レメキ ロマノ ラヴァは、37歳のいまなお活力を示す。

 2009年に来日して2014年に日本国籍を取得。2016年には男子7人制ラグビー日本代表として、オリンピック、リオデジャネイロ大会で4位となった。15人制の日本代表としても、2度のワールドカップなどで計20キャップを得てきた。

 身長178センチ、体重95キロのサイズで強靭さ、速さ、キック力をアピール。現在の主戦場である最後尾のフルバックをはじめ、バックスで複数のポジションをカバーできる。

 愛好家におなじみのフランクな日本語で話す。

「ずーっと楽しい。勝っても、負けても。もちろん、勝ったほうが楽しいけど」

 国内シーンでは2024年度、2014年度より6季在籍した三重ホンダヒートへ再加入。現在は移籍2シーズン目を過ごす。

 4月17日、東京・秩父宮ラグビー場。加盟するリーグワン1部・第15節では、ミスからの失点が重なりリコーブラックラムズに5-49で敗れた。試合後のミックスゾーンでこう述べた。

「何をやってもうまくいかなかった。ゲームプランはあったけど、そのファーストステップができていなかった。ターンオーバーされて、裏に蹴られて、ラッキーバウンドからトライの繰り返し。(準備は)うまくいったけど、ラグビーの神様がうまく向かなかった」

 公式入場者数は1万5934人。ヒートはこの一戦をホストゲームとしていて、近隣のオフィスから多くの社員が観戦に訪れていた。レメキは続ける。

「試合前は皆、気合が入っていて。『行こうぜ! 行こうぜ』と。テンションが高すぎて…」

 日をあらためれば、次に視線を向ける。

 現在12チーム中8位も、プレーオフ行きの可能性を残す。4月25日には、すでにその大台に達している3位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイとぶつかる。相手が今度の会場の東京・スピアーズえどりくフィールドで負けたことがないのを踏まえ、勇ましく述べる。

「相手を意識しすぎると、自分のやりたいことがちゃんとできなくなる。相手に関係なく自分たちのDNAを出せたらどんなチームにも勝てる。クボタのフォワードは大きい。僕らのフォワードの戦いは大事になる。それからボール・イン・プレーを長くして相手を疲れさせたら、いいラグビーもできる。

 リーグワン、1位から12位の差は全然ない。レベルはめちゃ上がっているから、ファンは楽しいよね。昔はパナ、サントリー、神戸(埼玉パナソニックワイルドナイツ、東京サントリーサンゴリアス、コベルコ神戸スティーラーズ)に下のチームは絶対に勝てなかったけど、いまはそんなことない。ホンダも今年初めてサントリー、ヤマハ(静岡ブルーレヴズ)に勝って、東芝(ブレイブルーパス東京)に2回も勝っている。その日にならないとわからない。

 今週は大きなチャレンジ。クボタ、えどりくで負けたことないよね? …今週が初めてだ!」

高いランニングスキルだけでなく、キック力も頼りになる。©︎JRLO

 単独取材に応じたのは4月20日。折しも、日本国籍を持つ海外出身者が公正取引委員会へ申告したことが一斉に報じられていた。訴えは、リーグワンで来季から施行されるレギュレーションが独占禁止法に違反しているという観点のもとなされたようだ。レメキも当事者として名前を公表している。

 現在のリーグワンでは、日本代表資格を持つ選手はすべて出場枠に上限がない「カテゴリA」に区分される。

 しかし来季からは「小中学校の義務教育9年間のうち、6年以上を日本で過ごした選手」が「カテゴリA-1」、それ以外は国籍を問わず「カテゴリA-2」となる。「カテゴリA-2」は先発の15人中7人の枠を海外のキャリア組にあたる「カテゴリB」や「カテゴリC」と争う。

「カテゴリA-2」でも日本代表30キャップ以上を獲れば「カテゴリA-1」に優遇される。とはいえ、2025年に実施されたジャパンのテストマッチが11試合であること、ワールドカップ史上最高位で終えた2019年の日本大会出場者でそのハードルを越えた外国出身者が3名のみであることを鑑みれば、特例が認められるまでの道のりは険しい。

 その件についてレメキは、建設的な議論を目指して「もちろん日本のためにもっと(国内の)若い選手を出さないといけないのはわかるけど、帰化している選手に『国としては日本人だと認めているけどラグビーでは認めていない』というのは…」などと問いを投げかけつつ、明るい未来も展望する。

 妻と4人の子どもがオーストラリアにおり、特に長男の14歳、一志(いし)くんが、ブリスベンきってのラグビー名門校であるナッジー・カレッジで頭角を現しているようだ。

 父は単身で鈴鹿に暮らし、「いつもここ(取材現場のクラブ施設)にいる。家ではテレビ見るか寝るだけ」。少年時代の息子が日本のフィールドで激走する動画をスマートフォンで流しながら、自分のことのように語った。

「世界一のラグビー高校に行っている。いまはその学校の寮にいる。今年、入った。(以前、同国へ)留学したら、『楽しかった。向こうの学校に行きたい』と。この間はトップチーム(主力)がオーストラリアで優勝して南アフリカのツアーに行って、そこでもトップのチームを倒した(現地時間4月4日、グレイカレッジに勝利)。

 いまの夢は、日本人で初のワラビーズ(オーストラリア代表)。たぶん、全然、いけると思います。14歳だけど、スピードの測定は大人と変わらない。(少年同士では)ひとりだけレベルが違う。ひとつ上(のグレード)でやっても、誰も止められない。

 センター、ウイング、フルバック、どこでもできる。背は180センチを超えている。俺よりもでかい。ゴールキッカーもやっていて、キックもめちゃめちゃ飛ぶ。

 身体も強い。ディフェンスも結構いいし、これなら海外で行かせたほうがいい。自分が見ても、結構、えぐいなと思う。

 日本にいる時は、こっち(ヒートのジム)で一緒にトレーニングしていたよ。測定したら40メートル走5秒フラットで、20メートル走2秒7! エリートスプリンターレベル。俺、たぶん、負けるよ」

2019年、2023年と2度のワールドカップを経験している。写真は2023年大会、アルゼンチン戦でのハイボールキャッチ。(撮影/松本かおり)

——小学生の頃は日本のラグビースクールに通っていたのですか。

「あびこ(ラグビースクール=レメキの前所属先であるNECグリーンロケッツ東葛の近所)でも、鈴鹿(ラグビースクール)でも、ひとりでキックオフからトライ、キックオフからトライ。ひとりでやっている。オーストラリアでも一緒!」

——そこまで突出していたら、やはりワールドカップ優勝経験国の代表を目指しますか。

「小学校、中学校(の途中)まではずっと日本。(妻は日本人だから)ハーフで日本国籍がある。それでも、(リーグワンでは)A-1かA-2、どっちになるの?」

——ワラビーズを目指すのなら、まずはスーパーラグビーに行きたいでしょうね。

「そう。スーパーラグビーに行きたい。若いうちにスーパーラグビーに行って、経験してから日本に帰ってきてもいいと思う」

 4人の子どもにはあらゆる国で生活できるよう、バイリンガルになってもらいたいという。そのためにも働く。

——きょうはありがとうございます。最後にレメキ選手のいまの目標は。

「ホンダでプレーオフに入る。引退までにリーグワンで優勝したい。身体は元気だし、まだ全然、ラグビーやりたい。練習に行くのがつらい…とマインドがだめになったら引退だな。やる気がないと意味ないから。いまは楽しいし、一番早く(グラウンド)来ている」

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