スウェーデンで開催されるリンゴ祭りのモザイク画には3万5000個近い数のリンゴが使われ、重さは2トンを超える。(ÄPPELMARKNADEN I KIVIK)

スウェーデンで開催されるリンゴ祭りのモザイク画には3万5000個近い数のリンゴが使われ、重さは2トンを超える。(ÄPPELMARKNADEN I KIVIK)

この記事は『ナショナル ジオグラフィック トラベラー(UK)』により制作されました。

 真っ赤なトマトが通りにあふれるスペインのトマト祭り(ラ・トマティーナ)に、お祭り用のビールが注がれた背の高いグラスがドイツのバイエルンで空をバックに掲げられるオクトーバーフェスト。ヨーロッパはフードフェスには事欠かない。(参考記事:「9月なのになぜオクトーバーフェスト? 世界最大のビールの祭典」)

 集まる群衆やSNS映えに目が行きがちだが、その先には歴史や遺産として守られている食文化がある。普段は静かな村がジャガイモのような地元の食材を祝して活気に満ち、セルビアのレスコバツやスペインのヒホンといった色彩豊かな街が独特な料理で盛りあがる。

 それでは、この夏、ヨーロッパで楽しめる魅力的なフードフェスを10カ所、紹介しよう。ほとんどが入場無料だ。

イワシ祭り
(ポルトガル、ポルティマン)

期間:2026年8月4〜9日

 毎年8月、ポルティマンの川沿いからは、炭火で焼かれる魚の香りが漂う。主役は、身近なイワシだ。かつて港町の経済を回す主要品目だったイワシを祝う祭りで、伝統的な水揚げの再現から始まり、80人の演者に500kgの新鮮なイワシが登場する。(参考記事:「ポルトガルのイワシ漁船に乗ってみた、崖っぷちから復活か」)

 川沿いの屋外炭火焼き会場の上空では、海鳥が鳴きながら円を描いて飛ぶ。イワシは、油を吸ってくれるシンプルなパンのスライスに乗せた、アルガルベ地方のスタイルで供される。

スピリンガのンドゥイヤ祭
(イタリア、カラブリア)

期間:2026年8月8日

ギャラリー:主役はブルーチーズにリンゴ、ピクルスなど 夏のヨーロッパのフードフェス 写真7点(写真クリックでギャラリーページへ)

ギャラリー:主役はブルーチーズにリンゴ、ピクルスなど 夏のヨーロッパのフードフェス 写真7点(写真クリックでギャラリーページへ)

ンドゥイヤは、地元産の豚肉とカラブリア産のトウガラシを混ぜ、腸詰めし、数カ月間熟成させて作られる。(COMUNE SPILINGA)

 イタリアは数々のサグラ(主に食にまつわる伝統的な祭り)で知られる。なかでも、ンドゥイヤ祭は味でも熱量でも、最もスパイシーだ。ンドゥイヤは豚肉とトウガラシでできたペースト状のソーセージで、今ではイタリア国外で人気となっている。発祥はカラブリア州のスピリンガという村だ。(参考記事:「朗報、イタリアの名産トウガラシが記録的な猛暑を乗り切る」)

 今年50周年を迎えるスピリンガのンドゥイヤ祭では、たくさんの激辛料理が楽しめる(パスタ料理のフィレヤ・アッラ・ンドゥイヤは必食だ)。軽い飲み口のカラブリア州産赤ワインと合わせて味わおう。巨大な張り子人形のマタとグリフォーネの行進も見逃せない。

天然シードル祭り
(スペイン、ヒホン)

期間:2026年8月20〜30日

 スペインのアストゥリアス州で造られる天然シードルは、ユネスコ無形文化遺産に登録されており、スペインの太陽の下で飲もうと集まる大勢の人々によって毎年8月に祝われる。市場では、シードルをはじめ、アイスクリームやエンパナーダ(具入りパイ)などリンゴにちなんだ品々が売られる。

 だが、メインイベントは、世界記録更新の挑戦だ。ポニエンテ・ビーチに集まった1万人近い人々で、世界最大の人数で同時にシードルを注ぐ。注ぎ方は、頭の高さまで掲げたボトルから、腰の位置のグラスに注いで細かい泡を立てて香りを引き立てるという、アストゥリアス流の手法をとる。(参考記事:「醸造所で楽しみたい、バスク地方のリンゴ酒『サガルド』」)

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