(CNN) 英国とアイルランドを結ぶ海底ケーブルの計画が、「ハリー・ポッター」ファンの強い抗議に遭って変更を強いられた。当初予定されていた敷設ルートは、世界中のファンに愛された屋敷しもべ妖精「ドビー」の追悼の地を貫いていた。

計画が変更されたのは、総工費4億3000万ポンド(約925億円)をかけて英国とアイルランドの送電網を結ぶ全長約200キロの海底ケーブル「グリーンリンク」。アイルランド南東部のウェックスフォード州と、英ウェールズ南西部の海岸フレッシュウォーター・ウェストを結ぶ。しかしフレッシュウォーター・ウェストは、映画「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」(2010年11月公開)で、ドビーの最期の場面が撮影されたロケ地だった。

海岸にはドビーの「墓」があり、ファンが追悼の言葉を刻んだ小石が積まれている。当初の計画通りに海底ケーブルが敷設されれば、この墓が損なわれる恐れがあった。

英BBCのニュースで計画のことを知ったファンからは抗議の電話が殺到。これを受けてプロジェクト管理会社のサイモン・ラッドラム最高経営責任者(CEO)はこのほど、海底ケーブルのルートを変更すると表明した。

ラッドラム氏はポッドキャスト番組の中で、「何百本もの電話がかかってきた」と打ち明けている。

最初はなぜそんな騒ぎになるのか分からなかったというラッドラム氏。同僚から「どうやらドビーの墓のど真ん中を突き抜けてしまうらしい」と聞かされても「ドビーって誰だ? ドビーなんて知らない」という反応だった。

映画「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」でのドビー/Warner Bros/Everett Collection
映画「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」でのドビー/Warner Bros/Everett Collection

同僚から説明されてもまだ納得できなかった。「そうはいっても、架空小説に登場する架空のキャラクターにすぎない。何もかも作り話だ。一体何を言ってるんだ?」

しかし同僚から「いや、ものすごく真剣なんだ」と説得されて、ようやく事情をのみこみ、同社はドビーの墓を回避するためケーブルのルート変更作業に着手した。

「みんながとても喜んでくれた。プロジェクトが前進して、ドビーも喜んでいる」とラッドラム氏はコメントしている。

地元ペンブルックシャーに住むジャック・ニコラス氏(20)は、ルート変更に胸をなでおろした一人だった。

「ドビーの墓は世界中の観光客をペンブルックシャーの美しい海岸に呼び寄せている」「追悼碑にはイタリアやオーストラリア、南アフリカなどの石もあって、ドビーの墓を見るためにみんながどれほど遠くから来ているかが分かる」

ドビーの墓は映画の公開後、ペンブルックシャーのロケ地に作られ、22年には土地を所有する自然保護団体のナショナル・トラストが、墓を残すことを認めた。ただしファンに対しては、環境を守るため、ドビーに捧げる靴下などを置いていかないよう促している。

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