAppleのAirPods Maxのほうが優れているといえます。
Ace Ultraがお買い得かどうかは、Wi-Fi機能をどれだけ重視するかによって決まるでしょう。あなたが筋金入りのSonosファンなら、このスピーカーはまさにうってつけです。そうでなければ、6万9800円の価値があるかどうかは疑問が残ります。

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