「理論の限界」と言われた台風予測がAIで激変 気象庁研究者が語る最前線 “珍しい進路”にも対応
台風や熱帯低気圧は、毎年のように大きな被害をもたらす自然現象です。地球温暖化が進む中で気象災害は激甚化していて、予測精度の向上は人命と財産を守る上で重要な課題です。こうした問題意識のもと、気象庁で台風などを研究する専門家が、近年急速に存在感を高めている「AI気象モデル」の現在地と課題について語りました。
「年平均すると2%ぐらい」改善を続けてきた台風予測の現在地
2026年5月、千葉県の幕張メッセで開かれた「JpGU地球惑星科学連合大会」。気象庁気象研究所 台風・災害気象研究部 第一研究室の山口宗彦室長は、講演の冒頭で従来の台風予測の改善ペースについて、次のように述べました。<気象庁気象研究所 山口宗彦室長>
「台風予測はデータの拡充が合わさって、大体、年平均すると2%ぐらいの誤差の改善率で推移しているような状態です」台風予測は着実に進歩してきました。しかし、その一方で、進路予測の改善率には鈍化が見られているといいます。
「もう理論の限界」世界の研究者からも⋯
茨城県つくば市にある気象庁気象研究所を訪ね、山口さんに詳しい話を聞きました。<気象庁気象研究所 山口宗彦室長>
「この20年間で面積で言うと4分の1の面積で着実に台風の進路予測の精度は向上しているが、例えば近年、5年というか、10年くらいを見ると、やや改善率が減少している」台風の予報円の大きさは、台風の中心が円の中に入る確率が70%になるように作られています。精度が良くなれば、予報円の大きさは小さくなっていきます。しかし、その改善率が鈍化しているのです。これは、世界気象機関(WMO)が2022年にインドネシアで開いた国際会議でも話題に上がり、世界の研究者からは「もう理論の限界でこれ以上の改善は見込めない」という声があがっていました。そこに台頭してきたのが人工知能を活用した「AI気象モデル」でした。
「ものの1分もかからずに5日先」AI気象モデルがもたらした進化
<気象庁気象研究所 山口宗彦室長>
「大体10年分ぐらいの精度改善がこの台頭によって一気にもたらされた。世界中の熱帯低気圧の予測のコミュニティの人が驚いているというような状況です」気象庁はスーパーコンピュータを使って台風の予測をしています。従来の数値予測モデルの手法では「物理法則」で未来を計算していました。一方、世界中で活用が広がるAI気象モデルは「大量の過去のデータ」を使って未来を予測します。データの学習には時間がかかりますが進路予測については従来よりも精度が向上したといいます。AI気象モデルを作るには、スーパーコンピュータに大量の過去のデータを学習させる必要があります。計算量は膨大になりますが、ひとたびAI気象モデルが完成すれば、そこに現在の大気の状態を入力値として与えると、非常にスピーディーに将来の大気の状態の結果を出力してくれます。地球全体を予測する大規模なモデルですが、例えば、5日先の予報をするのに1分もかからないというような速さで計算結果を出力します。従来の数値予測モデルだと10分、20分という単位で時間がかかっていたそうです。山口さんは今回、従来の数値予測モデルに比べて、海外のAI気象モデルによる台風の進路予測にどれだけの精度があるのかを検証しました。結果は、1日先から5日先までの予測期間全体にわたって、AI気象モデルの方が誤差が小さくなりました。また、2日先の予測に対しての改善率は19%に達していました。
「Uターンするような台風」“珍しい進路”への対応でも健闘
2023年、沖縄を襲った台風6号。「Uターン台風」とも呼ばれ一度、通り過ぎた台風が再び、戻ってくるという複雑な進路をとりました。黒い線が実際の進路。青が従来の予測、赤がAIの予測です。AI気象モデルはUターンする台風の動きを予測できました。<気象庁気象研究所 山口宗彦室長>
「驚きましたね。過去の学習データにおそらくこういうデータも含まれていて、きちんと予測できてるんだろうなという風に理解しています」しかし、AI気象モデルには苦手なこともあります。それは中心気圧や最大風速など台風の強さの予測です。<気象庁気象研究所 山口宗彦室長>
「やっぱり解像度が今、25kmで荒いというところが1つ課題で、台風の中心、例えば目の平均的なサイズって10kmとか、20kmなので、今の学習データは、台風の中心部分のその詳細な構造を解像できていない学習データで学習してるということになります」
台風予測を前進させる「AI気象モデル」使いこなすのは人間の予報官
目指すのはより精密なデータでの台風予測。しかし、スーパーコンピュータの処理能力には限界があります。山口さんは、AIの良いところを取り入れ、今のやり方をどう改善できるのか研究を進めたいと考えています。<気象庁気象研究所 山口宗彦室長>
「AI気象モデルが今後台頭しても予報官が果たす役割は変わらず、むしろ重要度を増していくのではないか。AI気象モデルが出した結果が気象学的に必ずしも正しいとは限らないので、結果にNOと言えるような気象学に基づいた判断が必要になってくる。それはやっぱり人間の予報官が行う仕事だと思う」将来性を感じさせるAI気象モデル。しかし、どんな分野でもAIが出した結果に対する最終的な判断や検証は人間が行うことが重要だと言えそうです。
詳細は NEWS DIG でも!↓
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2825642

6 Comments
でもAIは
時々いいかげんなこと言って
指摘するとはぐらかすのを
どこから学習したんだろうね。
「理論の限界」と言われた台風予測がAIで激変されましたねぇ〜😩😩
2:52 今の降水確率も過去のデーターを元に出しているから新しい事ではない。
ただ処理能力がはるかに高くなっただけだな。
そうでなければ気象庁などいらない!毎年いくらの税金を使っているのか国民に報告せよ!!
上空気圧の突然変異まで予測できない
どっちも使えばええんちゃう?
いいとこ取りできねーのかね