◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」
今年も「第78回正倉院展」のインタビュー時期が近づいてきた。何年も取材に関わっているが、毎年出てくる宝物が違い、奈良国立博物館の先生の分かりやすい説明で納得できる部分が多い。
正直に言うと、文字が書かれた文書が展示されていても、どれも同じに見えてしまう。達筆すぎて、何が書かれているのか読みとれないというのが、敷居を高くしているように思う。一方で、見た目に派手な箱や器などには興味をそそられる。シルクロードを通っての流通や、その土地の最高の技法を用いての制作過程などの話を聞くとワクワクする。
今なら機械で簡単に同じ幅、同じ形の文様を付けることも可能だが、当時はもちろん全部手作業。その作業を専門に請け負っていた技術者の話を聞くと、どんな人だったのか想像も膨らむ。中には“かけら”だけを集めたものがあるのも面白い。たとえ宝物の原形はとどめていなくても、こぼれ落ちた物ですら宝物と考え、大切に後世に伝え続けてきた人々の思いを感じることができる。
奈良時代に日本を治めた聖武天皇のご遺愛品を中心に、令和の世まで宝物が大切に守られ続けているのも日本ならではではないだろうか。防犯カメラもない時代。悪いことを考えた泥棒が入ったことはなかったのだろうか。そんなちょっとしたことまで考えるのが楽しいのが正倉院展だ。10月24日に開幕する今年も、様々な宝物が展示される。奈良時代の色彩豊かなロマンを感じながら、少し涼しくなった奈良で散策するのもいいかもしれない。(芸能担当・古田 尚)
◆古田 尚(ふるた・なお) 2003年入社。運動部、文化社会部、事業部などを経て19年から芸能社会担当。関西ジュニア、宝塚歌劇団、映画などを取材。趣味は観劇。

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