有人月周回探査計画「アルテミス2」で打ち上げられ、11日に帰還した米航空宇宙局(NASA)の宇宙船「オリオン」の追跡に成功した福井工業大のチームは15日、あわらキャンパス(福井県あわら市)で成果を報告した。「今後の月探査でも役に立ちたい」と意気込みを語った。(杉原慶子)

 キャンパス内のあわら宇宙センターには、国内の大学では最大級となる口径13・5メートルのパラボラアンテナがあり、月周辺にある衛星や宇宙船とも通信が可能という。

オリオンからの電波を受信した福井工業大のパラボラアンテナ(福井県あわら市で)オリオンからの電波を受信した福井工業大のパラボラアンテナ(福井県あわら市で)

 チームはアンテナを使い、3日に地球から約6万7000キロ・メートル離れたオリオンの電波を受信した。オリオンが地球に帰還するまで連日、9回にわたって電波を受信したことを報告した。

 7日朝には、地球から約40万キロ・メートル離れた月近傍にいるオリオンの信号を捉えたことも明らかにした。受信電波を調べることで、オリオンの飛行速度を推定可能だという。今後、データをNASAに提供する。

 NASAは2028年、アルテミス計画の一環で、約半世紀前のアポロ計画以来となる有人月面着陸を目指す予定だ。地上からの追跡は今後、より重要になる。

宇宙船「オリオン」からの電波受信状況を説明する中城副センター長(福井県あわら市で)宇宙船「オリオン」からの電波受信状況を説明する中城副センター長(福井県あわら市で)

 中城智之・副センター長は「大学の地上局が国際的な宇宙探査で役割を果たせると実証できた」と話した。村田泰宏センター長は「学生も貴重な体験ができた。今後の宇宙産業を担う人材育成を福井で担えることは、大きな意味がある」と胸を張った。

宇宙開発民間中心への一歩 

 NASAは、オリオンを追跡する今回の国際プロジェクトに14か国の大学や企業など34組織を選んだ。日本からは福井工大と衛星放送会社「スカパーJSAT」(東京)が選ばれ、ともに成功した。

 アルテミス計画の進展に伴い、宇宙活動の舞台は地球近傍から、月とその周辺まで広がる。NASAは、他国の企業や研究機関にも追跡能力を実証してもらうことで、より広範囲な宇宙空間での追跡ネットワークの構築を目指している。

 NASAの担当幹部、ケビン・コギンズ氏は読売新聞の取材にメールで回答し、プロジェクトの狙いについて、「(宇宙開発が)民間中心となる未来への重要な一歩。遠い宇宙を探査するための基盤を強化できる」と説明した。

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