今年5月、ドネツク州ドルジュキウカの掩蔽(えんぺい)壕から、兵士らがFPVドローンを操縦している様子。ウクライナ軍第93独立機械化旅団広報部の提供写真(提供:Iryna Rybakova/Ukraine’s 93rd Mechanized Brigade/AP/アフロ)
ドローンが全てを変えた——ウクライナの前線ではもはや当たり前の言葉だ。
現場の主力であるFPV(一人称視点)ドローン操縦士(以下FPV操縦士)とは現場でどんな存在だろうか。全面侵攻以降の変遷を確認しつつ、FPV操縦士の仕事について紹介したい。
「FPVの操縦ができないと歩兵に回される、歩兵は嫌だからやっている」
「いきなりすごい速度でなにか小さいものが飛んできて爆発した。何が起こったのか分からなかった。現場は大混乱に陥った」2023年末、FPVによる攻撃が広まり始めたころ、初めてFPV攻撃を受けたことを、あるFPV操縦士はそう振り返った。
「こんなにドローンの戦いになるなんて、あの時は思わなかった」
2024年前半、FPV操縦士はまだ精鋭エリートのような存在だった。偵察ドローンを使っていた兵士の中から腕がいい者がFPV操縦士になったり、手先が器用だったり、FPVを操縦するのに向いている技能を持つ者が「選ばれる」ような状態だった。
2025年になると、ドローンの生産体制が整い始め、操縦士の数も増えた。一方で、深刻となったのが歩兵不足だ。あるFPV操縦士は「FPVができないと歩兵に回される、歩兵は嫌だ。だからなんとかやってるよ」と言った。
2026年、FPVドローンは普及の段階を過ぎて多様化と発展のフェーズに移行している。操縦士の育成プログラムもある程度整ってきた。このためか、操縦士ごとにそのモチベーションの違いも多様化しているように感じた。
「ロシア兵と戦いたい」。そういう兵士は、小型のFPV操縦士になる。
驚いたことに、小型のFPV操縦士の中には「自分は歩兵だ」と言う兵士もいた。
前線でロシア兵と戦いたいから、小型のFPVの操縦士をしている、というのである。もはや、歩兵と操縦士の境が曖昧にさえなっているようだ。

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