日本サッカー協会(JFA)は19日、千葉市内で記者会見を行い、今月のイギリス遠征に臨む日本代表メンバー28人を発表した。森保一監督と山本昌邦技術委員長兼ナショナルチームダイレクターが登壇し、約50分間にわたって質疑応答を行った。

●山本昌邦技術委員長兼ナショナルチームダイレクター

「キリンワールドチャレンジ2026ということで伝統と歴史のある両チームとこのタイミングでマッチメイクできたことが嬉しく思う。何年もかけて予選を俯瞰してマッチメイクを整えてもらい、W杯のグループには2チーム欧州組が入っているので、ヨーロッパ勢とはここでしかできないというタイミングでしっかりと準備していただいたと思っている。残り少ない強化のタイミングと、監督にとっては選手選考という重圧のかかる仕事がこのあと待っているが、3月のシリーズでいい形で前進できればいいと思っている。ヨーロッパのシーズンも佳境を迎え、Jリーグも盛り上がっているところで選手の成長を考えると、一人一人が厳しい競争で重圧を抱えながらプレーしてもらえていると思っている。いいサポートをして、選手たちがのびのびと自分の力を発揮できる環境を整えたいと思っている」

●森保一監督

「3月の代表強化活動としてキリンワールドチャレンジ2026ということで素晴らしい対戦相手と強化試合を組んでいただいたことに尽力してくださった皆さんに感謝を申し上げたい。第1戦のスコットランド、第2戦のイングランドという世界の強豪国、W杯出場国との強化試合を組んでいただけたことでW杯に向けての最善の準備をできる最高の環境を整えてくださった。W杯に向けて選手選考の場となること、チームの強化をしっかりとできるようにこの活動を全力で頑張っていきたいと思っている。またアウェーで非常に厳しい試合になると思うが、W杯に向けてはもちろん、準備というだけでなく、いつも通り一戦一戦勝利を目指して戦うこと、アウェーの厳しい戦いの中でもチーム一丸となってタフに戦い抜いて、サポーターの皆さん、そして試合を応援してくださっている皆さんと勝利し、勝利を分かち合えればと思っている」

―28人と多めに呼んでいるが、どういった部分を確認していきたいか。長く代表から外れていた冨安健洋、伊藤洋輝が復帰した。この2人が帰ってくるのは戦術的にも戦力的にも大きいと思うが、どう考えているか。

「今回の活動においてベンチ入りメンバーは26人になると思うが、プラス2人ということで28人の選手を招集させていただいた。理由としてはもっと他にも呼びたい選手、見たい選手はいた中で、プラス2人というのはこれまでもバックアップということでケガ人が出たりということへの対応もしてきており、今回も初招集の選手もW杯直前だとはいえ招集したということで、チームの強化と積み上げをしていく、11月から活動が長く空いた中、もう一回基本的コンセプトを確認しながら積み上げをしていく中、より多くの選手にチーム戦術の共有をしていくことで多く招集させていただいた。起用のところについてはまだわからないが、トレーニングを見て、まだまだ90分試合に出ていない選手、初出場の選手、少し招集の間が空いた選手等々はコンディションを見てメンバー入り、起用を決めていきたいと思っている。それも含めてW杯に向けての準備ということで考えている。伊藤と冨安の復帰は2人ともまだ90分はプレーしていないということで、伊藤に関しては直近の試合で終盤に出場したのみということだが、彼らのポテンシャルを考えればコンディションが良ければ日本代表に選ばれて、W杯の舞台で戦うことは当然あっていいことだと思っている。今のコンディションからさらに本大会に向けて上がることも考えて、かつ先ほども言ったように招集の間がずいぶん空いているので、もう一回チームコンセプトを3月の活動の場で確認することと、本人たちのコンディションがどうなるかを確認する活動にできればと思っている」

―以前、メンバー選考について森保監督は「ケガ人でもチームに呼んで同じ経験をするのが大事」と話していたが、今回は遠藤航、守田英正、久保建英もいない。彼らを呼ばなくてよかったのか。また新たにここで新しい塩貝健人を呼んだ意味は。

