
5月28日、ウェリントンで記者会見するウィリス財務相。REUTERS/Stella Qiu/File Photo
[ウェリントン 28日 ロイター] – ニュージーランド政府は28日、激戦が予想される総選挙を控え、有権者への優遇措置をほとんど盛り込まない「最小限の予算案」を発表した。政策当局者は、イラン情勢を巡るリスクの高まりを受け、財政の余力を温存することに重点を置いた。
ウィリス財務相は声明で、2027年6月30日に終了する26/27会計年度の予算案について、「国民を支援しつつ、今後数年間で経済基盤を強化するための慎重な措置を講じたものだ」と説明した。また、中東紛争がインフレをあおり、貿易依存型経済の回復を脅かしていると警告した。
ウィリス氏は、防衛、学校、病院への資本支出を拡大する一方、「目先の利益」の必要性を否定し、新たな運営費は厳格に抑制すると表明。公務員部門でのさらなる削減を示唆しており、数千人規模の雇用が失われる可能性がある。
政府は、25/26年度の財政赤字を150億6000万ニュージーランド(NZ)ドルと予測した。これは昨年12月の中間報告で示された169億3000万NZドルの赤字を下回る。
ウィリス氏は、政策担当者が財政の黒字化に注力しており、これまでに予想していた小幅な赤字に代わり、29/30年度に黒字に転じる見通しだとした。
ウエストパック銀行のチーフエコノミスト、ケリー・エックホールド氏は「財政見通しの観点からすれば、これは予想外に前向きな予算案だと思う」とし、「税収見通しがいかに楽観的であるかという点については、おそらく下方リスクがあると思う」と述べた。
S&Pグローバル・レーティングは、ニュージーランド経済が中東紛争にさらされていることを踏まえ、同国の信用格付けに圧力がかかると警告した。「下方リスクが顕在化すれば、他の先進国・高格付け国家と比較して、ニュージーランドの富の格差や財政赤字が拡大する可能性がある。それが持続すれば、ソブリン格付けに下押し圧力をかけかねない」と指摘した。
フィッチとムーディーズがニュージーランドのソブリン格付け見通しを「ネガティブ」に変更したことを受け、政府は財政規律について市場と格付け会社を安心させるため、難しいかじ取りを迫られている。
予算案を受け、NZドルは0.2%下落、国債利回りはこの日の高値から低下した。
財務省は現在、26/27年度の国内総生産(GDP)伸び率を2.3%と見込み、昨年12月に予想していた3.4%から大幅に下方修正した。
ウィリス氏は演説の中で、選挙の年には「一時的な対策や目先の利益」を求める声もあるだろうが、政府は「責任ある持続可能なアプローチ」を選択したと語った。
一方、野党労働党は、コスト上昇と失業に苦しむ国民を見捨てた予算案だと批判した。
財務省は現在、25/26年度のインフレ率が4.0%で推移し、来年度には1.6%に鈍化すると見込んでいる。
財務省は、債務削減の一環として、債券発行額を60億NZドル削減する計画を発表した。
新たな施策の多くは、政府各省庁内の予算削減によって賄われ、学生の大学最終学年の学費を負担する制度も廃止された。
政府はまた、銀行、ノンバンクの預金取扱機関、保険会社、その他の金融市場参加者を対象に、約2億0900万NZドルを回収する健全性負担金を導入する計画も発表した。
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