
時事日本 2021/05/15 体操 19歳の橋本大輝 世界を目指す原点の言葉と涙
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19歳の橋本大輝選手は東京オリンピックの代表選考会を兼ねた4月の全日本選手権を制し、初めてのオリンピックへ、ぐっと近づきました。 オリンピックに向けて力強く話す橋本選手の表情には大舞台を見据えた覚悟が感じ取れました。 橋本選手が世界との戦いを初めて意識したのは、2年前、高校2年生の頃でした。練習場で出会った日本体操協会の水鳥寿思男子強化本部長に、その年の目標を問われた橋本選手が高校生の大会で優勝することと話すと「そうじゃない、世界選手権の代表を目指しなさい」と返されました。 それまで代表争いには無縁でしたが、水鳥強化本部長の言葉に目の前に道が開けた気がしたといいます。 世界との戦いを見据えた橋本選手は、これまで以上に高い得点をあげるようになり、その年の全日本選手権で7位、NHK杯で6位に入りました。 全日本種目別選手権でも結果を残してリオデジャネイロオリンピックの団体金メダルメンバー、白井健三選手以来、 2人目となる高校生での世界選手権代表入りを果たしました。 大きな目標を胸に初めて出場したドイツの世界選手権。 しかし、団体決勝の演技ではプレッシャーと緊張のあまり普段はしないようなミスを連発。 最後の種目のゆかでは、尻もちをつくミスをおかし、思ったような貢献をすることができませんでした。 日本は、ロシアと中国に及ばず、3位で大会を終えました。橋本選手は、人目もはばからず、体を震わせながら大粒の涙を流しました。 その姿を目の当たりにした水鳥強化本部長はひそかに確信していました。日本に戻った橋本選手は、世界選手権の悔しさを糧に、これまで以上に練習に打ち込みました。オリンピックイヤーの今年に入ると、世界のトップを目指して技の難度を大幅に上げることを決意します。 「このままでは勝てない。代表選考だけではなく、オリンピックを見据えた演技を考えないといけない」 ゆかでは、G難度の「リ・ジョンソン」を追加し、跳馬は世界最高難度の大技、「ヨネクラ」の習得を目指しました。 難しいと思われる挑戦も、橋本選手は「絶対にできる」と自分に言い聞かせて日本一とも言われる練習量をこなし、世界選手権の金メダリストの得点をも目指せる難しい構成の演技を完成させました。 4月の全日本選手権。新しい構成で臨んだ橋本選手は、予選でミスを続けて、予選7位スタート。優勝は厳しい位置でしたが、翌日の決勝、目標の日本のエースに向けて、みずからを奮い立たせた橋本選手は、4種目で15点台を出す圧倒的な演技を披露。 逆転で大会を制してオリンピック代表内定に向けて、一歩、リードしました。次に見据えるのは、上位2選手が団体代表に決まるNHK杯。「NHK杯では、自分が絶対に優勝する。ベストパフォーマンスをして自分がエースということを証明したい。 まわりから認められるような演技をすることが一番」 日本のエースを目指す19歳が、かつて世界の舞台で味わった悔しさを糧に、力強く歩みを進めます。
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