「メンバーはまだまだ多くの選手を招集させてもらって、本来であればその中でチーム強化をしていきたいというところはあるが、ベンチ入りできる選手とプラスバックアップという意味で28人が適正かなということでトレーニング等々も踏まえて決めた。でも正解はないので、何が正解はわからないが、これまでの活動も23人の場合はプラス3人、多くて5人というのがあり、チームの活動としてトレーニングを考えた時、試合に出られるかはわからないがトレーニングの場でいろんな想定をしながら全員がプレーできる適正な人数だと思う。ケガの選手を呼ぶことはこれまでしていたが、今回も冨安と伊藤は90分フルに戦っていないが、プレーできることはわかっている。練習から試合に向けてプレーできる選手を招集させてもらった。もう一つ、塩貝の招集に関してはW杯に向けてチームを固めていくという最後の活動になるかもしれないし、もう試す時期じゃないだろうと考えられる方もいるかもしれないが、やはりW杯に勝つために我々の最大値の可能性を考えられる選手であれば、招集させてもらったほうがいいと思っている。実際に見て最後に招集を決めていくということをやりたいと思っていた。実際に今、代表の候補選手の中でもケガ人が多くいる中で、実際にチームを作っていく、チームを固めていく作業が本当にできているか、できる状態かというとそうではない状態かもしれない。これは去年の年末にも話をしたが、良い選手はたくさんいる。代表のコンセプトをより多くの選手に知ってもらい、我々も選手を把握した中で、最後に最強のチームを作っていくという選び方として、日本代表の選択肢の一人として今回呼ばせていただいて、彼の力量を見るところ、彼の特徴をチーム活動の中で把握するということで全てW杯につながると思っている」

―当落線上の選手はアピールしたいと思う。監督としてもこれまで個人個人の良さを出してもらうアプローチをしていたが、チームとして固めていきたい思いもあると思う。当落線上の選手にどういうアプローチをしたいか。

「まずはトレーニングの中から自分の特徴を思い切って発揮してほしいということをこれまで通り伝えていくと思う。試合に出場機会があれば、そこでチームの戦い方はもちろん把握してもらった上で、自分の特徴を思い切って発揮してほしいということを伝えると思う。みんな日本のために戦う、W杯で優勝することを目標にという同じ志を持っていると思うので、まずは自分の特徴を思い切って発揮できるように選手たちと関係づくりをして、伝えていきたい」

―(山本昌邦技術委員長に向けて)練習のスタートが火曜日になっているのはなぜか。また試合の合間に2日間練習を行う理由は。

山本「まずは今回ヨーロッパで集まるので、ヨーロッパの選手たちが多い中で比較的移動が少ないところ。しっかりと休みも重要だということは選手とのディスカッションの中で詰めてきた。ヨーロッパにいる選手たちはシーズン終盤でかなりの疲労がある。その中でしっかり休んでコンディションを整えて、スコットランド戦に向かうのが大事。しっかりと休みを取っていくということでこういったスケジュールになった。私がこうしろということは一切ない。監督とコーチングスタッフでしっかりやってくれている。中2日のところも監督が28人のメンバーをしっかり選んでもらっているので、誰が出ても戦い抜くという点で言うと選手層の厚みが大事。いろんな選手をしっかり試すのであれば、日程がきつくても選手の数は2チーム分いるので戦えると思っている。ここが日本の強みで、ラージ100という言葉があるが、100人規模で世界トップトップで戦える選手を揃えていくことが大切。そういう選手がいるからこそ、この日程が組めるということがある。この日程に私としては全く不安はなく思っている。現場の考えを全力でサポートしたい」

―遠藤航、長友佑都といったリーダーシップを持っている選手がケガで離脱中だが、森保監督が今回の遠征でリーダーシップを期待したい選手は。またリーダーにはどういう要素を求めたいか。

「まずはキャプテンはまだ決めていない。今回の活動のキャプテンはこれからの活動に向けてしっかり考えたいと思っている。ただこれも何度かお伝えしているが、誰がキャプテンかではなく、みんな一人一人がキャプテンとしてリーダーシップを取って、自分のことをしっかりやること、チームのため、仲間のため、日本のためにどういう姿勢と態度で示したらいいかということを全員にやってほしい。チーム強化ということもあるが、まず誰一人W杯への出場を決めている選手はいない。一人一人がギラギラ感を持って、このスコットランド、イングランドと戦って、自分のプレーをアピールするところを表現してもらいながら、チームのためにオンザピッチ、オフザピッチで立ち振る舞いできるところを全員に見せてほしい」

