3月にスコットランド、イングランドと戦うサッカー日本代表にあって定位置争いが激しいのはMFだ。22年カタールW杯スペイン戦で“三笘の1ミリ”の折り返しを決めてヒーローとなった田中碧(27歳)のリーズ内序列や日本代表での期待値について、英国人記者が記す。〈翻訳・構成:井川洋一。NumberWebレポート/全2回〉

田中碧がリーズに引き抜かれた背景

 リーズ・ユナイテッドは強者に抗ってきた歴史を持つ、誇り高きフットボールクラブだ。英国有数の学生の街を本拠とし、若くてエネルギーに満ちた多くのサポーターに支えられている。

 プレミアリーグになる前のイングランド1部リーグを3度制し(1968-69、1973-74、1991-92シーズン)、その後は大胆な投資でチームを強化し、2000-01シーズンにはチャンピオンズリーグでベスト4に進出。しかしそこを頂点に財政が悪化し、長らく下部リーグで戦っていた。

 2018年にマルセロ・ビエルサ監督を招き、2020-21シーズンからプレミアリーグに復帰すると、そのシーズンは9位とトップハーフで終えたが、以降は17位、19位となり、3年で2部に逆戻り。クラブは再び、蘇生への道を模索し始めた。

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 その2023年夏には、アメリカのフォーティナイナーズ・エンタープライズがリーズの全株式を買い取り、新たなオーナーになった。同社はNFLのサンフランシスコ・フォーティナイナーズ系列の投資会社で、彼らの最初の目的はリーズをいち早くプレミアリーグに昇格させ、世界的な知名度を維持することだった。それでも投資会社らしく、2024年夏にはジョルジニオ・ルッターやアーチー・グレイら高値がついた選手を売却。その補填として、フォルトゥナ・デュッセルドルフから田中碧を引き抜いた。

“移籍金6億円”はバーゲン価格だった

 リーズが田中獲得のためにドイツ2部のクラブに支払った移籍金は、推定290万ポンド(現在のレートで約6億円)。その後の活躍を考えると、今のプレミアリーグでは破格と言えるバーゲン価格だった。

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