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小泉進次郎防衛相は7月20日(日本時間同)、英南部で開催中の航空見本市、ファンボロー国際航空ショーの会場で基調講演した。全文は以下の通り。
◇
防衛大臣の小泉進次郎です。
まず、ワールドカップで3位となったイングランドに祝意を表します。また、会場にスペインやアルゼンチンの友人がいるのであれば、見応えのある決勝戦を見せてくれたことに感謝申し上げます。さらに、日本を含め、大会に参加したすべての国・地域に最大限の敬意を表します。
ワールドカップは終りました。もう言い訳はできません。今こそ課題に集中すべき時です。英国では新内閣がきょう発足し、職務を開始すると承知しています。我々も仕事に取りかかりましょう。英国に後れを取れません。
本日は、この歴史あるファンボロー・エアショーにおいて、政府関係者の皆様、そして航空・宇宙・防衛産業を支える企業の皆様の前でお話しする機会をいただき、大変光栄に思います。この素晴らしい場を準備していただいた主催者の皆様に心から感謝申し上げます。
【情勢】
私は先日のNATOサミットと防衛産業フォーラムに参加しました。そこで日本が伝えたメッセージは明確です。インド太平洋と欧州大西洋の安全保障は一体不可欠だということです。そして自由で開かれた国際秩序を守るため、ウクライナ支援の継続を含め、責任を果たしていきます。
安全保障の現実は厳しさを増すばかりです。
先日のNATOアンカラサミットの直前には、中国の潜水艦によるミサイル発射がありました。また、中国とロシアの爆撃機の我が国周辺における共同飛行は10回を数え、この週末には中国とロシアの海軍艦艇が日本の排他的経済水域(EEZ)内で実戦演習を実施するなど、中露軍事連携は強化されています。
現在の欧州の安全保障において最大のテーマであるロシアによるウクライナ侵略の文脈では、北朝鮮が様々な形でロシアを支援しており、ロシアの継戦能力を下支えしています。これは単にそれぞれの地域で起こっている事象ではありません。根底ではつながっているのです。
【産業協力】
私は最近、様々な場面で申し上げています。
「防衛生産力こそ抑止力です」
どれだけ優れた装備があっても、作れなければ意味がない。
納期を守る。早く作る。Rapid Innovation Cycleを実現する。
ウクライナの戦場を見れば、ドローンをはじめ、技術が日進月歩で進化し、速やかに戦闘に投入されています。
我が国は、防衛産業を防衛力そのものと位置づけています。
そして、我が国として望ましい安全保障環境を創出するため、今年4月には防衛装備移転制度の見直しを行いました。これにより、戦闘機や護衛艦を含め、原則として全ての防衛装備品の移転が可能となりました。
さらに、厳しさを増す安全保障環境に対応するため、国家安全保障戦略をはじめ我が国の安全保障に関する基本的な方針と、防衛力の在り方及びその整備の方向性を示す戦略文書についても、年末までに改定を進めていきます。また、防衛産業の中長期的に望ましい方向性を戦略として示すべく、防衛生産・技術基盤戦略を作成する予定です。この戦略の重要なターゲットの1つは、ロシアによるウクライナ侵略によって顕在化した、有事が長期化した場合でも必要な防衛装備品の生産能力を確保することです。我々の目的は明確です。
抑止力と対処力を高めること。そして、新たな戦争は起こさせない。私たちは、その取組を高い透明性の下で進めていきます。
先日のNATO防衛産業フォーラムでは、多くの大規模な産業協力が発表されました。
防衛産業は、もはや一国だけでは完結しないということです。
日本としても、信頼できるパートナーとの協力がますます重要になっています。
特に、高い技術力を有する欧州の同志国との協力は、我が国にとって不可欠です。
そして、その協力の中核となるのは、お互いの強みを持ち寄ることです。足りない部分を補い合うことです。
防衛産業能力のギャップを埋め、強靭なサプライチェーンを共に築いていくことです。
今回、このファンボロー・エアショーに出展している日本企業は、高い技術力と国際協力への強い意欲を持っています。
ホール2にSJACブースがあるほか、個別シャレーには日本が誇る防衛産業のMHIやIHIが出展しています。
ぜひ日本の企業と直接話をしてください。もちろん、私のスピーチを最後まで聞いた後にして下さい。日本企業の技術力と信頼性を感じていただきたいと思います。これは長年の実績によって裏打ちされた“Proven record of trust and technology”なのです。
私たちが目指しているのは、単なる装備品の移転ではありません。
こうした協力を積み重ねることで、同盟国・同志国が共通の装備品を運用し、生産基盤を共有し、相互運用性や互換性を高めていくことです。
私は、それこそがこれからの時代の抑止力を支える重要な基盤になると考えています。

【グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)】
ここで具体的なプロジェクトについてお話しましょう。皆様も御承知のGCAPについてです。
GCAPは欧州との防衛産業協力を更なる高みに引き上げる取組であり、我が国はイギリス、イタリアとともにこの壮大なプロジェクトを推進しています。
GCAPは単なる戦闘機開発計画ではありません。志を同じくするイギリス、イタリアと手を携え、安全保障と技術革新の未来を共に築くための戦略的パートナーシップに他なりません。
GCAPにおける協力は、今後数十年にわたり継続する人的・技術的・産業的な結び付きの基盤となるものです。また、インド太平洋と欧州・大西洋の安全保障をこれまで以上に強固に結び付けるものであり、地域を越えた安全保障協力の新たなモデルとなり得るでしょう。
さらに、GCAPは、防衛能力の向上にとどまらず、各国の企業、研究機関、人材を結び付け、新たな技術革新を促進する取組です。防衛と民間双方の面で優れた技術と実績を持つ我が国の航空宇宙関連企業を集結し、オールジャパン体制でGCAPへの参画を力強く推進しているところです。これにより、GCAPのサプライチェーンの強靭化を図り、GCAPの安定的な開発・調達・運用・維持整備に寄与することを期待しています。
GCAPによって私たちが築こうとしているのは、未来の航空機だけではありません。次世代へと受け継がれる信頼、技術、そしてパートナーシップそのものです。
【結語】
最後に申し上げます。
防衛生産・技術基盤は、自衛隊だけでなく、同盟国・同志国全体の安全保障を支える基盤です。
私が描いている未来があります。それは、日本が世界の「ドット・コネクター」となる未来です。
同盟国と同志国をつなぐ。
政府と企業をつなぐ。
技術と技術をつなぐ。
そして、人と人をつなぐ。
“Dot Connector”という言葉は、私が尊敬する安倍晋三元総理が残したものです。私自身、防衛大臣としてドット・コネクターの役割を果たそうと努めています。点をつなぎ、線にする。そして面へと広げる。「多層的な相互連結性の網」を構築していきます。そのネットワークこそが、自由で開かれたインド太平洋を支える力になるからです。
そして最後に、今日の私のメッセージを三つの言葉に込めたいと思います。
Production is deterrence.
Partnership is power.
Trust is our advantage.
これが私たちの決意です。
来年春にはぜひDSEI JAPANでお会いしましょう。日本で皆様をお迎えできることを楽しみにしています。
ありがとうございました。
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