インドの現地紙ヒンドゥスタン・タイムズなどによれば、エアインディアは2026年8月13日より、同社および子会社エアインディア・エクスプレスに所属する約5,000人の全パイロットを対象に、薬物スクリーニング検査を義務化したと報じられています。この前例のない全数検査は、先日発生した急降下トラブルと、その後の検査で発覚した機長の薬物使用疑惑を受けた安全強化策の一環です。

 発端となったのは、8月4日に発生したタイのプーケット発ニューデリー行きAI2379便の重大インシデントです。同機は巡航中に突如約300フィート(約90メートル)急降下し、乗客乗員24名が負傷する事態となりました。事故後の乗務員に対するスクリーニング検査の結果、同便の機長から大麻の陽性反応が検出され、その後の精密検査でも陽性が確定したことが明らかになっています。現在、パイロットは乗務から外されており、インド航空事故調査局(AAIB)による本格的な事故原因の究明が続いています。

 インド民間航空局(DGCA)が2022年から施行している現行の規定では、航空会社は年間で少なくとも10%の乗務員に対して無作為の薬物検査を実施することが義務付けられています。しかし、現地紙の報道によれば、エアインディアのフライトオペレーション部門責任者は社内通知の中で、「現在の規制で許可されていない物質や薬物について、グループ全パイロットの完全なスクリーニングを実施することを決定した」と表明し、国の基準を大幅に上回る自主的な安全対策に踏み切ったとしています。この検査は、訓練施設でのセッションやフライト前後のブリーフィングセンターなどで順次実施される予定です。

 この事態を重く見たインド政府およびDGCAも、航空業界全体における薬物検査のルール改定に向けて動き出していると現地メディアは伝えています。現在、無作為検査の実施割合の引き上げや、違反者に対する罰則の強化などが検討されており、今回のインシデントを契機に、インドにおける航空安全基準がさらに厳格化される見通しです。Photo : Air India

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