2026年3月14日 午前7時30分

 【論説】北陸新幹線県内開業から16日で丸2年となる。首都圏との乗り換えなしの往来は県民の日常となり、観光地の入り込み客数などは堅調に推移しているが、「100年に1度の好機」とされた効果は実感できない。この2年の人の動きや経済活動を分析し、課題を客観的に検証することが求められる。全線開業まではまだ時間を要することを奇貨とし、単なる通過地とならないための取り組みを今から始めるべきだ。

 本年度の年末年始(12月26日~1月4日)の北陸新幹線上越妙高-糸魚川間の利用人数は前年度同期比9%増の43万人。1日平均は4万3千人で、2015年の金沢開業以来最多となった。JR西日本金沢支社は、同区間に首都圏と北陸との人の流れが最も表れるとし、福井県内開業後の利用定着を増加要因の一つに挙げる。

 観光庁の宿泊旅行統計によると、25年の県内宿泊者数は延べ386万7680人(速報値)。新幹線開業初年の24年の402万7250人(確定値)に比べ、約16万人減少した。開業前の23年(延べ324万4790人)は上回り、県は「新幹線効果の持続」を強調するが、新型コロナウイルス禍前の19年(延べ414万4090人)に届いていないのが現実だ。外国人宿泊者数をみると、25年は過去最多の延べ11万240人となり、初めて10万人を超えたものの、全国最下位だった。

 25年度から5年間の観光分野の県指針「ネクストふくい観光ビジョン」では、29年の県内宿泊者数450万人、外国人宿泊者数40万人を目標に掲げる。高いハードルを越えるためには宿泊施設の誘致や観光素材の磨き上げだけでなく、起爆剤となる新たな仕掛けが不可欠だ。

 福井市の福井駅西口の通称「三角地帯」で進められた再開発が完了し、ハピリン南側一帯の再開発もホテルが27年7月の先行開業、全体完成は29年春を見込む。福井市東公園を候補地とする福井アリーナ(仮称)は28年秋ごろに完成する予定。越前たけふ駅周辺には福井村田製作所の研究拠点が整備され、ホテルや温浴施設などとともに官民連携で交流拠点を一体整備する計画もある。

 各エリアの玄関口の姿は見えてきた。新幹線駅から回遊性を高め、周辺エリアへの2次交通を確保し、滞在時間を延ばして消費を促す。就労、教育環境を含めた総合力で企業や人材を呼び込む。将来を見据えた広い視点で、目的地となるまちにつくり替える覚悟を持つべきだ。敦賀―新大阪延伸の先行きは見通せないが現行の小浜・京都ルートの工期は25~26年程度とされる。まだ時間はある。

WACOCA: People, Life, Style.