2026年3月23日 午前7時30分
【論説】自転車の危険な運転が都市圏を中心に増加している。福井県内でも昨年、信号無視や「ながら運転」などの違反で県警が指導警告したケースは1800件を超えた。こうした状況の中、16歳以上が自転車で交通違反をした際に反則金を科す交通反則切符(青切符)制度が4月1日から始まる。自転車の違反は青切符の対象ではなかったが、違反件数や、それによる事故が増えているため、警察庁は制度の導入を決めた。
対象となるのは▽スマートフォンを使う「ながら運転」(反則金1万2千円)▽遮断踏切立ち入り(7千円)▽信号無視、横断歩行者妨害(6千円)▽一時不停止(5千円)▽並進、2人乗り(3千円)―など113種類。現場ではまず指導警告が行われるが、交通事故の原因となるような危険性や悪質性が高い違反は青切符が交付される。
昨年1年間、福井県警は自転車の交通違反で延べ1812人に指導警告を行った。内訳は一時不停止が最多の302人で、ながら運転268人、無灯火230人、2人乗り141人などが続いた。県警は講習会開催や通勤通学者らへの啓発チラシ配布などを重ね、制度の周知に努めている。
ほかにも、例えば県自転車軽自動車商協同組合は、自転車の安全な乗り方や整備の仕方を学ぶイベントを開き、JA共済連福井は高校生向けの啓発用DVDを県警に提供した。周知に向けた取り組みは広がっているが、制度の認知はまだ十分とは言えない。
言うまでもなく、新制度は重大事故を未然に防止するためのものだ。県警も、「反則金を取られるから」という理由ではなく、自分の命を守るための交通ルール順守を呼びかける。その意味では、自転車利用時のヘルメット着用も重要な安全対策となる。事故の際にヘルメットを着用していないと、頭部に深刻な損傷を負う危険が高い。警察庁の統計では死亡する確率は着用時に比べ2・4倍に上昇する。昨年の県内の交通死亡事故のうち、自転車運転時の死亡は1人で、ヘルメットを着用していなかった。
自転車ヘルメットの着用は2023年4月の改正道交法施行で努力義務となった。悲惨な事故を防止するため、福井県教委は取り組みをさらに一歩進め、新年度から全県立高で自転車通学の許可条件として着用を必須化する。24年11月に方針を打ち出して以降、生徒や保護者への周知に努め、着用に向けた生徒の自発的な取り組みを促してきた。
自動車に比べて、自転車の危険な運転はこれまで軽視されがちだった。「尊い命が失われてからでは遅い」という共通認識の下、取り締まりと意識改革の両輪で事故防止を進めたい。

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