ネパールでの洪水や日本全国で起きている豪雨の被害、そして熊本の地震。わずか数週間で、私たち人間の努力だけでは防ぎきれない問題に直面している。なにより被害にあわれた方々が、少しでも健やかに過ごせるように、ひとりひとりができることをしていきたい。
誰もが、予想しなかった困難に直面することがある。そんなときに乗り越える力を医学用語で「レジリエンス」と呼ぶ。原ゆかりさんは、未曽有の感染症に直面し、まさに困難を乗り越える力を感じたという。
岡田武史さんが創設したFC今治高校里山校には、主体性を学ぶ「ヒストリック・キャプテンシップ養成講座(HC講座)という授業がある。その講師のひとりであり、今治出身の原ゆかりさんが、10の項目にわたってHC講座の授業を行った。その内容と、高校生が受け取った内容をレポートする第7回は、「レジリエンス」を目の当たりにした体験について。
FC今治高校里山校HC講座の第1期生 写真提供/原ゆかり
ヒストリック・キャプテンシップ養成講座(HC講座):ヒストリック・キャプテンシップとは、正解のない世界の中でも、自分の信念をもって目標に立ち向かい、次の歴史を切り開く、FC今治高校が理想とする新しい形のリーダーシップ。みんなの上に立って引っ張っていく従来の強いリーダー像ではなく、仲間の隣に立ち、ともに悩み、同じ目線で同じ方を向いて考える。強さだけでなく弱さもあわせ持ち、人間くさく、たくさんの人に応援されて前に進んでいく。――そんな生き方をしてきた各界の先駆者をゲスト講師に招き、対話を行う授業のこと。
原ゆかり(はら・ゆかり)東京外国語大学を卒業後、外務省に入省。在職中の2012年にガーナ北部ボナイリ村を拠点にNGO MY DREAM. orgを設立し、村の発展に伴走してきた。2015年、外務省を退職後は、NGOの活動と並行し、三井物産ヨハネスブルク支店での勤務、アフリカ企業での勤務を経験。2018年独立し哲学とストーリーのあるアフリカの高品質商品を取り扱うProudly from Africaを運営している。
一緒に働きたいと思える人は?
FC今治高校里山校生向けのヒストリック・キャプテンシップ講座の前に生徒達から募った質問の中に「一緒に働きたいと思えるような人はどんな人ですか?」というものがありました。一つ思い当たるのは「レジリエンス高く生きている人」です。レジリエンスとは、跳ね返す力、つまり困難やストレス、予期せぬ逆境に直面した際に、しなやかに適応して立ち直る精神的な回復力や復元力のことを指します。
この「レジリエンス」を最も意識したのは、コロナ禍のことでした。2021年の3月、日本でも新型コロナの感染が拡大し、日本で学校が一斉休校になるというニュースがでた時のことです。当時私は西アフリカ ガーナ出張中で、移動中の車内でそのニュースを知りました。しばらく離れている間に日本で思った以上に感染が拡大している事実を突きつけられ、一気に不安が押し寄せました。隣に座っていた友人に「どうしよう、帰ったら隔離かな」「アフリカに出張で戻ってこられなかったらどうしよう」「アフリカ事業を見直すクライアントが出てくるかもしれない」…と、どんどんネガティブ思考がふくらむままに言葉にしました。
ひとしきり聞いた後に、その友人が「まずは家族をガーナに呼び寄せてあげたほうがいい、うちに居候してもいいよ」と心配してくれ、その後に「ゆかりがどんなに憂えても、コロナはいなくならない。コントロールしようがないことに一喜一憂するよりも、今できることを考えよう。今だからこそできることもあるかもしれない」そう話をしてくれました。
ゆかりさnとバイオレットさん 写真提供/原ゆかり

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