―W杯のグループ分けが決まってから初のテストマッチになるが、スコットランド代表、イングランド代表をどう見ているか。日本のどういうところを試したいか。

「まずW杯基準としてスコットランド、イングランドの両チームともに高いインテンシティで戦えるチームだと思っている。まずは今回の対戦の中でW杯基準のインテンシティを体感できればと思っている。活動期間が空いているのでこれまでのコンセプトを全員で確認しながら、メンバーも変わっているので戦術の変更もプラスで試すことができればと思っている。初招集の選手の話や、長く招集の間が空いている選手の質問をいただいているが、選手のパフォーマンスの確認もできればと思っている。両チームともW杯優勝、上位進出ができるチームだと思っている。共通してインテンシティは高いが、しっかり守備からつなげてくると見ている。ただイングランドはよりオールコートプレスのような、相手に圧力をかけて試合を仕切っていくというところで、前線からの激しい守備をしてくると思う。スコットランドももちろんその機会はあるが、基本的にはこれまでの予選等々を見るといったんブロックを作って、そこで相手の攻撃を止めて攻撃に移っていく、カウンターを仕掛けることを主にやってきているチームだと思う。そこはW杯基準の中で、ハイプレスに来る、ブロックを組んで戦い方を仕掛けてくるチームと、いろんなチームとW杯で戦うことになると思うので、W杯に向けて最高の準備になる両チームだと考えている。もうすでに両チームの分析はしているが、両チームともW杯に向けた準備ということでこれまでと違った選手起用であったり、違った戦術を用いて試合に臨んでくるかもしれないので、我々が臨機応変に対応できるように準備をしていければと思っている」

―守田英正は欧州CLにも出ていたが、招集されていないのはコンディションの問題なのか、パフォーマンスを判断したのか。

「守田のプレーについては毎節、私自身もコーチングスタッフも含めて確認している。直近の試合で言えばチャンピオンズリーグで日本人で残っているのは守田と伊藤(洋輝)だけ。その中でもボデ・グリムトとの試合で70分弱プレーしており、その中での彼のパフォーマンス、彼が素晴らしいチームでプレーをしていることも把握はしている。その中でたとえば今回、ボランチで考えている選手を考えた時、このままケガなくいけば鎌田(鎌田大地)、佐野海舟、田中碧、譲瑠(藤田譲瑠チマ)といったすでに5大リーグでプレーしている選手がいる。できれば先ほども言ったように彼も代表にいておかしくない選手で、W杯予選を踏まえると彼を中心になってW杯に導いてくれた選手だということもわかっているが、そこにも競争があるということで我々は見ていかないといけない。彼らの戦術理解で言えば、試すというよりもいつでも戦力として代表の舞台に入ってこられるだけの力があるという点は評価しつつも、全体の競争のバランスを見ている」

―W杯初戦のオランダ戦に向けた3試合の重みをどう捉えているか。8年間という代表監督の仕事において、W杯メンバー発表を除けば最後のメンバー発表になる。感慨はあるか。

「W杯に向けてというところは間近にはなっているが、長期的に考えたとき、(W杯を)想像はしながら今の自分にできることのベストを尽くしている。オランダ戦というよりもまずは次のスコットランド戦、イングランド戦。まずは目の前のスコットランド戦に向けて最善の準備をして、今できる全力をぶつけていくことをやっていきたい。これまでも目の前の一戦一戦があって、そこをクリアしながら勝ったり負けたりはあったが、その一戦で道がつながるのであれば喜びを持って代表の活動に参加させてもらう。そうでない時ももちろん監督業はあるが、その中で全力を尽くして終わるということをやってきたので、その気持ちでこれからのW杯に向けてもまずは目の前の試合、目の前の活動に全力を尽くしていきたい。活動まで期間が空くのでケガ人も含めて、回復等々もあれば、あってほしくはないがケガ人やコンディション不良が起きるかもしれないので、そこに向けてできるだけニュートラルな状態で最善の判断、決断をしていけるようにと思っている。W杯メンバー発表を除くとこれが最後の発表になるということだが、質問されるまで全くそんなことは考えていなかった。先ほど言わせていただいた通り、目の前のことを全力でやっていくということで何も感慨深いところはない。ただ、いつもメンバー発表記者会見であったり、試合に向けてのトレーニングであったり、メディアの皆さんが遠くまで足を運んでくださって、試合前の練習はできれば全てをお見せしたいが、15分のみの公開となったり、そういうことも含めて足を運んでくださっていて申し訳ないこともしてきたなという思いでいる。皆さんに満足な対応ができずにすみませんでしたとお伝えできればなと。同時に皆さんにはこれまで日本サッカーを支えてきてくださって、日本サッカーを発信してくださって、だからこそ日本サッカーが日本国内でより認知度が上がるというところにつながってきたと思うので、これからも皆さんには日本サッカーの発展を優しくも厳しくも両方持ちながら見守っていただき、発信していただき、皆さんも含めて世界一を取る日本サッカーチーム、日本サッカーファミリーの一員だと思うので、できれば共闘していただければと思う」

