オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は3月18日、オーストラリアのロイヤルメルボルン工科大学(RMIT)とメルボルン大学の研究者とともに、充電、蓄電、放電まで行える世界初の概念実証型量子電池を開発したと発表した。研究成果は学術誌Light: Science & Applicationsに掲載された。

CSIROのクリーンラボでプロトタイプ量子電池を開発
量子電池は、重ね合わせや量子もつれといった量子力学の性質を利用してエネルギーを扱う新しい蓄電技術である。現在広く使われている主に化学反応に依存する電池に対し、量子電池は、より高速で効率的なエネルギー貯蔵につながる可能性がある。今回の試作機は多層構造の有機マイクロキャビティーを備え、レーザーによるワイヤレス充電で動作する。
研究チームは高度な分光法を用いて充電挙動を確認し、蓄えたエネルギーを充電に要した時間の100万倍に当たる時間保持できることを示した。また、研究結果より、量子電池はサイズが大きくなるほど速く充電できるという。室温で高速かつ拡張性のある充電と蓄電を示した点も重要で、次世代のエネルギー技術への応用可能性を示した。
研究を主導したジェームズ・クアック(James Quach)博士は、電気自動車をガソリン車の給油より速く充電したり、機器を長距離からワイヤレス充電したりする未来を目指していると述べた。一方で、実用化には蓄電時間のさらなる延長が課題であり、CSIROは今後の開発パートナーを募っている。

ジェームズ・クアック(James Quach)博士
(出典:いずれもCSIRO)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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