高知で輝く人を紹介する「キラッ人」。今回は、高知県四万十町の窪川高校で野球部復活に向け尽力する男性です。

四万十町にある窪川高校。体育館で練習に励んでいる生徒たちがいます。
真剣な表情でノックを受け、懸命にバットを振ります。野球同好会の生徒たちです。

窪川高校野球部は2011年度には21人の部員がいましたが、その後部員は減り続け、2021年度に廃部。生徒数の減少などで学校の存続も危ぶまれるなか、町を中心に野球部復活に向けて動きが活発化しています。
そのミッションを託されているのが、市川才将さん(37)です。

■市川才将さん
「四万十町の出身であることから、以前からの自分が教員生活で得たものや経験したものをどのように故郷に還元できるかということを考えていた」

四万十町仁井田出身の市川さん。2026年3月まで高知市内の中学校の教員を務めていましたが、4月からは四万十町の臨時職員として窪川高校に勤務しています。

中学校の教え子や家族のこと、地元へのUターンに葛藤もありました。

■市川才将さん
「たくさんの人に迷惑かけたし、自分の判断でいろんな方の思いが動くことが多かったというのが正直な感想で、その中でもこのタイミングじゃないと自分ができない、このタイミングを逃すとこの取り組みが前に進まないというのが有ったので思いっきり決断した」

中学校の教員時代には、都道府県対抗の全国野球大会で高知県選抜の監督を務めた市川さん。
チームを全国2位に導くなどその手腕を買われ、窪川高校野球部の復活に向けた指導者に抜擢されました。

窪川高校の野球部用のグラウンドです。廃部になってからは使用されておらず、今月に入って、整備が完了しました。

■市川才将さん
「これ学校のグラウンドなんかなという。廃校じゃないかというぐらい。外野も掘ってくれたのでなっているが、もっとすごかった。デコボコどころじゃなく石だらけ、マウンドもないしホームベースもないし」

2026年度、高知市や佐川町などから13人の野球経験者が入学し、現在は野球同好会ながらも市川さん指導のもと練習に励んでいます。

■市川才将さん
「今30分バット振ったやん。あと何回降ったら目標に届く。あと何回降ったらたどり着くか数分かる?1万回振ったら甲子園行ける うまくなれる。わからんけど1万回振ったら目標たどり着ける?わからんやん。だから時間がある限りやらないかんわけよ」

市川さんのモットーは「時間のある限りやる」。市川さんも生徒たちも新たな環境で、精いっぱいの努力を続けています。

■市川才将さん
「ゴールがない中、走り続けることや、どっちに行ったら正解なんだろうって子供たちが特に分からないと思うので、だからって手を抜いたらいかんし、見えないからこそ頑張れる人じゃないといかんし、そこを指導したい」

練習を終えた午後6時半。市川さんと同好会の生徒たちは町が運営する寮に帰ります。
市川さんと同好会の13人で共同生活をしています。生徒たちにとって初めての寮生活。

午後7時、夕食の時間です。地域の人たちが用意してくれた食事を生徒たちで仲良く囲みます。

そこに市川さんの姿はありません。

■市川才将さん
「せっかく寮なので子どもたちだけの空間を作ってあげたい。僕いると話したいことも話せないと思うので」

夕食の後、生徒たちが向かったのは町が同好会のために改装したトレーニング施設。「時間がある限りやる」。市川さんの思いに、生徒たちも応え、努力を続けています。

■市川才将さん
「恵まれた環境を提供してもらっているということと子どもたちがやりたい事というのが目一杯できる環境にあるというのは感じているし、いろんな人の協力や応援があっての事なのですごく恵まれているなと思う」

今はまだ同好会として活動している、市川さんと生徒たち。目標は、4月中に野球部に昇格し、夏の県大会に出場することです。

■市川才将さん
「若い子が町にいて、その子たちが一生懸命頑張っている姿が間違いなく町民の方にも勇気や希望を与えると思うので、この子たちが頑張ることで周りの人たちも頑張れるような相乗効果が生まれるような形にしたいが、まだまだ足りていないので頑張りたい」

念願の野球部復活へ。生徒たちとともにひとつひとつ壁を乗り越えていく市川さんの挑戦はまだ始まったばかりです。

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