コメの価格は、2025年の高騰から一転して下落の傾向が続き、新米の価格が2025年より安くなっています。消費者にとってはありがたい一方、早場米の産地である県内では、米穀店や生産者から悲痛の声があがっています。
高知県南国市で3代続く「西田米穀店」を営む西田弘晃さんにお話を聞きました。
袋詰めしていたのは、今年(2026年)に収穫された新米のコシヒカリ。高知県内のスーパーに卸していて販売価格は5キロで税込み3229円です。
■ 西田さん
「全然、安いですよ」「去年(2025年)の出だしがほぼほぼ5000円だったので、そこから考えると3割、35パーセントとか、4割安いですね。どうなんだって思いますけどね、うーん」
西田さんを悩ますのが、この1年間のコメの価格の動きです。
農林水産省が発表している全国のスーパーのコメの平均販売価格は、2025年の9月から5キロあたりで税込み4000円台で推移してきましたが、2026年1月をピークに下がり続け、現在は3156円になっています。
2025年は、「令和のコメ騒動」といわれ、不作によるコメ不足や価格高騰が起きました。国はコメの流通を増やして価格を抑えようと、「備蓄米」を放出しました。
それを受け、生産現場では、コメ不足解消に向けて増産が図られました。
全国でも有数の早場米の産地である県内では、毎年7月から新米の収穫と出荷が始まります。
2026年、県内の生産者は早場米の作付け面積をあわせて6200ヘクタールと、2025年より12パーセント増やしましたが―。
■ JA高知県 島田信行代表理事
「昨年(2025年)度の秋口以降、備蓄米の放出と流通等の課題が出てきておりまして、今年(2026年)度6月の在庫が過去最大になっている。令和8年産の収穫が始まっているが、その在庫を保管する倉庫がなかなかない」
西田さんが見せてくれたのは、7月末にJA高知県から提出された玄米の卸売り販売の一覧表です。
早場米の品種であるコシヒカリは、2026年の新米だけでなく、2025年産もリストに載せられていました。
■ 西田さん
「例年(この時期)であれば、(令和)7年産のコシヒカリって、あんまし出てこないんですね。例年、JAも、ある程度の数は置いているらしいんですけど、それ以上のものが残っているのが、これから見れるかな、読み取れるのかなっていう気はする」
2025年産のコメが大量に余る状態となり、JA高知県では価格の下落を見越して、集荷の時に生産者へ仮払いとして支払う早場米の玄米価格を2026年は60キロあたり1万4000円に設定。2025年と比べて、4割も安くなりました。
早場米の産地で出された仮払い金の下落は、「高知ショック」とよばれ、これから新米の収穫を迎える全国の産地でも同様の下落が発生する状況となっています。
価格が安くなったことで、新米を3割から4割多く売らないと2025年の売り上げ額に届かないと語る西田さん。
新米の在庫を増やして売り上げを伸ばすために、2025年に高値で仕入れた古米を安く販売しました。
■ 西田さん
「(新米のために)ウチも倉庫を空けたかったので、最後、スーパーにお願いして、(古米を)ギリギリの価格で、15トンぐらいは出せたので、倉庫はすいたのもあったので。去年の新米がとれた時期から、この7月末までで何百万かの赤字」
コメの過剰在庫を解消するため、国は9月2日、2025年に放出した備蓄米21万トン分を買い戻すことを正式に決めました。
2025年産のコメを対象に9月中に実施する予定で、今後の価格への影響が注目されます。
一連のコメの価格の動きに消費者は―。
■街の人
「新米が1キロ600円ぐらい、500円とかで買えるようになったので、それは助かります。もうちょっと下がってほしいけれど、農家さんが大変なのもあるし。買い戻し、政府が備蓄米を、あれをさっさとやって、正常にしてほしいと思う」
「もっと安くなってほしい。大体、2000円、3000円切るぐらいじゃないですか、安くなって今。前だったら、1000円台で、5キロで売りよったんですけど、そのぐらいになってほしい」
コメの動きに翻弄されてきた生産者は、いま、どんな状況なのか。
香南市で農業法人を営む北和行さんは、50ヘクタール分の早場米を生産しています。
8月27日、北さんは従業員と共に、2026年最後のコシヒカリの収穫をおこなっていました。
■ 北さん
「普段どおり、(実が)ついているような感じはしている。ただ、ちょっと収穫してみると、例年からは下がっているような感じがしている」
農林水産省が発表した県内の早場米の2026年の収量見込みは、2025年と比べて「やや下回る」と評価されました。4月から6月にかけて、日照時間が少なかったことが影響したとされます。
こうした中で、JA高知県が生産者に提示した60キロあたり1万4000円の仮払い金は、北さんの予想を超えたものだったといいます。
■ 北さん
「良すぎると次の年はあまり良くないというのは分かってましたけど、他県ぐらいの下がりならいけるかなと思っていたけど、高知が出た瞬間にちょっと肩をガクっと落とした感じですね」
北さんは生産したコメをJAには出さず、独自で卸業者と取引しています。
例年なら、業者がJAよりも高い仮払い金で買い取ってくれますが、状況が変わりました。
■ 北さん
「(卸業者も)今年は、ほとんどJAさんと同じような値段になってしまったので厳しいですね」
コメの取引関係者でつくる業界団体「米穀機構」が示した、2026年のコメの生産コストは玄米60キロで2万535円。対して、収入がJAの仮払い金1万4000円では、生産者はコメをつくるほど赤字になってしまいます。
この状況が続けば、再びコメ不足と価格高騰が起きると北さんは懸念します。
■ 北さん
「本当に今年みたいな年が続くと、離農される方、コメ農家が離農される方が増えてしまって、去年みたいな本当のコメがない状態になってしまうのが、一番こわいので、やっぱり。山あり谷ありは、結構厳しいものがあるので、やっぱり安定した価格というのが、一番思いが強い」
2025年は高騰し、2026年は値崩れとなっているコメの価格。
これから秋が深まり新米の収穫が本格化するなか、需要と供給のバランスが改善されない状況に生産者の苦悩は、増すばかりです。

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