ジーコ氏 写真:アフロスポーツ

 ドイツ代表、スペイン代表、イングランド代表と強豪国を相次いで下したことにより、注目を集めているサッカー日本代表「森保ジャパン」。2025年10月にはブラジル代表相手に逆転勝ちを収めているが、そのブラジル代表とはFIFAワールドカップ北中米大会の決勝トーナメント1回戦で再び相対する可能性がある。その”再戦”を巡り、鹿島アントラーズOB、元日本代表監督のジーコ氏が明確な言葉を残した。

 ジーコ氏が米メディア『CNN』のインタビューで口を開いた。「常にブラジルだ。私はブラジル人だし、ブラジルが最優先だ」。日本代表監督も務めた「神様」が、W杯での直接対決に際して迷いなくブラジル支持を表明した。日本サッカーとの深い関わりを持ちながらも、その答えは一秒の逡巡もなかった。ブラジル人としてのアイデンティティ——そこだけは交渉の余地がない。

 だが、ジーコの発言はそこで終わらなかった。「もし日本がブラジルを下したとしても、私は悲しまない」。この言葉が持つ重みは小さくない。”負けても悲しまない”——それは単なる外交辞令ではなく、日本サッカーへの本物の敬意から絞り出された本音だろう。さらに踏み込んで、両国が対戦した場合の日本側の反応についてもこう語った。「きっと翌日には、『これまでありがとう』というメッセージが届くだろう」。日本のファンが彼の功績をいかに深く刻み込んでいるかを、ジーコ自身が最もよく知っている。

 一方、ブラジル国内でもこの”再戦”シナリオへの警戒感は着実に広がりつつある。

 ブラジルの大手メディア『UOL』によれば、現地の著名ジャーナリスト、パウロ・ヴィニシウス・コエーリョ氏は北中米W杯におけるセレソンの戦いをこう展望している。「ブラジルがW杯で優勝しても驚きではないが、期待外れに終わる可能性もある」——そして、核心はここだ。「決勝トーナメント1回戦で日本と対戦するならば、そこで敗退する可能性は十分ある」。

 優勝候補の一角でありながら、日本にだけは「敗退の可能性が十分ある」と自国のジャーナリストが認めている。これは単なる謙遜ではない。ドイツ、スペイン、イングランド、そしてブラジルを撃破してきた森保ジャパンのデータが、ブラジルの識者にすら恐怖を植え付けている証拠だ。

 ジーコが「常にブラジルだ」と断言しながらも「悲しまない」と付け加えた言葉——それこそが、日本サッカーが今いる場所を正確に示している。かつて日本を鍛えた師が、弟子の成長を認めながらも叩き潰しに来る。再戦が実現した際の、ブラジル国内の世論やジーコ氏の感情の動きが気になるところだ。

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