©Jaanus Ree / Red Bull Content Pool

2026年WRC第5戦ラリーカナリア諸島(ターマック)は、4月26日(日)競技最終日の4SSを走行し、トヨタのセバスチャン・オジエ(トヨタ)が今季初優勝を飾った。勝田貴元は4位でフィニッシュし、ラリージャパン前の最後のラリーとなる第6戦ポルトガル(グラベル)を選手権2番手で迎える。

日曜日はふたつのSSを午前と午後で2ループする4SS、78・40㎞。この日は、日中サービスもタイヤフィッティングもなしで戦わなくてはならない。この日最初のステージとなるSS15は、25.93kmの長丁場。スタート地点では降雨はないものの、路面はそれまで降った雨が残っているほか、ステージの所々では雨が降っているところも。ヒョンデのアドリアン・フルモーとダニ・ソルドの2クルーがソフト3本、ハード3本を選択、それ以外の選手はソフト4本、ハード2本を選択してスタートした。

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ウエット路面の影響は各選手とも想定より大きく「ハードタイヤではバランスが悪く、ステージを抜けるだけの状態」という出走5番目のフルモーは、ラリー1勢で最遅タイムとなる。その一方で、8番走行のエバンスが、前走者パヤリがマークした暫定ベストを30秒も更新するタイムを記録すると、続くソルベルグは「至るところでミスしやすい」と言いながらもエバンスのタイムを1.3秒更新する15分56秒8をたたき出し、これがベストタイムに。オジエはソルベルグから0.6秒遅れとなり、総合順位に変動はないものの首位オジエと2番手ソルベルグの差は3.2秒に縮まった。

続くSS16は13.27km。路面コンディションは、一部の日陰を除いてほぼドライへと回復。今度はソフトタイヤ4本を選択したクルーが、グリップバランスやタイヤマネージメントに心配を抱える。「感触は最悪。リヤにソフトタイヤを履くとクルマが動きすぎる。ほかの選手はどんな状況か注目したい」とバランスに不満を持ちつつも、暫定ベストの勝田のタイムを一気に2.6秒更新。すると再びソルベルグがこのタイムを0.2秒詰める。一方オジエは「きれいなステージを楽しんだ。長いループなので、タイヤをセーブすることを意識している。自身のやるべきことに集中して、結果がどうなるかという状況」とソルベルグとのマージンをさらに1秒使った結果、両者の差は2.2秒へと短縮し、2ループ目を迎える。

SS15のリピートとなるSS17は晴れ。SS15ではウエットが残っていた路面はほぼ乾いたが、終盤の草木の茂った区間ではやや湿った区間が残っている状況。1番走者となるフォードのジョン・アームストロングは、1走目から1分20秒ものタイムアップを見せた。ここから、オジエをキャッチしようと追い上げをかけたソルベルグだったが、緩い右コーナーでアウトにはらみ車両左側をガードレールにヒット。損傷が大きく走行を続けることができず、まさかのリタイアとなってしまった。ステージはオジエがベストをマークして、総合2番手に浮上したエバンスに対して24.3秒のリードをキープしてパワーステージを迎える。総合3番手以下は、エバンスから1分以上離れてパヤリ、勝田、そこからさらに1分以上の差でフルモー、ヌービル、ソルドのヒョンデ勢、さらに1分半離れてフォードのマカリアンというトップ8となる。前日にコースアウトで大幅なタイムロスを喫しているアームストロングは、WRC2勢を挟んで12番手につけている。

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迎えた最終パワーステージは、SS15のリピート。まずWRC2勢のトップ6がリバースオーダーでスタートしていく。最初に登場したのは、ランチア・イプシロン・ラリー2HFインテグラーレのニコライ・グリアジン。23秒のアドバンテージを握っての部門首位でこのステージを迎えたチームメイトのヨアン・ロッセルは、ここまでの暫定トップタイムをマークしたエリック・カミリ(シュコダ)に5.8秒遅れのタイムで、WRC2部門トップフィニッシュ。イプシロン・ラリー2HFインテグラーレにとって初めてのWRC2優勝となった前戦クロアチアに続いての2連勝となり、選手権ランキングでは弟のレオ・ロッセル(シトロエン)と同ポイントでついに首位に浮上した。

ラリー1勢は、まずアームストロングがコースイン。マカリアン、ソルド、ヌービルと続き、次のフルモーがここまでの最速タイムをマークしたが、ジャンプスタートを取られて10秒のタイムペナルティを課されてしまい、暫定ベストはヌービルのタイムに。その後にスタートした選手権リーダーの勝田は、ヌービルのタイムを3.7秒更新してみせる。勝田に12.3秒差をつけてスタートしたパヤリは、勝田に1.8秒遅れのタイムでフィニッシュし、4戦連続ポディウムフィニッシュを確定させた。続いてスタートしたエバンスは、最初のスプリットから勝田を上回る激走を披露し、2.7秒タイムを更新。通算48回目のポディウムフィニッシュを決めた。そして、24.3秒のリードを握ってスタートした首位のオジエは、パワーステージポイントの範囲に留めながら絶妙にペースをコントロール。エバンスに4.4秒遅れの3番手タイムで、通算68勝目となる今季初勝利を飾った。
「とても楽しめたラリーだった。週末を通してチームメイトと激戦になったので、全員が一緒にフィニッシュできなかったのは残念。自分たちはやるべきことをやっただけだが、自分の優勝リストに新しいラリーが加わるのはうれしいね」とオジエは喜びを見せた。

最終SS終了時点での暫定トップ5は、オジエ、エバンス、パヤリ、勝田、フルモーという順位となった。パワーステージはエバンス、勝田、オジエ、パヤリ、ヌービルがトップ5となり、それぞれ5〜1点を獲得。スーパーサンデーはエバンス、オジエ、パヤリ、勝田はコンマ秒台までパヤリと並んでの4番手、ヌービルが5番手で続いた。この結果、ドライバーズポイントはオジエが32点(25点+4点+3点)、2位のエバンスは27点(17点+5点+5点)、3位のパヤリは20点(15点+3点+2点)、4位の勝田は18点(12点+2点+4点)を獲得した。この結果、ドライバーズランキングではエバンスが首位に浮上。勝田はわずか2ポイント差の99ポイントで2番手、パヤリは72ポイントで3番手に浮上、今回ノーポイントに終わったソルベルグは68点のままとなりランキングでは4番手に後退した。マニュファクチャラーズポイントはトヨタが265点とし、ヒョンデが167点、TGR-WRT2が75点、Mスポーツ・フォードが63点となっている。

第6戦の舞台は、5月7日〜10日にかけてポルトガル北部の港町マトジニョスを拠点とするラリーポルトガル。第3戦サファリ以来となるグラベルラリーは、かねてから勝田が優勝を狙えるイベントのひとつに挙げており、その後に続くラリージャパンに向けていい流れを作っておきたい一戦だ。

WRCカナリア諸島 暫定結果
1 S.オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2:43:18.9
2 E.エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) +19.9
3 S.パヤリ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +1:40.8
4 勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) +1:51.2
5 A.フルモー(ヒョンデi20Nラリー1) +3:29.5
6 T.ヌービル(ヒョンデi20Nラリー1) +3:41.0
7 D.ソルド(ヒョンデi20Nラリー1) +3:57.7
8 J.マカリアン(フォード・プーマ・ラリー1) +5:45.4

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