―塩貝健人をこのタイミングで代表にふさわしいと思った理由、特徴は。

「我々のA代表の活動に招集するという意味では、今回だけではなくもっと早くてもよかったと思っている。NECナイメヘンでプレーしている時もハードワークでチームに貢献し、貴重なゴールも奪ってという活躍も見せていたので、何度か招集を考えたことも実際にある。このタイミングでということについてはW杯ギリギリまで可能性のある選手、力を見せてくれている選手は招集を我々自身がチャレンジしていく。そして1%でもW杯で勝つ可能性を上げていくというところを選択肢として持って活動するという意味で招集させてもらった。ボルフスブルクに移籍してNECナイメヘンの時と比べると、活躍の度合いでは前所属チームの時のほうがインパクトのある活躍をしているかもしれない。ただ我々としても、すべての国のリーグはそれぞれの特徴があり、色があり、素晴らしいリーグだが、常々5大リーグでプレーしてほしいという目標を持ってほしいと話している中、彼はW杯に向けて、これまでのチームでアピールできるところからさらに一つチャレンジして自分自身を高めようとしているというところがあった。チャレンジを日本代表チームの監督として、一人の日本人指導者としても、より高みを目指してチャレンジして舞台を変えてステップアップしているところを評価して招集してもいいと思った。日本人選手には世界基準の選手たちがたくさんいる中、世界一を目指して戦っている日本サッカーの中で、目指すべきものにチャレンジしてくれているところを見せているという選手を選ぶ意味でも他の選手にも伝わっていると思う」

―シャドーの選手が少ない中で鈴木唯人は有力な候補となると思う。アメリカ遠征ではあまり良いパフォーマンスができず、代表からも離れたが、その後の活躍をどう見ているか。どのようなことを期待しているか。

「彼を招集したのはフライブルクでシーズン序盤はレギュラーとは言えなかったかもしれないが、今は十分にレギュラーと言える、チームの中心としてプレーしているところはシーズンを通して見てきた。いろんな見方があるとは思うが、まずはシーズン当初の彼からすると、インテンシティ高く戦うレベルがかなり上がったと思っている。攻撃も守備もスピードや迫力が上がって、チームに貢献するところは、チームのシーズン当初での役割の中で、戦術的な役割がはっきりしなかったところもあったと思うが、全てにおいてハイインテンシティ、ハイクオリティーになっていると思っている。我々が期待するところでは、攻守にわたってハードワークをハイインテンシティの中で続けてくれているところをそのまま出してほしいし、かつ期待したいのは攻撃に絡める選手なので、攻撃の起点になる、決める、決めさせるところをトレーニングから見せてもらい、試合でも発揮してほしいと思っている」

―冨安健洋に期待していることは。

「これまでも彼とは育成年代のところから一緒にチーム活動をさせてもらっている中で、もしかしたら選手生命に響くような大きなケガに見舞われているかもしれないということでこれまで見てきた中、まずは思い切ってプレーできるように彼が回復してくれたことを一人の指導者として嬉しく思っている。かつ世界の名門であるアヤックスでプレーし、いろんなプレッシャーがある中、ポジション争いの中でスタメンでプレーできるところまで戻ってきてくれたなか、今回代表の招集をさせてもらうことになった。彼に期待するのはこれまでの経験値、W杯も経験しているし、アーセナルという世界のトップトップのクラブでプレーし、いろんなハイクオリティーを知っている選手。彼がこれまで経験してきたことを彼自身のプレーでしっかり表現してほしいと思う。チームへのいろんな影響というのも彼のキャラクターからすれば自然に影響力も出てくると思うが、変にチーム(のことだけを考えるの)ではなく、まずは自分がしっかりプレーするところで充実感を感じてもらえるようにプレーしてほしいと思っている」

―イングランド戦の重要性をどのように考えているか。

「まずはスコットランド戦があるので同じ思い。FIFAランキングはスコットランドが38位、イングランドが4位ということで、我々の19位からすれば上位と下位、格上と格下と見られるかもしれないが、両方とも世界の強豪だということ。プレースタイルが違い、親善試合等々の経験が違ってFIFAランキングがついているだけで、両方とも世界トップクラスの力があると思っている。その中でもイングランド戦は世界トップトップのプレミアリーグ所属の選手がほとんどで、他にもヨーロッパのトップチームに所属している選手なので、そのチームの中でも経験を積む戦いではなく、我々も世界一を目指しているチームということで、アウェーで厳しい戦いになると思うが、勝って自信をつけられるように、勝利を目指して戦うということをしっかり心の準備からしていきたいと思っている。その中で局面ではかなりハイレベルな激しさ厳しさ、インテンシティとクオリティーを発揮しないといけない。この戦いがW杯に直結するんだという基準で選手たちには試合を経験してもらえればと思っている」

(取材・文 竹内達也)

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