「二重封鎖」懸念で原油が急騰
トウシル編集部(以下、トウシル):原油価格が再び急上昇していますが、現在の値動きをどう分析していますか?
吉田哲コモディティアナリスト(以下、吉田):原油価格が上昇した最大の要因は「中東情勢の再悪化」です。6月下旬には70ドルを割り込む場面もありましたが、今月に入り状況が一変しました。
図:WTI原油先物(期近・日足) 単位:ドル/バレル

出所:MARKET SPEEDⅡより筆者抜粋
イランと米国が交戦状態に突入したことに加え、イエメンで活動し、イランの支援を受けているとされるイスラム武装組織「フーシ派」が、原油輸送におけるホルムズ海峡の「代替ルート」である紅海の南側の「バブ・エル・マンデブ海峡」の封鎖を示唆し始めました。
これまで市場は「ホルムズ海峡が封鎖されても、アラビア半島の南西にあるバブ・エル・マンデブ海峡(紅海側)を通れば供給は確保できる」という期待を抱いていました。
しかし、そのバブ・エル・マンデブ海峡が封鎖されれば、中東からの原油の供給はさらに困難になります。こうした「二重封鎖」への市場の警戒感により、原油価格がわずか1カ月足らずで20ドル近く急騰しました。
図:タンカーの主な航路(イメージ)

出所:各種資料より筆者作成 イラストはPIXTA
上値の目安は「110ドル」
トウシル:原油価格はどこまで上昇するのでしょうか?
吉田:「もう一段高」になる可能性が高いと見ています。イラン情勢の再悪化をきかっけとし、ホルムズ海峡に加えてバブ・エル・マンデブ海峡の封鎖をきっかけとした供給減少懸念が強まっているためです。ただし、上昇幅は「限定的」になると見ています。
今年3〜5月の高値圏である110ドル付近が上値の目安になります。しかし、それ以上に価格が高騰すると、世界経済への悪影響が生じます。そして、原油需要の減少懸念から下落圧力が強まるとみられます。
つまり、上げても110ドル程度だと考えています。中東情勢が劇的に改善しない限り、90ドルを軸とした、プラスマイナス20ドル(上値の目安が約110ドル、下値の目安が約70ドル)のレンジ相場が続くと見ています。
図:WTI原油先物(期近・月足) 単位:ドル/バレル

出所:MARKET SPEEDⅡより筆者抜粋
注視すべき材料は?
トウシル:毎日さまざまなニュースが流れてきますが、どのような材料に注目すべきでしょうか。
吉田:まず、重要なことは、「バブ・エル・マンデブ海峡がどのように封鎖されるのか」です。封鎖された場合、「どのくらいの期間か」「どの船舶の航行が制限されるのか」ということに注目することになるでしょう。
より詳細に原油市場を分析する場合は、アメリカとイランの交渉の行方、中間選挙を控えたトランプ米大統領の動き、OPECプラスの動向や米国の金融政策など、中東情勢以外の要因にも目を配ることも必要でしょう。
確かに、中東情勢の動向、それによる各海峡の封鎖の状況は大変に大きな関心事です。しかし、それらだけが原油相場の変動要因ではないことにも、留意すべきです。これまで以上に、材料を俯瞰(ふかん)することが、重要な局面にいると思います。
アプリで投資を学ぼう
【ポイントGET】トウシルアプリにポイントミッション機能が付いた!
トウシルの公式アプリに「ポイントミッション機能」を追加しました。
記事を読むなどのミッションクリアで楽天ポイントGET!
お金と投資の学びをもっとおトクに。

WACOCA: People, Life, Style.