AlibabaのベクトルデータベースZvecの開発チームは2026年8月28日、ローカル検索ツール「zg(zvec-grep)」のバージョン0.2をパブリックプレビューとして公開した。コードや文書を端末内で索引化し、意味検索、BM25、ハイブリッド検索、ripgrep(rg)による文字列・正規表現検索を1つのツールにまとめている。CLIから利用でき、AIエージェントとはMCPで連携する。ライセンスにはApache License 2.0を採用している。
🚀 zg (zvec-grep) is now open source!
We built a local search tool for people and AI agents—
indexing and search run on-device by default, combining natural-language understanding with the speed and precision of rg.
🔒 Local-first: File processing, indexing, and search stay…
— zvec-ai (@ZvecAI) September 2, 2026
キーワードがわからなくても、意味から関連箇所を探せる
rgは、関数名や設定名、エラーメッセージなど、探したい文字列が明確な場面で高速かつ網羅的に検索できる。一方、コードや文書で使われている言葉がわからないと、自然言語で意図を説明しても目的の箇所へたどり着きにくい。たとえば、「起動時にテーマ設定を復元する処理」を探しても、実装がhydratePreferencesという関数名なら、単純な文字列検索では見つけにくい。以下の画面では、同様の質問からzgが関連するコードを検索している。

zgは、ローカルのコードや文書を、関数や見出しを基準に検索しやすい単位へ分け、元の階層構造やファイル内の位置とともに索引へ登録する。この索引を使う意味検索では、検索文に使った言葉がコードや文書に含まれていなくても、内容の意味が近い箇所を探せる。そのために、埋め込みモデルを使ってコードや文書の内容と検索文を数値の並び(ベクトル)に変換し、ベクトル同士の近さを比べる。ハイブリッド検索では、こうしたベクトル検索と、単語の出現傾向から関連度を付けるBM25でそれぞれ候補を集め、両者の検索順位をRRF(Reciprocal Rank Fusion)という手法で1つにまとめる。
Zvecチームの説明によると、zgはデフォルトで、ファイルの読み取りから検索用ベクトルへの変換、索引の保存・検索までを端末内で処理する。初期設定で使う埋め込みモデルlocal/potion-code-16m-v2は1600万パラメータで、GPUを必要としない。このモデルのファイルはzg本体には同梱されず、初回利用時にダウンロードされ、デフォルトでは~/.zvec-grep/modelsにキャッシュされる。検索品質や多言語対応などの理由からリモートの埋め込みモデルも選べるが、zgはテキストやクエリを端末外へ送る前に明示的な許可を求める。
明確なキーワードがあれば最初からrgを使い、手掛かりが少なければ意味検索やハイブリッド検索から始められる。候補を絞り込んだ後、rgで文字列や正規表現を検証するといった使い分けもできる。索引を使う検索では、zg indexを実行したワークスペースを基準に対象を決め、パスやファイル形式、除外ルールで範囲を絞り込める。ソースコードだけでなく、プロジェクトのドキュメントや研究資料、ローカルのナレッジベースも検索できる。
コラム:zgの検索基盤「Zvec」とは
Zvecは、Alibabaが公開するオープンソースのインプロセス型ベクトルデータベースで、独立したデータベースサーバーを用意せず、アプリケーションに直接組み込んで利用できる。zgでは、ベクトル検索やBM25を担うローカル索引の基盤にZvecを採用している。zgは@zvec/zvecを依存パッケージとして含むため、npmでzgをインストールするとZvecも自動的に導入される。
CLIとAIエージェントで同じローカル索引を共有
zgはmacOS、Linux、Windowsに対応し、利用にはNode.js 22以降が必要になる。CLIで索引を作って検索する基本手順は次のとおり。
npm install -g @zvec/zvec-grep
cd your-repository
zg index
zg query –human “theme preference persistence on startup”
AIエージェントと連携する場合は、パッケージのインストール後にzg installを実行する。このコマンドは、端末にインストール済みのCodexやClaude Code、Cursor、OpenCodeなどを検出し、MCP接続を設定する。設定後は、エージェントを再起動するか新しいセッションを開く。CLIからの検索とMCP経由の検索は同じ索引を使うため、CLI用とエージェント用に索引を作り分ける必要はない。
開発元評価ではツール呼び出しや入力トークンを削減
Zvecチームは、コードリポジトリに関する質問へ答えるSWE-QA-Benchと、複数文書から根拠を集めるBrowseComp-Plusを使い、zgの有無を比較した。zgを使わないベースラインではエージェントの標準ツールだけを使用し、zgを使う条件では事前作成した索引、MCPツール、利用ガイダンスを追加した。エージェント、モデル、プロンプト、実行環境、タスク条件はそろえたという。比較結果は次のとおり。
SWE-QA-Benchの20問では、ツール呼び出しが半分以下、入力トークンが約半分になり、回答品質を判定するJudgeスコアも向上した。
BrowseComp-Plusでは、正答率が98.67%から99.00%に上がった。入力トークンは37.56%、ツール呼び出しは43.52%、エージェントの実行時間は38.58%と、それぞれ減少した。
なお、いずれも開発元による評価で、索引の事前作成にかかる時間・計算コストとリモートの埋め込みモデルのAPI料金は含まれない。
PDFやWord、PowerPointへの対応も計画
最初のオープンソース版はコードとテキストを主な対象としている。今後はグラフ検索、検索結果の再ランキングや説明可能性の改善に加え、PDF、Word、PowerPointの処理、画像のOCR、レイアウト抽出、画像とテキストを横断して扱う機能などを計画している。詳細は公式ロードマップで確認できる。

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